自らが子どもをもつことを望む、望まないにかかわらず、少子高齢化という課題を抱える日本では、持続可能な社会をどのように形成していくか、一人ひとりが向き合い考えていきたい問題だ。そこで必要なのは、自らの生き方を尊重しながら、他者のライフステージの変化や多様なライフプランを受け入れ、ともに協力していく“ファミリーフレンドリーな社会”を構築していくこと。この価値観を世の中に浸透させていくためには、一人ひとりの意識はもちろん、多くの企業も同じ方向を向いている必要がある。

『“ファミリーフレンドリーな社会”の経済学』と題したオンライン・シンポジウムが2022年9月7日に開催された。本シンポジウムは、メルクバイオファーマ株式会社が実施する“新しい命を宿すための努力を、皆が応援する社会”を目指すYELLOW SPHERE PROJECTの一環として開催。多様性や個人の選択を尊重する現代社会において、“ファミリーフレンドリーな社会”の構築が一人ひとりの生活に寄与することを経済学からひもとく。より良い社会への道しるべを探る本シンポジウムの内容をレポートする。

シンポジウム本編はYouTubeにてノーカットで公開中

第一部は、2児の母であり経営者としての顔も持つタレントの川崎 希さんと、東京大学大学院 経済学研究科の山口 慎太郎教授が登壇。“ファミリーフレンドリーな社会”の構築が、次世代に向けたより良い生活につながることを経済学の観点から考察する。第二部では、多様な働き方を大切にするダイバーシティ&インクルージョンを実践しているリーディングカンパニー5社による事例が紹介された。

開催に際し、メルクバイオファーマ株式会社 代表取締役社長 アレキサンダー・デ・モラルトは「今回は、経済とヘルスケアの観点からファミリーフレンドリーな社会の実現について考えていきたい。すべての人がヘルスケアにアクセスでき、健康的なライフスタイルを促進することが重要で、国際的な競争力を維持するためには、“ファミリーフレンドリーな社会”をつくる必要がある。それはすべての人が幸せになり、子育てとキャリアの両立ができる社会。そのために、政府の取り組みだけではなく民間企業も重要な役割を担うことが期待されている。今日の議論を楽しみにしている」とあいさつした。

メルクバイオファーマ株式会社 代表取締役社長 アレキサンダー・デ・モラルト

ファミリーフレンドリーの定義とは?

まず、司会を務めるフリーアナウンサーの小熊 美香さんより、ファミリーフレンドリーとは何か、その定義が紹介された。

ファミリーフレンドリーとは『育児や介護といった家族的責任を負う方々への配慮』であり、家族的責任を負う従業員の仕事と家庭の両立を支援し、多様かつ柔軟な働き方を労働者が選択できる仕組みのこと※1を指す。

※1)和光大学教授 坂爪洋美氏:ファミリーフレンドリー──ファミリーフレンドリーからワーク・ライフ・バランスへの転換が意味すること

ここで強調しておかなければいけないことは、“ファミリーフレンドリーな社会”は必ずしも育児や介護に携わる者のみに関係するものではないということ。真のねらいは、多様で柔軟な働き方や生き方を、一人ひとりが選択できる社会にしていくことである。

“ファミリーフレンドリーな社会”を目指す日本の現状と課題

“ファミリーフレンドリーな社会”を構築するために必要な要素として、少子化対策や育児支援が挙げられる。ここで日本における出生数や育児環境についてのデータが紹介された。

2022年6月に厚生労働省が発表した合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産すると見込まれる子どもの平均数)は1.30(2021年)と、6年連続で前年を下回っている。出生数も2000年にはおよそ119万人だったが、2021年には81万人まで減少し、2022年は80万人を割る見込みだ。

図:出生数、合計特殊出生率の推移

また、日本・フランス・ドイツ・スウェーデンの4カ国で行った、自国を『子どもを産み育てやすい国だと思うか』の調査では、日本では「全くそう思わない」が13.9%、「どちらかといえばそう思わない」が47.2%と、60%以上が子育てしにくいと感じている現状がある。一方で、残る3カ国は子育てしやすいと感じている回答が80〜90%以上を占めており、日本には大きな課題があることが示された。

図:子どもを生み育てやすい国だと思うか(4カ国比較)

こういった調査から川崎さんは「日本はヨーロッパよりも子どもを育てにくい環境。少子化が進むことで、子どもたちが高齢者を支える負担が大きく大変になってしまう。そのことについて今日は詳しく聞きたい」と、山口教授に投げかけた。

タレント 川崎 希さん

経済学から見る、少子化が与える社会への影響

では、具体的に少子化が与える社会への影響はどういったものなのか。山口教授は少子化や人口減少は経済規模の縮小や税収減少を引き起こし、社会保障制度の維持や GDP(国内総生産) への影響を、データを交えて解説した。

東京大学大学院 経済学研究科 山口 慎太郎教授

「まずGDPが影響を受ける。人口減少で労働力人口も減ると経済規模が縮小し、GDPが伸び悩んでしまう。もうひとつ重要なのは、社会保障財政の維持が困難になること。仕事を引退した方が受け取る年金は、若い現役世代が納めた年金保険料や税金から拠出されている。少子高齢化が進むと、受け取る人数が増えるのに対し、原資をつくり出す人数が少なくなってしまい財政負担が膨らむ」

図:TFR(合計特殊出生率)の代替シナリオによる日本のGDPの予測

また、山口教授は「少子化問題と無縁な人はいないのではないか。企業経営から見ても人口減少は懸念すべき問題。すでにさまざまな業界で人手不足は始まっており、一層深刻になる可能性がある」と指摘する。

経済規模の縮小、社会保障制度維持の困難など、少子化問題は個人の未来にも影響する。では、“ファミリーフレンドリーな社会”の構築は社会全体にどのようなベネフィットを与えるのだろうか。

山口教授によると「“ファミリーフレンドリーな社会”は女性の働きやすさにつながる。男性が家事や育児に参加することで、女性が労働市場で活躍する余裕が住まれる。また、家事や育児負担が減ると、出産・育児に対して前向きに考える人が増え、出生率の引き上げにつながる。長期的に見ても労働力不足の解決にもつながるのではないか」といった、良いスパイラルを生めるベネフィットがあるようだ。

また、“ファミリーフレンドリーな社会”を構築することは、子どもを持つことを望まない人にも影響を与えると山口教授は語る。“ファミリーフレンドリーな社会”とは、言わばワーク・ライフ・バランスを大切にした社会。子育てだけではなく、介護や傷病といった場面、そして自己研鑽の時間にも関わり、働き方改革につながる取り組みであるという。

子育て・保育・不妊治療への取り組みが生むメリット

“ファミリーフレンドリーな社会”の実現に向けて必要とされる、子育て・保育・不妊治療についての取り組み。それらがどのように多様で柔軟な働き方につながっているのか、ニューストピックスを交えて紹介された。

子育てへの取り組み

2022年4月に改正された『育児・介護休業法』には『産後パパ育休制度』が新設され、企業には男性社員の育休取得に向けての働きかけが義務づけられた。さらに10月からは子どもの出生後8週間以内に、育児休業とは別に4週間まで休暇を取得できる。また、東京都では“育休”という言葉が与える仕事を休むイメージを払拭すべく、子どもを育む期間として“育業”と愛称の変更したことも話題となった。

図:男性の育児休業取得促進のための出生時育児休業

山口教授曰く、男性の育休取得は、近年さまざまな方面にメリットがあると経済学の研究からも知られるようになったという。

▼本人・家族のメリット
カナダの研究では、1カ月間の限られた育休取得であっても、3年後の子育て時間が20%伸び、子どもの学力向上につながったとする結果が報告されている。また、アイスランドの研究では離婚率の低下も見られている。

▼企業のメリット
男性の育休取得が業績の悪化につながったケースは見られず、むしろ育休取得を契機に業務の棚卸しがされ、生産性が向上している。

▼社会のメリット
夫婦間で子育て負担が分散されることで、出生率の引き上げにつながる。また、女性の働きやすさにつながることで労働力不足の解消へと向かう。

このように多くのメリットがあるが、日本ではどれくらい男性の育休取得が進んでいるのだろうか。

図:育児休業取得率の推移(男性)

近年、取得率は右肩上がりだが、そのパーセンテージは2021年の時点で13.97%にとどまっている。北欧諸国では70〜80%を推移していることを考えると、かなり低い水準だ。しかし、ユニセフの調査によると、日本の男性育児休業制度は世界でもトップクラスだという。制度が整っていても取得率が低い背景には、取得しづらい企業風土や労働環境があり、企業側の意識改革や制度の周知が不可欠となっている。

保育への取り組み

2019年10月より、幼児教育・保育の無償化がスタート。幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3〜5歳児クラスの子どもたち、および住民税非課税世帯の0〜2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が無料となった。

「保育は次世代への投資。子どもの発達や健康に寄与し、その効果は大人になってからも持続していることが研究によって知られている。アメリカの『ペリー就学前プロジェクト』を分析した研究によると、その収益率は年間7%。アメリカの株式市場に投資するよりも大きいリターンであることがわかっている」と山口教授。次世代への投資は経済的にもインパクトがあるものだと解説した。

また、山口教授の研究チームの分析によると、保育への取り組みは母親にも好影響をもたらすと結果が出ているという。子どもを保育所に通わせることが子育てストレスからの解放につながることや、就業することで得られる金銭的余裕などから、幸福度が高くなることがわかっている。

実際に子育て中の川崎さんは経験談から「子供を産むまでは子育てに専念する方がいいと思っていたが、実際に24時間子育てに向き合うのは大変。仕事をすることでリフレッシュされ、子どもとの時間をより楽しめるようになった」と語り、男性の育児休業取得に関して「これまでは制度が整っていないのではないかと思っていた。制度は整っているのに活用できていないということは、企業側が活用しやすくする必要がある。自分のなかではママ目線と経営者目線は違うものだが、どちらの視点からも勉強になった」と感想を述べた。

不妊治療への取り組み

不妊治療は2022年4月より保険適用され、自己負担額は3割となった。これまで不妊治療を受ける際の高いハードルと言われているが、治療費用、ほかにはどのような理由があるのだろうか。ここでも日本・フランス・ドイツ・スウェーデンの4カ国の調査結果を参照する。

図:不妊治療が受けにくい理由

日本は「仕事に影響するから」が49.0%と諸外国に比べて突出。ワーク・ライフ・バランスが機能していない可能性や、職場環境の改善が課題と考えられる。

「企業は、不妊治療と仕事の両立支援は良い人材の確保につながると考えるべき。不妊治療を受けるのは職場の中核を担う30代が多い。そういった人材が不妊治療と仕事の両立に悩み、結果として退職を選択してしまうのは企業にとっても大きな損失。社員のライフイベントを尊重する姿勢は、会社への愛着を生む。ファミリーフレンドリーな会社だからこそ、社員は生産性を高めていけるはず」と山口教授は主張した。

実際に不妊治療を経験した川崎さんは、そのスケジュール調整が大変だと語る。不妊治療は女性の体の周期に合わせて行われるため、医師から告げられる日程を優先しなければならない。だからこそ、会社側には理解と柔軟な対応が求められるのだ。

ファミリーフレンドリーは出発点。ゴールは誰もが働きやすい職場

“ファミリーフレンドリーな社会”の実現には、制度の導入だけではなく、制度を利用できるようにお互いが助け合える社会・職場にしていくことが大切だ。「ファミリーフレンドリーはゴールではなく出発点。誰にとっても働きやすい職場にする必要がある」と語る山口教授。

第一部の最後に、ファミリーフレンドリーな取り組みを行う上で必要なことを、経済学の観点から伺う。

「ESG投資※2にも影響するため、ファミリーフレンドリーな企業経営は年々重要性を増している。ガバナンスがよくない会社は投資が受けられず、グローバル企業との取引の機会も失ってしまうことが明らかになりつつある。ガバナンスを見る際には、女性の活躍状況(管理職の割合や男女の賃金格差など)が注目されており、女性が活躍することは生産性を高め、利益を生む——。これが投資家の期待する視点。ファミリーフレンドリーな取り組みは企業経営には外せないものだ」と、山口教授は見解を語った。

※2)ESG投資とは、財務情報に限らず企業のEnvironment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)の要素を考慮した投資こと。

社員の多様性を尊重する先進企業の取り組み

“ファミリーフレンドリーな社会”を構築するには、充実した制度の導入のみならず、多様な選択を尊重できる企業風土をつくることが大切だ。

第二部では、社員の多様性を大切にするリーディングカンパニー5社の、“ファミリーフレンドリーな社会”の構築に向けた取り組みを紹介する。5社の事例紹介に先立ち、主催のメルクバイオファーマ株式会社のデ・モラルト社長より事例が紹介された。

ロールモデル企業へと邁進|メルクバイオファーマ株式会社

サイエンスとテクノロジーのリーディングカンパニーであるメルクでは、医療の研究開発にとどまらず、社会的課題に関する調査や発表を行っている。これまでの調査※3では、3人に1人が仕事と不妊治療の両立が困難であると感じており、また、不妊治療を受けている人の約17.9%が離職しているという結果が出ている。この背景には様々な原因があるものの、不妊治療について認知や理解が乏しく、企業が不妊治療を十分に支援できていないと考えられるようだ。そこで不妊治療領域にかかわる企業でもあり、日本の企業のロールモデルを目指してYELLOW SPHERE PROJECTが立ち上げられた。
※3)「第4回 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」調査結果概要

社員向けのプログラムは以下の3つを柱とし、グループ内の全従業員への教育啓発と支援を行なっている。

1. Yellow Support:不妊治療に対する啓発・教育セミナー
2. Yellow Leave:不妊治療を受ける全社員を対象に有給休暇を付与
3. Yellow Point:不妊治療費の助成

続いて、リーディングカンパニー5社の事例を紹介する。

目指すはあらゆる人にフレンドリーな社会|オムロン株式会社

オムロン株式会社 グローバル人財総務本部企画室 ダイバーシティ&インクルージョン推進課 マネージャー 丹羽 尊子氏

制御機器やヘルスケア事業を展開するオムロンでは、2005年より不妊治療関連制度を導入。労使一体となった議論を進めるなかで不妊治療を解決すべき社会課題と捉え、働きながら治療を進められる制度を採用。「ファミリーフレンドリーな状態とは、あらゆる人にフレンドリーであることだと捉えている」と語る丹羽氏。不妊治療に限らず、“安心”をキーワードに全社員が利用しやすい制度を設けている。具体的には以下のとおり。

【休める安心】

  • 休職制度
    不妊治療を受けるため、年次有給休暇を上回る長期間の休業が必要な場合に利用可
  • 給付金制度
    2年間で通算20万円以内を給付。本人と配偶者が対象

【休まなくて済む安心】

  • フレックス・タイム制
    コアタイムなし。朝5時〜夜10時までの間に最低1時間稼働すれば出社とみなされる
  • 在宅勤務制度
    利用事由・利用回数の制限を廃止

ジェンダーギャップの解消に注力|セイコーエプソン株式会社

セイコーエプソン株式会社 ダイバーシティ推進プロジェクト 部長 根村 絵美子

世界中に生産・サービス拠点を有するセイコーエプソンでは、社内の顕著な課題であるジェンダーギャップの解消に取り組んでいるという。

2022年度は女性リーダー級(係長相当)比率の目標を7%に掲げている。しかし、女性社員比率がおよそ17%であるため、まだまだスタートラインに立ったばかりだと話す根村氏。女性活躍を進めていくためには男女ともに意識改革が必要であるとし、粘り強く施策に取り組む。また、ジェンダーギャップを埋めるために男性の育休取得も重点施策と捉え、2022年度は男性育休取得率100%を目指している。会社として目標を設定したことで取得しやすくなり、管理職の方々も支援していく意識が芽生えたという。

そのほか、育休対象者とその上司に向けて情報提供や相談窓口を案内したり、育児とキャリアの両立についての説明会(配偶者も参加可)を開いたりしている。

拡充し続ける社員に寄り添う施策|ソニーピープルソリューションズ株式会社

ソニーピープルソリューションズ株式会社 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進室 室長 森 慎吾氏

ソニーピープルソリューションズは、ソニーグループ全体のDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進するのも重要な役割として担っている。健全な職場環境の整備と多様な人材の採用・育成・登用を進めている。

今回紹介されたのは『Symphony Plan』と題した、仕事とライフイベントの両立支援制度だ。男性育休の推進はもちろんのこと、不妊治療やがん治療、育児・介護といったあらゆる場面に対応する休暇制度や支援金などを完備。例えば、妊娠前(不妊治療) / 妊娠中 / 産前産後と仕事との両立といった、段階ごとに細かい支援が用意されている。社員一人ひとりに寄り添い、チャレンジを支援することが目的であり、この施策は拡充し続けているという。

不安・不都合を安心に変える仕組みづくり|日本航空株式会社

日本航空株式会社 人財戦略部 D&I推進グループ グループ長 加藤 周樹氏

「全社員の物心両面の幸福を追求し、社会の進歩発展へ貢献する」を企業理念に掲げる日本航空。社員の男女比が半々である同社は、以前から不妊治療休職(1年間)や法改正の前から産後パパ育休制度を設けるなど、ライフイベントの支援を積極的に行なっている。ダイバーシティ&インクルージョンを推進するなかで、社員が抱える不安・不都合を解消し安心に変えることが大切だとし、具体的な取り組みとして以下の2つを紹介した。

【Femtech プログラムの実証導入】※他社と共同の取り組み
月経・更年期・妊活の3つのプログラムが用意されたオンライン診療。仕事の合間に受診できるというもの

【男性育休取得の仕組み化】
子どもが生まれる社員には「育休計画」を提出するように指示し、取りづらさを解消する仕組みを導入

3本柱で挑む風土改革|パナソニック コネクト株式会社

パナソニック コネクト株式会社 人事総務本部 DEI推進室 室長 油田 さなえ氏

BtoBソリューションを事業とするパナソニック コネクトでは、2017年から行う事業構造改革の土台として「風土改革(社内ではカルチャー&マインド改革という)」に取り組んでいる。具体的にはDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)・働き方改革・コンプライアンスをその3本柱としている。特に、DEI推進においては人権の尊重と企業競争力向上の2つの観点を重視し、企業を存続させるための経営戦略の1つとして推進しているという。主な取り組みは以下のとおり。

【妊活支援/チャイルドプラン休業】
不妊治療のために休業を希望した場合、通算365日以内とし、本人が申し出た期間を取得することができる制度

【男性の育児参加】
2019年、株式会社ワークライフ・バランスの「男性育休100%宣言」に賛同。「男性のための育休ガイドブック」作成などを行った結果、男性も育休取得が当たり前の風土を醸成中(2021年度男性育休取得率88.4%、平均取得日数21.8日)

【生理休暇】
年間13日まで有給にて取得が可能な制度は過去からあるが「半日だけ取得したい」「生理よりもPMSが辛い」「男性の上司に申請しづらい」といった声に応えるべく、制度の改正や社員公募で名称の変更を推進中

“ファミリーフレンドリーな社会”を構築するために必要なこと

冒頭で「“ファミリーフレンドリーな社会”をつくるには民間企業も重要な役割を担うことが期待されている」とデ・モラルト社長が語ったように、国の制度だけではなく、実行に移し、進化させていく民間企業の活動が要となる。

事例を紹介した5社に共通しているのは、制度の導入だけで終わらせることなく、改善を行い、継続的な実施を見据えていること。そして、本シンポジウムへの参加をはじめ、他社と協力しながら大きな社会課題に取り組もうとする姿勢が感じられた。

デ・モラルト社長は「このようなベストプラクティスを共有することは重要で、お互いに学び合うことができる。もっと多くの企業が社員をサポートして、“ファミリーフレンドリーな社会”を構築するために協力していくべき」だと語った。参加した企業からは「終わりがない取り組みなので、みなさんの事例を参考にしたい」「制度が整っていてもそれをどう浸透させるかが課題。それをみなさんと一緒に考えたい」といった声が上がっている。

“ファミリーフレンドリーな社会”を構築するには、一人ひとりが多様で柔軟な働き方や生き方を選択できる世の中にしよう、という意識を持ちながら行動しなければならない。そのためにはファミリーフレンドリーという価値観を世の中へと発信する企業活動も必要不可欠だ。今回のシンポジウムはそのトリガーとなれる、とても有意義な内容だったのではないだろうか。

妊娠を希望してもなかなか叶わないという“社会課題”に対し、製品やサービス提供にとどまらず、妊活や不妊治療をする人々を支援し応援するプロジェクトです。目指すところは、より多くの人に適切な情報を伝えて、サポートの輪を広げ、人々の充実した暮らしという未来をつくることへの貢献です。新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ。それが、YELLOW SPHERE PROJECTの先にある未来です。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/yellow-sphere-project.html

メルクについて

Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約57,000人の従業員が、人々の暮らしをより良くすることを目標に、より楽しく持続可能な生活の方法を生み出すことに力を注いでいます。ゲノム編集技術を進展させることから治療が困難を極める疾患に独自の治療法を発見すること、また各種デバイスのスマート化まで、メルクはあらゆる分野に取り組んでいます。2019年には66カ国で162億ユーロの売上高を計上しました。

メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、パフォーマンスマテリアルズ事業ではEMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。

メルクバイオファーマ株式会社について

メルクバイオファーマ株式会社は「メルク ヘルスケア・ビジネス」(本社:ドイツ・ダルムシュタット)における、バイオ医薬品事業部門の日本法人です。2007年10月1日にメルクセローノ株式会社として発足し、がん、腫瘍免疫および不妊治療領域を重点領域としています。
メルクバイオファーマ株式会社の会社概要については下記をご覧ください。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.html