KDDIは2022年11月28日、監視カメラの映像データを高セキュリティなクラウド上で管理・可視化する映像統合管理サービス「KDDI Video Management Service」の提供を開始すると発表した。
同サービス利用により場所やデバイスを問わず秘匿性の高い監視カメラ映像を閲覧可能とするとのことだ。
また、同サービスの映像をAI映像解析と組み合わせることで、指定エリア内の滞留・侵入検知による「防犯・防災対策」、製造品や設備の外観検査による「検品業務や設備点検の効率化・自動化」など、企業の課題解決やDX実現を支援。
今後はAI機能を順次拡充することで、ユーザーの新規ビジネス創出や既存ビジネスの付加価値向上など、幅広い映像の利活用を目指していくとしている。
■背景
現在、多くの企業は各拠点の防犯や内部統制上の監査証跡などを目的とし、監視カメラを設置している。各拠点の映像データを本社・データセンターなどに設置した録画サーバーに集約する場合、映像伝送にかかるネットワークの構築・運用コストが大きくなるため、監視カメラシステムを拠点ごとにオンプレミス(自社所有)で構築しているという。
オンプレミスの監視カメラシステムの課題として、映像データが現地の録画サーバーでしか取得できないことや、ストレージの破損などにより映像が消失してしまうことなどが挙げられるとのことだ。
そのため、監視カメラシステムのクラウド化に注目が集まっている一方で、企業における各拠点のカメラ映像には機微な情報も多く秘匿性が高いため、セキュリティ上の懸念から監視カメラシステムのクラウド化を実現できない企業も多いのが実情であるという。
■同サービスについて
1.拡張性の高いクラウド上で映像データを統合管理
法人の顧客が各拠点にて、オンプレミスで構築していた監視カメラシステムを、クラウド上の録画サーバー・ストレージで統合管理。
クラウドでの提供により、同サービス導入時の初期投資は不要。高セキュリティなクラウド上の監視カメラシステムを利用することで、顧客は自社のポリシーに適合した保存期間や画質を自由に設定できるほか、柔軟に環境を拡張・縮小することが可能であるとのことだ。
2.セキュアな環境
監視カメラの映像伝送・映像閲覧時はすべてKDDIが提供中の閉域ネットワークKDDI Wide Area Virtual Switch(KDDI WVS)経由に限定しているという。クラウド上の録画サーバー・ストレージなどの設備もKDDI WVSと閉域接続しているため、秘匿性の高い監視カメラ映像も安心して同サービスを利用できる。
クラウド上に保存する映像データはKDDIの国内複数データセンターに分散保存されるため、ストレージの破損などによるデータ消失の回避や運用品質の向上、映像データの高保全性を実現。拠点エリアの自然災害や火災発生時などにおいても映像データの閲覧・保全が可能であるという。
3.既設の監視カメラも柔軟に利活用できるオープンプラットフォーム
オープンプラットフォームなサービスであるため、監視カメラを新設する必要はなく、顧客がすでに使用しているカメラも利用可能。カメラメーカーに依存することなく、一般的なIPカメラ12,000機種以上で利用できる。
すでに各拠点で録画サーバー(オンプレミス環境)を運用している場合においても、同サービスに映像を追加伝送することで、同サービスをバックアップサイトとして利用できるという。
■AI映像解析について
同サービスの映像をAI映像解析と組み合わせることで、車体種(トラック・乗用車・バイク)や人などを認識し、指定エリアに一定時間以上駐車した場合や、通常と逆方向から侵入した場合のアラート自動発報を可能とし、防犯・防災対策の高度化を支援するとのことだ。
また、製品や設備の異常を認識し、製造ライン検査工程の検品における傷などの検出や、設備の錆などの検出を可能とし、検品業務・設備点検の効率化・自動化を支援。
KDDIグループのDXGoGoがAIのアグリゲーターとしての役割を担うとしている。企業のさまざまなニーズに応えるため、AIパートナー各社との連携を進め、AI映像解析サービスを拡張し、映像の利活用によるDX実現を推進するとのことだ。
DXGoGoのパートナーの1社目として、AI市場でトップシェアを持ち、各種産業向けにDXソリューションを提供し企業のDXを実現しているオプティムと連携し、「防犯・防災」「店舗最適化」など各種AI映像解析サービスを提供するとしている。
KDDIは、2019年から5Gを活用した物流の高度化にKDDIと共に取り組む日立物流 と、同サービスの実証実験を実施しているという。