リクルートは、シフト管理サービス『Air シフト』を利用しているユーザー店舗・企業のシフトデータから、アルバイト・パートスタッフの「シフト充足率」および「希望シフト却下率」について集計・分析を行い、結果を公表した。
今回、「飲食」「ショッピング」「旅行・宿泊」「レジャー・スポーツ」「医療・健康・介護」の5業種における、過去2年間の推移データを発表。
シフト充足率とは、店舗・企業のシフト管理者が『Air シフト』上で設定した必要人数に対して、シフトに入ったスタッフ数の割合、希望シフト却下率とは、スタッフが希望シフトを提出した日数に対して、働けなかった(希望が却下された)日数の割合を指すという。
なお、あくまで全体傾向であり、店舗・企業ごとに状況に差があるとのことだ。
■シフト充足率
シフト充足率は、時期によって高低はあるものの、今回集計・分析した5業種全てにおいて、過去2年間を通じて100%に届いておらず未充足であることが明らかとなった。
中でも飲食業は他業種に比べて充足率が低く、より人手不足感の強い状況で店舗運営していることが分かった。
■希望シフト却下率
一方で、同期間の希望シフト却下率は、時期や業種によって差は見られるものの、直近の2022年7-9月ではいずれの業種も2割前後という結果に。
これら2つのデータから、店舗・企業が必要とするシフトは未充足であるにもかかわらず、スタッフの希望シフトは一定の割合で却下されている状況だということが分かった。
働きたいのに働けない人がいる一方でシフト人員は不足しており、勤務曜日や時間帯など、店舗・企業のニーズとスタッフの希望との間でミスマッチが生じていることが推測されるとのことだ。
『Air シフト』『シフトボード』プロダクト担当者の沓水佑樹氏によると、人手不足の現場では、社員が応援に入ったり単発アルバイトを募集するなどして労働力を補完しているケースも見られ、こうした未充足の要因の一つには人口減少・少子高齢化に伴う構造的な人手不足があるという。
特に飲食業は産業別に見ると有効求人倍率が相対的に高く、慢性的な人手不足の状況にある。
フルタイムで勤務可能な正社員の比率が低い業種のためアルバイト・パートスタッフ中心に店舗運営しなければならないことから、充足率が他業種に比べて低くなっていると考えられるとのことだ。
また、ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子氏は、シフトのミスマッチを解消するために必要なことは、まず人手不足の要因を構造分解すること、つまり、いつどのような業務があって、それを実行するためにはどういったスキルを持った人員がどれだけ必要かという店舗・企業側のニーズを可視化することだと述べている。
長時間勤務を前提にするのではなく、なるべく小さな単位に落とし込んでシフトの柔軟性を高め、働き手の希望を叶えてあげることが、採用成功やシフト充足率の向上につながるとしている。
【シフト充足率 調査概要】
集計対象期間:2020年7月~9月
集計対象件数:約7,800事業所
対象地域:全国
【希望シフト却下率 調査概要】
集計対象期間:2020年7月~9月
集計対象件数:約1,000事業所
対象地域:全国