明治は、2つの臨床試験を実施し、乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(以下、OLL1073R-1株)で発酵したヨーグルトの摂取によりインフルエンザワクチンの効果の増強と、喉の不調、上気道炎などの感冒症状の累積発生日数が減少することを確認したことを発表した。
なお、同研究成果は2023年1月1日に国際科学誌『Bioscience of Microbiota, Food and Health(42(1):73-80, 2023.)』に掲載されたとのことだ。
■研究成果概要
季節性インフルエンザは咳や高熱などの症状だけでなく、重症化して入院や死亡に至る合併症を引き起こすことがあり、特に今シーズンは3年ぶりに全国で流行期入り。
近年流行している新型コロナウイルスと同時感染すると新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高まるとの報告もあり、インフルエンザへの感染予防対策が重要となっている。
感染予防対策としてワクチン接種が有効だが、人によっては接種しても感染予防に十分な量の抗体が産生されないとの課題もあるとしている。
同研究では、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取により、インフルエンザワクチン接種後の血中抗体量が上昇し、感冒症状(喉の不調、上気道炎など)の累積発生日数の減少が確認されたという。
同結果からOLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取により獲得免疫が活性化することで、抗体ができにくい人への体調維持にも貢献できる可能性が示唆されるとのことだ。
また、過去の研究では、同ヨーグルトの摂取による、ウイルス感染細胞の排除に重要なナチュラル・キラー細胞(NK細胞)の活性化も確認されているという。
これらの結果から、同ヨーグルトはインフルエンザワクチンの効果の増強といった獲得免疫の活性化、NK細胞の活性化といった自然免疫の活性化により、インフルエンザを含む感冒の原因ウイルスの感染を抑制することが示唆されたとしている。
明治は、今後も健康課題と向き合った研究を続け、人々が笑顔で健康な毎日を過ごせる未来の実現を目指していくとのことだ。
■試験方法と結果
試験(1)
健常な男子大学生40名(18~25歳)にインフルエンザワクチン接種の3週間前から接種10週間後まで、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトまたはプラセボ(酸性乳飲料)を毎日摂取してもらい、インフルエンザワクチン株に対する血清抗体価を継時的に測定。
その結果、ヨーグルトの摂取はプラセボの摂取に比べてインフルエンザA型(H3N2)、B型に対する抗体価を上昇させた。(図1)。
試験(2)
試験(1)は男子大学生を対象としたが、より幅広い世代の男女での効果を検証するため試験(2)を実施。
健常成人男女60名(25~59歳)にインフルエンザワクチン接種の3週間前から接種6週間後まで、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトまたはプラセボ(酸性乳飲料)を毎日摂取してもらい、インフルエンザワクチン株に対する血清抗体価を継時的に測定しました。
その結果、ヨーグルトの摂取はプラセボの摂取に比べてインフルエンザA型(H1N1)、B型に対する抗体価を上昇させまた。
また、ワクチン接種の3週間後から12週間後における感冒症状(喉の不調、上気道炎など)の累積発生日数が減少。
以上の結果から、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取はインフルエンザワクチンの効果を増強し、体調維持に貢献することが示唆されたとしている。