絶滅危惧の薬用植物ムラサキの紫根から抽出した「紫根エキス」に育毛効果 新日本製薬、抜け毛や薄毛に関する研究

新日本製薬は、抜け毛や薄毛に関する研究を行い、2006年から研究を続け、栽培方法で特許を取得している絶滅危惧種の薬用植物ムラサキの根部分の紫根から抽出した「紫根エキス」に、育毛効果を確認したと発表した。

また、炭酸と、洗浄力が高く毛穴より小さい微細な気泡のナノバブルを併用することで、より育毛効果が高められることも確認しているとのことだ。同社は今後、これらを応用したヘアケア製品の開発を進めていくとしている。

絶滅危惧種の薬用植物ムラサキの根部分の紫根から抽出した「紫根エキス」に育毛効果 新日本製薬、抜け毛や薄毛に関する研究

研究背景

「髪は女性の命」という言葉があるように、美しく健康的な髪でいたいと考える人は多くいるという。また、女性用スカルプケア市場に関する調査レポート(富士経済化粧品マーケティング要覧2022)では、2017年から2022年(見込み)にかけて市場の年平均成長率は18.2%と年々拡大している。

これまで美と健康の領域で「新しい」価値を提供してきた同社では、今後も成長が期待できる女性用スカルプケア市場において「新しい」選択肢の提案を行い、美しく健康的な毛髪を維持したいと感じる人々の悩みに寄り添うため、同研究に取り組む運びとなったとしている。

紫根エキスについて

紫根は、江戸時代から漢方薬「紫雲膏(しうんこう)」に使われており、皮膚の傷を治す効果が高いと言われてきた。同社は、紫根から抽出した「紫根エキス」の肌への効果について2006年から研究を続け、線維芽細胞増殖効果やコラーゲン保護作用を見出しているという。

今回、同素材が肌だけでなく、毛髪にも効果があるのではないかと推測し、発毛・育毛を促す役割を持つ毛乳頭細胞に「紫根エキス」を添加したという。その結果、毛乳頭細胞が約10%増殖することを確認。

毛髪の太さを決定する要因のひとつは、毛乳頭の数だと考えられているため、毛乳頭細胞を増殖することで毛髪を太く育む効果が期待でき、「紫根エキス」が抜け毛や薄毛に効果がある素材と確認したとのことだ。

炭酸・ナノバブルについて

血流促進や浸透促進効果が高い炭酸と、洗浄力が高いナノバブルの2つの泡に着目し「紫根エキス」と併用した場合の効果を検証。その結果、「紫根エキス」と炭酸・ナノバブルを組み合わせた製剤を使用すると、頭皮の角層水分量が増加し、育毛効果があることを確認したという。

試験方法

紫根エキスの毛乳頭細胞増殖に関する試験方法
ヒト由来毛乳頭細胞を培地に拡散後、翌日に各評価サンプルを含む培地に交換したという。さらに2日後、細胞のDNAの蛍光染色を行い、蛍光顕微鏡観察および蛍光強度(Ex=355nm,Em=460nm)の測定を行ったとのことだ。
結果は、紫根エキスの有効成分であるシコニンを含む毛乳頭細胞は、評価サンプルを含まない培地を100としたときに対し、約10%増殖。また、評価サンプルのビタミンCと比較しても毛乳頭細胞増殖効果が高いことがわかったという。

炭酸とナノバブル、及び紫根エキスを併用した場合の効果に関する試験方法
被験者(n=16、40~68歳女性)の頭皮(額の毛髪の生え際)に炭酸とナノバブルおよび紫根エキスを併用し使用0日目と使用12週間後で被験者の頭皮角層水分量を測定。
結果、使用0日目と比較すると使用12週間後では頭皮角層水分量が約50%以上増加し、目視でも毛髪が増加している状態であることを確認したとのことだ。

新日本製薬の研究開発について
同社は、常識にとらわれない「新しい」価値を消費者に届けるため、スマート“ライフ”サイエンスという研究方針を掲げているという。特にコラーゲンと絶滅危惧種の薬用植物「ムラサキ」の研究に力を入れ、コラーゲンに関する特許は2つ、ムラサキの栽培に関する特許は1つ、紫根に関する特許は1つ取得しているとのことだ。

今後も美と健康の領域で、人々の悩みを解決するため、大学やパートナー企業と共に新素材の研究を推進していくとしている。

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