WHILLは、全国65歳以上の男女600名を対象に、「シニア世代における新型コロナウイルス流行前とコロナ禍、withコロナ時代の外出・社会参加影響調査」を実施し、結果を公表した。
調査の結果、シニア世代の約7割がコロナ前と比べて外出頻度とともに、社会との関わりが減少したことがわかったとのことだ。
(1)外出機会・人との交流の増減について
コロナ流行前(2020年2月以前)と現在(2022年12月、調査実施時)を比較して、外出頻度・人との交流ともに、約半数が「減った/やや減った」と回答(47.5%、48%)した。
2022年9月以降は「全国旅行支援」が始まったにもかかわらず、外出頻度・社会交流が「増えた/やや増えた」と答えた割合は、いずれも1割程度にとどまっている。
また、外出回数は、コロナ前は「ほぼ毎日」が3割程度(27.2%)いたものの、現在は8.5ポイント低下。2022年9月以降でも、3人に1人が「週に1日」以下(31.5%)と答えたほか、「ほとんど、またはまったく外出しない」と答えた人は、コロナ前と比べてほぼ倍増する結果に。
(2)外出目的の変化について
外出を目的別に見ると、買い物や通院などの日常に必要な外出や1人または家族に関わる外出については、コロナ前と現在を比べても大きな変化は見られなかった。
半面、友人や近所との交流、主に屋内での趣味活動に関わる外出は現在と比べていずれも大きく落ち込み、友人・近所付き合いは61%減、友人・親戚宅の訪問は53%減、観劇・映画鑑賞は48%減となっている。
なお、自由記述による回答では、インターネットなどを活用し始めたことで買い物などは便利になったものの、友達と食事に行ったり、会えたりすることができなくなったことが寂しいと答えたシニアが多くいたとのことだ。
(3)社会との関わり合いが減ったことによる影響
外出・社会との関わりが減ったことで、4割以上が「体力や身体に衰えを感じた」と回答。また、上位には生活意欲の減退がうかがえる回答が挙がっている。
また、歩きづらさを感じているシニアでは、「体力や身体(足腰など)に衰えを感じた」「外出が億劫になった」「何事にもめんどくさくなった」「外出する自信がなくなった」の回答が特に高く、歩きづらさを感じていないシニアと比較して2〜3倍の開きがあり、身体的な虚弱および外出へのネガティブな感情の想起がみられた。
(3)外出頻度の減少と外出意欲の減退の関係について
半数近くが「外出が減る→外出が億劫になる→さらに外出が減る」という経験をしたと回答。
内訳をみると、歩きづらさを感じているシニアは特にその傾向が強く(63%)、歩きづらさを感じていないシニアと3倍近い開きがあったことがわかった。
一方で、外出や社会との関わりの頻度のいずれかが減ったシニア368名に、「外に出る機会が増えれば、社会と関わりを持つことに対して、より前向きになれると思うか」について聞いたところ、9割近く(86.9%)が「なれると思う」と回答。
自由記述でも、「コロナ禍で行きたいところへ出かける事を控えてしまったが、友達と自由に出かけられるようになりたい」「できるだけ外で歩く機会を増やそうと頭の中では考えているが、なかなか思うようにはできていない」など、意欲はあるものの、感染への懸念や足腰・体力への不安から二の足を踏んでしまうシニアもいることがうかがえた。
【調査概要】
調査方法:WEBアンケート方式で実施
調査対象:全国の65歳以上の男女
有効回答数:
65歳以上男女600名(平均年齢74.3歳)
うち、歩きづらさを感じている人300名/歩きづらさを感じていない人300名
調査実施日:2022年12月6日~16日