サッカーW杯がモバイルサッカーゲームに与えた影響 『eFootball™ 2023』はアクティブユーザーが約2倍に ゲームエイジ総研調べ

ゲームエイジ総研は、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っている。

ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集。

また同社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しているとのことだ。

2022年11月20日から12月18日まで、「2022 FIFAワールドカップ」がカタールで開催され、連日大きな話題に。4年に一度の国際的な大イベントであるが、特に11月23日に行われた日本チーム初戦のドイツ戦では、後に“ドーハの歓喜”と言われるほど、日本中を沸かせた試合となったとのことだ。

今回はそんなサッカーワールドカップが日本のモバイルサッカーゲームに与えた影響をiGageでみていくとしている。

■『eFootball™ 2023』のアクティブユーザーはワールドカップ開始前から15万人以上増加

最初に取り上げる『eFootball™ 2023』は、元々は『ウイニングイレブン』という名前のシリーズ作品で、1995年から続く歴史の長いサッカーゲーム。実在の選手が登場し、リアル志向のグラフィックを特長とするゲームで、モバイルサッカーゲームの中で最もアクティブユーザー数が多いタイトルとなっている。

同作は、大型アップデートの実施や2022 FIFAワールドカップ(以下、ワールドカップ)が開幕した、11月14日の週からユーザー数が増加し、大きな話題となった日本対ドイツ戦が開催された11月21日週から更に大きくユーザー数を伸ばしているという。

12月12日週には、11月7日週から比較し、15万人以上のWAU(ウィークリーアクティブユーザー)を増加させており、その増加率は約2倍に。【グラフ①】

■『eFootball™ 2023』で増加したアクティブユーザーは主に10代男性

どのようなユーザーが『eFootball™ 2023』をプレイしたのか。

アクティブユーザー数の多い10代から40代の男性ユーザーにフォーカスすると、最もユーザー数が多い10代男性は、平時のWAUが7万人台と、20代の約2倍、30・40代の約3倍のユーザーを擁しているという。

ワールドカップの開催後には、この最も規模の大きい10代男性の増加率が特に目立つ。12月12日週になると、11月7日週と比べてWAUは2.2倍に増加し、20代の3倍以上、30・40代の6倍以上と、ほかの年齢層との差が更に拡大。【グラフ②】

■10代男性が増加しているのはグラフィックがリアル寄りのモバイルサッカーゲーム

モバイルサッカーゲームでは、『eFootball™ 2023』が最もユーザー数を獲得しているが、そのほかのサッカーを題材としたタイトルではどうか。ここから代表的なサッカーゲーム3タイトルを取り上げて、それぞれのアクティブユーザーを見る。

『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』は、実在のサッカー選手や監督のキャラクターでチームを組んで戦うゲーム。リアル志向の『eFootball™ 2023』とはキャラクターデザインが大きく異なり、デフォルメ化されているのが特徴。

ユーザー数の推移を見ると、ワールドカップが開催された11月14日週から、ユーザー数が増加しているが、その増加率は比較的緩やかなものとなっているという。ユーザー数の増加が目立つのは40代と30代の男性で、『eFootball™ 2023』で増加が目立った10代男性の変化はほとんど見られなかったとのことだ。【グラフ③】

次に、『実況パワフルサッカー』。同作もキャラクターデザインが特徴的な作品であるが、実在のサッカー選手は基本的に登場しない。人気の野球ゲームである『実況パワフルプロ野球』シリーズの派生作品で、プロモーション戦略においても、漫画IPやゲームIPなどとのコラボレーションが盛んにおこなわれている。

アクティブユーザー数の推移を見ると、実在の選手が登場しないということに起因するのか、ワールドカップ自体は殆ど影響していないようで、どの年代もアクティブユーザー数に大きな増減は見られない結果に。

最も多いのは30代の男性で、『eFootball™ 2023』の中心ユーザーである10代男性は最も少なくなっているという。【グラフ④】

最後に『サッカースーパースター』。

『サッカースーパースター』は、スマホ画面をスワイプすることでパスをつないでいき、ゴールを目指すカジュアルなゲーム。実在の選手は登場しませんが、リアル志向のグラフィックが特徴のゲーム。

ワールドカップ付近からユーザー数を伸ばし、特に11月28日週から大幅にユーザー数が増加し、12月12日週には平時の約6倍に増加。その中でも特に10代男性が増加していることがわかる。【グラフ⑤】

今回、4つのサッカーゲームを取り上げたが、ワールドカップを境にユーザー数が増加したタイトルは、いずれも10代男性のプレイヤー数増加が大きな要因となっていたという。そして、それらのタイトルはいずれもリアル志向のグラフィックスであるという共通点が見られたとのことだ。

流行に敏感な10代男性が、ワールドカップを機にサッカーゲームをはじめ、その中でも実際のサッカーに近いリアルなグラフィックスのゲームを選んでいるということなのでしょう。

ワールドカップに限らず、ほかのスポーツにおいても、著名なイベント開催を契機にゲームユーザー数に変動が起こりえると考えられるという。

今後、野球やラグビー、ウィンタースポーツなど様々な世界大会が開催されることもあり、スポーツ関連のゲームユーザーがどのように変化するのか、その動向に注視していきたいとのことだ。

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