キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関『Job総研』を運営するライボは、「2023年 働く環境の実態調査」を実施し、結果を公表した。

「2023年 働く環境の実態調査」

働き方改革が進む近年、いわゆるブラック企業と言われる環境は「長時間労働・低賃金・ハラスメント・高離職率」など他にも多数挙げられるが、その実態は減少傾向にある。一方昨今では、ゆるすぎるホワイト企業が増加し、そのゆるさが原因で離職するケースがあるという。

同調査では、ブラック企業での勤務経験有無やその具体的な内容およびそれによる転職経験の有無、転職で環境は改善したか、またゆるすぎる環境での勤務経験とそれによる転職経験の有無、さらに働く環境でブラックまたはホワイトを連想する職種などを調査。

■全体の52.8%が「ブラック企業に務めた経験あり」。内容は「長時間勤務」が68.9%で最多

これまでのキャリアで「ブラック企業と感じる企業に務めた経験有無」について、52.8%が「経験あり」と回答。

経験ありと回答した360人に「ブラックだと感じた内容」を聞くと、「長時間労働」が68.9%で最多に。次いで「ハラスメントがある」が48.3%、「根性論が飛び交っている」が43.3%と続いた。

■どんな事でブラックだと感じたか(記述回答)

・有給休暇を取得することが「悪」な雰囲気があり、誰も取得していない
・ハラスメント的な言動が日常底にあり、相談できる環境がないため耐えるしかない
・残業しないと終わらない業務量があり、土日も勤務せざるを得ないため離職者が絶えない
・人事評価はあってないようなもので、イエスマンで上司の好き嫌いが反映される
・高圧的で周りをイエスマンに変える為、誰も何も口出しできず反対の意見を言えない

■「ブラックな環境が原因で転職した経験あり」47.8%に対して、「転職で環境が改善された」が69.8%

ブラック企業での勤務経験者360人に「ブラックな事象が原因での転職経験有無」を聞くと、47.8%が「経験あり」と回答。

また、ブラックな事象での転職経験ありと回答した172人に「その時の転職で環境の希望は叶ったか」を聞くと、「叶った」27.9%と「どちらかといえば叶った」41.9%を合算した69.8%が”叶った派”という結果に。

”叶わなかった派”は30.2%で、内訳は「叶わなかった」23.2%、「どちらかといえば叶わなかった」7.0%だった。

■「ゆるすぎる企業に務めた経験あり」34.2%の内、「ゆるすぎる環境が原因で転職をした」は48.9%

これまでのキャリアで「ゆるすぎる企業に務めた経験有無」について、全体の34.2%が「経験あり」と回答。

「経験あり」と回答した233人に「ゆるすぎる環境がきっかけで転職をした経験の有無」を聞くと、「経験あり」は48.9%で、年代別で見ると、50代が100%という結果に。次いで40代が66.7%、20代が65.4%、30代が37.0%となった。

■どんな事がゆるすぎと感じて転職をしたか(記述回答)

・サークル感覚で遅刻や欠勤が日常的にありそれを叱る文化もなく仕事は楽すぎる
・業務量が極端に少なくて暇な時間が多く、自身の成長スピードに不安を感じた
・会議は基本的に雑談をして終わることが多く、真剣な議題がないのでダラダラと進む
・目標管理などが特にされていないので、基本的に業務への評価をされない
・仕事が楽すぎでスキルが身に付かず、昇格昇級基準がないため給料が上がらない
・誰でもできる仕事内容なのでスキル向上ややりがいを見出せない

■ブラックな環境を連装させる職種は「営業職」が最多で43.7%、ホワイトな環境を連装させる職種は「事務・アススタント」が最多で31.7%

「ブラックな労働環境を連想させる職種」について聞くと、「営業職」が43.7%で最多に。次いで「販売・サービス職」が15.2%、「技術職」が12.6%「医療専門職」が4.8%「クリエイティブ職」が4.0%で上位5つを占めた。

また、ホワイトな労働環境を連勝させる職種では「事務・アシスタント」が31.7%で最多に。次いで「公務員」が16.7%、「企画・管理」が14.5%、「クリエイティブ職」が6.6%、「金融系専門職」が5.0%と続いた。

■回答者コメント

・ブラックな環境に対する捉え方が世代別で少し違う気がする
・ブラック企業は減っていると思うけど、まだまだたくさん存在しているのも事実
・ブラックも良くないが、ゆるすぎも良くないので程よい厳しさは必要だと思う
・ゆるすぎる環境になれてしまって、転職後にその会社で適応できるか不安
・業界や職種によって働く環境はある程度決まる気がするので仕事に何を重視するかが重要

【調査概要】
調査対象者:全国 / 男女 / 20~50代
調査条件:1年以内~10年以上勤務している社会人、20人~1000人以上規模の会社に所属
調査期間:2022年12月28日~2023年1月4日
有効回答数:682人
調査方法 :インターネット調査

<参考>
Job総研『2023年 働く環境の実態調査