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“投資をもっと身近に、もっと手軽に”をミッションに、2019年8月からサービスを開始したスマホ投資サービス「LINE証券」。国内株式を1株単位から取引できる「いちかぶ(単元未満株)」や、ユーザー同士で運用成績やリアルタイムで取引履歴の閲覧ができる「マイページ公開機能」などのサービス展開が功を奏し、サービス開始から3年あまりの2022年9月末、口座開設数が150万を突破した。
特に2022年に入ってからは、様々な金融商品に投資できるCFD取引サービスや、「LINE」からST(デジタル証券)へ投資できるSTOサービスなどの提供を開始するなど投資サービスも拡充し、その勢いは加速。投資初心者から投資経験者まで、全ての働く世代のニーズに応えるサービスを展開している。そんな急成長を遂げている「LINE証券」のこれまでのサービスの歩みと今後の展開について、取締役執行役員のイ ウォンチョルさんと執行役員の石川紘子さんに話を聞いた。
150万口座突破のカギとは?証券業界を動かした“社会のメガトレンド”
ーーネット証券業界最短での150万口座突破となりますが、率直にどう感じていますか?
イ:近年、「老後2000万円問題」や預金の「低金利時代」が注目されるなど、預貯金だけでは将来の資産が不安という生活者が増えてきていることに加え、政府による「資産所得倍増プラン」の打ち出しにより、NISAやiDeCoの制度改革、金融教育の強化に焦点が当たって、将来に備えた資産運用への関心度が高まっています。
これら社会全体としての“メガトレンド”に乗れた、という点はサービスの成長を大きく後押ししたなと感じています。若年層を中心に、『この機会に資産運用を始めよう!』と、投資に関心を持つ方が増えたので、我々だけでなく、業界全体として成長しているなと感じています。
石川:私も時代の後押しによる影響は大きかったなと実感しています。サービス開業前にユーザー調査を行った際には、『投資をしたくない』『投資をすることは考えていない』という方が多かったですが、今では『投資を始めている』『いつか投資を始めてみたい』と、投資に対してポジティブなイメージを抱く方も増えてきていると感じています。この背景には、国の動きやコロナ禍など、まさに社会全体の動きが関連していると思いますね。
ユーザーは未経験者が7割。約3年間で拡大させた投資サービスへの入り口
ーーサービス開始から約3年が経過しましたが、振り返るといかがですか?
石川:1株単位から取引できる「いちかぶ」からサービスをスタートし、「取引所取引」や「IPOサービス」、「CFD取引」など、提供する投資サービスを増やすことと、取扱商品の増加に力を入れてきました。そう思って振り返ると、この3年間でかなり進化したなと思います。ただ、まだまだサービスを拡充していきたいと考えています。日々「LINE証券」ならではの強みを生み出すため模索しています。
イ:他社サービスと比較すると、提供期間が浅いので、0から色々な仕組みを考えていくのは本当に大変でした。その中で、サービス開始から約半年が経過した頃からコロナ禍になったんです。あのタイミングで「いちかぶ」を提供していたため、投資を始めるハードルを下げることに寄与してきてこられたかな、と感じています。
ーー利用者の属性や動向にも変化は起きているのでしょうか?
石川:そうですね。最新のユーザー属性ですと、20代から30代の方が5割以上と若年層の利用が多く、投資未経験者も7割となっています。そのため、「いちかぶ」などで少額からの投資を始める方は多いですが、徐々に他サービスの利用を開始する方も見られます。1人当たりの預かり資産残高も、開業当初と比較すると年々増えてきていますね。
イ:少額投資から始めて知識を積み重ねたうえで投資金額を上げたり、様々な投資サービスを利用したりといった方もいますが、一方でハイリスクハイリターンの取引を求める方もいるので、投資への入り口や投資の仕方は人それぞれだなと思います。そういった面で、「LINE証券」はサービス開始から約3年で様々な投資サービスを提供してきていますので、間口を広く設けることができるようになってきています。この点は、開業当初と比べると、大きく変化してきていますね。
「LINE証券」が目指す生活に溶け込んだ“新しい総合証券サービス”
ーー今後強化していきたいと考えている領域はありますか?
イ:「LINE証券」は、「LINE」という国内約9300万人の利用者を抱えるコミュニケーションアプリを生かしたサービス提供ができるので、その点を取り入れたサービス強化には力を入れていきたいと考えています。例えば、投資に対する知識不足を感じている方や、経済の動きが読めない、と感じている方は多くいらっしゃると思います。そういった方々に対して、投資を実践するまでの入口をサポートしていく、という領域も我々の役目だと思うんです。そういった思いもあり、これまで周りの人の動きを参考にできる「マイページ公開機能」や、AIを活用した通知機能など、利用者のインサイトを意識したサービスの開発を行ってきました。これまで取扱商品の開発や取引サービスの展開に注力したことでここまで定着してきたので、これからはサポートサービスにも力を入れていくフェーズかなと考えています。
石川:投資を始めるきっかけだけでなく、投資を継続して資産形成をしていただくことをサポートできる証券会社へ進化していければと思います。一方で、証券サービスとしてより信頼いただけるよう、サービス基盤を保ち続けていかねばなりません。そういった面で、日本最大手の証券サービスを展開する野村ホールディングスと連携できていることは非常に大きいです。「LINE」だけでは、この規模の証券会社を作ることはできないので、システム面や商品面など、今後もさらに連携を強めていきたいと考えています。
ーー最後に一言、コメントをお願いします。
イ:使い慣れている方も多いコミュニケーションアプリ「LINE」を利用して投資ができるので、これまで証券サービスとは馴染みが薄かった方々にとっては、投資を始める良いきっかけになると思います。そしてそのような方々をサポートできるサービスも拡充していきたいと考えていますので、是非期待していただきたいです。
石川:投資未経験者の方は始めるきっかけとして利用いただきたいですし、豊富なラインアップの投資サービスに加えLINE証券独自の便利な通知機能や投資アイデア情報などもありますので、経験者の方にも是非利用いただきたいです。そのためにも、私たちも日々サービスのアップデートを行い、生活に溶け込んだ新しい総合証券サービスを目指していきたいと思います。