百年匠人は、全国20代~30代男女(身近に伝統工芸品を使用している人)を対象に、「若者の伝統工芸品離れと今後」について調査し、結果を公表した。

■伝統工芸品を日常的に使用している若者は、伝統工芸品にどんなイメージを持っている?

はじめに、普段から使っている伝統工芸品について調査を実施。「普段どのような伝統工芸品を使っているか?(複数回答可)」と質問したところ、「陶磁器(伊万里・有田焼など)」と回答した人が最も多く37.9%となった。

次いで「織物(西陣織など)」が23.9%、「漆器(輪島塗など)」が22.2%、「染色品(加賀友禅など)」が18.1%、「木工品・竹工品(箱根寄木細工など)」が16.9%、「文具(熊野筆など)」が15.0%と続く。

瀬戸物や茶碗、着物といった、暮らしに身近な伝統工芸品を使っている人が多く、伝統工芸品の種類は数多くあり、他にも木工品や文具、貴石細工といった伝統工芸品を使っている人もいるということがわかった。

この結果から、「若者世代だからといって伝統工芸品のニーズはない」ということはないことがうかがえる。

なお、そんな伝統工芸品に対して、若者世代の人々はどのようなイメージを持っているのか、「伝統工芸品のイメージとして近いもの(複数回答可)」を質問したところ、「芸術品」と回答した人が46.3%で最も多い結果となった。

次いで「匠の技、特殊な技法(43.4%)」「作り手のこだわり(41.7%)」「美しい(40.5%)」「質が良い(39.8%)」「お土産(35.2%)」と続く。

伝統工芸品を日常的に使用している若者は、伝統工芸品にどんなイメージを持っているか

若者の伝統工芸品離れについてどう感じている?伝統工芸品に対する不便さや不満とは?

「若者の伝統工芸品離れ」というのも耳にすることがあるが、伝統工芸品を日常的に使っている若者世代はどのように感じているのか、「若者の伝統工芸品離れについて、どのように感じるか?」と質問した。

その結果、「年々(急速に)離れていっていると思う(37.7%)」「緩やかに離れていっていると思う(46.4%)」「昔も今もあまり変わらないと思う(12.7%)」「離れていない(身近になっている)と思う(3.2%)」という回答結果となった。

「離れていっていると思う」と回答した割合を合計すると、実に8割以上がそのように感じていることが判明。

また、「自身は伝統工芸品を使っていて、不便さや不満を感じることはあるか?」を質問したところ、「とてもある(13.5%)」「ややある(30.5%)」「あまりない(41.4%)」「全くない(14.6%)」という回答結果に。

全体的には、「不便さや不満を感じることはない」と回答した人の割合が多かったものの、普段から慣れ親しみのある人でも4割以上が不便さや不満を感じていることがわかった。

なお、不満を感じる具体的な理由の1つに、伝統工芸品は「高価」であるという声があり、ほかにも使い方を誤ると「割れてしまう」といったことでも不便さを感じている人がいたとのことだ。

若者の伝統工芸品離れについて・不便さや不満を感じることはあるか

■ライフスタイルと合っていない?伝統工芸品は現代の生活でも身近に使える?

また、「自身のライフスタイルと伝統工芸品は合っているか?」と質問したところ、「とても合っている(19.3%)」「ある程度合っている(61.3%)」「あまり合っているとはいえない(18.4%)」「全く合っていない(1.0%)」という回答結果に。

続いて、前の質問で「あまり合っているとはいえない」「全く合っていない」と回答した人に、「どのように合っていないのか(上位3つまで)」を質問。

その結果、「高額なため入手しにくい(44.1%)」と回答した人が最も多く、次いで「現代の生活で使うには実用性に欠ける(32.8%)」「販売経路が乏しい(25.1%)」「現代の生活で使うには耐久性が物足りない(23.1%)」「修理や修復が難しい(22.6%)」「モダンではない(18.0%)」と続いた。

先程の調査結果でも明らかになった「高額」「実用性に欠ける」といった点でライフスタイルと合っていないと感じているようだが、新たに明らかになったのは「高額なため入手しにくい」「販売経路が乏しい」といった“手に入りにくい”といった問題点であった。

ライフスタイルと伝統工芸品は合っているか・どのように合っていないのか

今後、更に伝統工芸品が良くなるためには何が必要?

ここまでの調査で、伝統工芸品は高価で壊れやすいこともあるため、現代のライフスタイルでは実用性にやや欠けるなど、合っていないと感じている人も少なくないことがうかがえたが、職人による「匠の技、特殊な技法」「作り手のこだわり」といった“良い物”であることには変わりない。

そんな伝統工芸品にも、現代のライフスタイルに合わせて変化が必要なのか、「現代のライフスタイルに合わせて、伝統工芸品にも変化が必要だと思うか?」と質問したところ、「とても必要だと思う(31.6%)」「ある程度必要だと思う(63.4%)」「不要だと思う(5.0%)」という回答結果になった。

日常的に伝統工芸品と触れ合っている若者世代は、現代にライフスタイルに合わせて、伝統工芸品にも何らかの“変化”が必要だと感じていることがわかり、全体的な割合では、「とても必要だと思う」「ある程度必要だと思う」と回答した人は9割強(95.0%)となっている。

現代のライフスタイルに合わせて、伝統工芸品にも変化が必要だと思うか

では、伝統工芸品にどのような変化が求められているのか、若者世代は、今後日本の伝統工芸品をどのようにすれば良いと考えているのか、「伝統工芸品が更に良くなるためのアイデアはあるか?」と質問したところ、56.0%の人が「ある」と回答。

伝統を守りつつも未来に日本の伝統工芸品の良さを伝えていくためには、若者世代のアイデアが必要なのではないかと同社は考察している。

伝統工芸品が更に良くなるためのアイデアはあるか?

【調査概要】
調査期間:2022年11月17日~2022年11月18日
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,006人
調査対象:全国20代~30代男女(身近に伝統工芸品を使用している人)
モニター提供元:ゼネラルリサーチ

<参考>
社百年匠人『「若者の伝統工芸品離れと今後」に関する調査