生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうネオマーケティングは、全国の20歳以上の男女を対象に「ジェンダー」をテーマにインターネットリサーチを実施し、結果を公表した。
■LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)という言葉の認知度
LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)という言葉の理解度合いについて調査したところ、近年マスメディアで取り上げられることも多いからか、全体の89.6%が「LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)」の言葉の意味まで知っているという結果となった。
また、割付別でみると「周囲にLGBTQ+はいない」場合であっても、85.6%が言葉の意味まで知っていることが判明。ただ、やはり「周囲にLGBTQ+がいる」場合と比較するとその理解度合いは下がっていることがわかる。
■「セクシャリティ」についての考え
図1の文章は、昨今におけるセクシャリティの考え方を「優劣はない」「尊重されるべき」というキーワードを散りばめて作成したもの。
この文章をうけ、「『セクシャリティ』について図1のような考え方があったとしたらどう思うか」という形で調査をしたところ、自身のセクシャリティにかかわらず「同意する」「やや同意する」含め87.7%が同意していることが判明した。
近年はSNSなどの匿名性・拡散性が高い媒体によりLGBTQ+(LGBT、LGBTQ)の人が声を挙げるケース、著名な人物によるLGBTQ+(LGBT、LGBTQ)に関する大々的な発信が多くみられるようになったことから、セクシャリティの多様性への理解が全体的に上昇したのかもしれないと同社は考察している。
なお、「自身がLGBTQ+」「周囲にLGBTQ+がいる」「周囲にLGBTQ+はいない」場合で比較すると、「自身がLGBTQ+」の場合91.5%、「周囲にLGBTQ+がいる」場合91.3%と、ほぼ同等の割合で同意していた。
LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)に該当する人が身近にいることで、一気に“自分ごと化”が進むと考えられる。
「周囲にLGBTQ+はいない」場合であっても、84.0%が同意しており、最も強い「同意する」だけでも48.6%と半数近くを獲得しています。自分自身も含め全ての人について、「優劣はない」「尊重されるべき」という考えには大多数が賛同していることがうかがえる。
■「ジェンダー平等を意識している」と感じた媒体に触れた時、発信する企業or商品・サービスへの気持ち
「これまでに、『ジェンダー平等を意識している』と感じた広告・CM・雑誌といった媒体を見たことはあるか」の設問にて「たしかに見た」「見たような気がする」と回答した人に対し、その媒体に触れた際、媒体を発信している企業または商品・サービスに対してどのような気持ちになったかを調査。
なお同設問で言う「ジェンダー平等」は便宜上、“ジェンダー平等の1つ”として最も色濃く取り上げられる、「男女平等」を想定している。
LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)など全てを含む、さらに踏み込んだ「ジェンダー平等」については後述する設問にて取り扱うとしている。
全体の結果では、30.1%が「その企業に対する好感度が上がった」、21.8%が「その企業を応援したいと思った」と回答しており、「自身がLGBTQ+」の場合を見るとその割合はさらに高く、39.0%が企業に対し好感を抱き、32.1%が応援したいという気持ちを抱くことがわかった。
■「LGBTQ+に配慮している」と感じた媒体に触れた時、発信する企業or商品・サービスへの気持ち
「これまでに、自身が『LGBTQ+に配慮している』と感じた広告・CM・雑誌といった媒体を見たことはあるか」の設問にて「たしかに見た」「見たような気がする」と回答した人に対し、その媒体に触れた際、媒体を発信している企業または商品・サービスに対してどのような気持ちになったかを調査。
32.3%が「その企業に対する好感度が上がった」、26.6%が「その企業を応援したいと思った」と回答する結果となった。
この割合は、前掲した設問「『ジェンダー平等を意識している』と感じた媒体に触れた時、発信する企業or商品・サービスへの気持ち」よりもやや高くなっており、性に配慮した媒体の中でも、「LGBTQ+(LGBT、LGBTQ)」の領域まで踏み込んだ媒体は、より好感を抱かれるということがわかる。
また「その企業に対する好感度が上がった」「その企業を応援したいと思った」の項目においては、「自身がLGBTQ+」「周囲にLGBTQ+がいる」場合の回答結果がほぼ同じであることが判明し、好感度について前者は37.5%・後者は40.1%、応援意向について前者は33.8%・後者は33.5%を獲得。
「その媒体を周囲に共有したいと思った」割合には差が出たものの、身近にLGBTQ+(LGBT、LGBTQ)がいる場合、広告・CM・雑誌といった媒体の表現が「LGBTQ+に配慮している」ことに対して、当事者と同程度にポジティブな気持ちを抱くことがわかった。
■「ジェンダー平等やLGBTQ+への配慮に欠けている」と感じた媒体に触れた時、発信する企業or商品・サービスへの気持ち
「これまでに『ジェンダー平等やLGBTQ+への配慮に欠けている』と感じた媒体(広告・CM・雑誌など)を見たことがあるか」の設問にて「たしかに見た」「見たような気がする」と回答した人に対し、その媒体に触れた際、媒体を発信している企業または商品・サービスに対してどのような気持ちになったか調査。
全体の結果では、約30%が「その企業に対する好感度が下がった」、約20%が「その企業を応援したくないと思った」と回答している。
なお、「自身がLGBTQ+」「周囲にLGBTQ+がいる」「周囲にLGBTQ+はいない」場合で比較すると、驚くべきことに「自身がLGBTQ+」である場合よりも、「周囲にLGBTQ+がいる」場合の方が、企業への好感度は下落していることがわかった。
「自身がLGBTQ+」の場合29.0%、「周囲にLGBTQ+がいる」場合37.6%と、8.6ポイントの差が生じている。
■「ジェンダー平等やLGBTQ+への配慮を意識している」と感じたシーンを観た時の気持ち
次は、エンターテインメントにおけるジェンダー表現について、そのシーンを観た際にどのような気持ちになったかを調査したところ、全体の結果では、ほぼ半数の48.0%が好印象を抱いていることがわかった。
それ以外の回答者も「どちらでもない」に38.4%集まっており、悪印象を抱く割合は約10%にとどまっており、物語の中にジェンダー平等やLGBTQ+への配慮が散りばめられていた場合、多くは好意的に受け止められるといって間違いなさそうだと同社は考察している。
また「自身がLGBTQ+」「周囲にLGBTQ+がいる」「周囲にLGBTQ+はいない」場合で比較すると、当事者に近くなっていくにつれて好印象を抱きやすい傾向に。テレビCM・広告などではなく完全なエンターテインメントの場合は、LGBTQ+への関心度合いの深さによって印象が大きく左右されるということがわかった。
【調査概要】
調査期間:2022年11月11日~2022年11月13日の3日間
調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳以上69歳以下の男女
有効回答数:1000名
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
<参考>
株式会社ネオマーケティング『ジェンダーに関する調査』