キリンのパッケージイノベーション研究所は、環境保護に関する取り組みの一環として、ファンケルと共同で、「キリン一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」製造時の副産物であるビール仕込粕(※1)から抽出したヘミセルロース(※2)を用いて、国内の化粧品業界として初めて(※3)化粧品包材を開発したことを発表した。

「一番搾り」製造時の副産物から製造されたレフィル用の化粧品包材

石油由来の原料を使用せず、植物由来のヘミセルロースを採用することで、二酸化炭素の発生を抑え、地球温暖化防止に貢献することが可能。

今後、「一番搾り」のビール仕込粕から抽出したヘミセルロースで製造したシートを、さまざまな製品の包材に応用することも検討していくとのことだ。

【研究方法・結果】

ヘミセルロースを原料とするバイオマスプラスチックの研究開発・製造をしている事業革新パートナーズとの研究において、「一番搾り」のビール仕込粕から抽出したヘミセルロースをセルロース(※4)に混合した結果、レフィル用の包材を形作るのに適したシートをつくるための製造条件を見い出したという。

このシートを用いて、無色透明な包材に成形することは技術的なハードルが高いものの、各社の知見を活用し、ビール仕込粕から植物由来のレフィル用化粧品包材の製品化に成功。

レフィル用化粧品包材の製造工程

また、レフィル用包材の形状は、ユニバーサルデザインに配慮し、開けやすく、ファンデーションなどのレフィルを取り出しやすい形状にしたとのことだ(ファンケルにおいて特許出願中)。

キリンとファンケルの両グループは、これまでのノウハウを融合しそれぞれの製品特性を生かした視点で、容器の設計や材質の開発など環境負荷の低減に向けた研究や技術開発を進めるなど、同研究で得られた知見を踏まえ、新しい価値を届けていくとしている。

※1 ビールを製造する際、麦汁を搾った後に残った搾り粕。
※2 植物細胞壁に含まれるセルロースを除く、多糖類の総称。
※3 ファンケル調べ。
※4 植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物。