ペット保険のアニコム損害保険は、ヒトのがんスクリーニング検査法として注目されている線虫がん検査「N-NOSE®(エヌノーズ)」のイヌ・ネコへの応用を試みるHIROTSUバイオサイエンス(以下、HIROTSU)と共同研究を行っていたという。

今回、同研究の成果をまとめた論文が学術誌「Biochemistry and Biophysics Reports」に掲載されたと発表した。

昨今の獣医療におけるがんの早期発見の重要性とその課題

近年、飼育環境の変化や獣医療がヒト医療に追随する形での発展してきたこと等により、イヌやネコの死亡原因の第一位はヒトと同じく「がん」が占めるようになったという。効果的な治療を行い、最終的な生存率・予後を改善するためには、がんの早期診断が重要であるという。

しかし、がんの早期診断にはコンピュータ断層撮影法(CT)や磁気共鳴画像法(MRI)が必要な場合が多いが、これらの技術は高価であること、またかつ全身麻酔が必要であることからなため、定期的な検査は非現実的ではないとのことだ。

そのため、経済的負担や動物への身体的負担が少なく、早期がんを発見するための簡便かつ非侵襲的な検査が求められているという。

HIROTSUが研究・開発・販売する「N-NOSE」は、特定の線虫(C. elegans)の嗅覚を利用した、ヒト用の非侵襲的ながんスクリーニング検査。特定の線虫は、がん患者の尿には引き寄せられるが、健康な人の尿は避ける傾向があるという。

この特性を利用し、「N-NOSE」は15種類のヒトのがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、子宮がん、食道がん、胆嚢がん、胆管がん、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がん、口腔・咽頭がん)を発見することが可能であるとのことだ。

同研究では、特定の線虫がイヌとネコの健常個体・腫瘍個体の尿の匂いを検出し区別できるかどうかを調査。

同研究の概要と成果

イヌ37頭(健常個体19頭、腫瘍個体18頭)、ネコ23頭(健常個体10頭、腫瘍個体13頭)を対象に、パイロット臨床試験を行いました。その結果、イヌとネコの尿サンプルにおいて、健常個体と腫瘍個体の間で特定の線虫の反応に有意な差があることがわかったという。

あわせてReceiver Operating Characteristic分析(ROC分析:モデル予測の正確度を評価するための方法の一つ)にて、がんの判定に適したサンプルの希釈濃度の検証を行った結果、ある一定の濃度において検査に対し有効な性能となることが示されたとのことだ。

以上のことから、特定の線虫がヒトでの検査と同様に、イヌとネコの腫瘍個体の尿サンプルに誘引されること、健康なグループと腫瘍グループとを区別し得ることが示された。この結果は、線虫による検査が、イヌおよびネコにおける簡便・正確かつ低コストながんスクリーニング法として有用であることが示されたと考えているという。

​同研究におけるアニコム損保の貢献について

同研究では多くのイヌおよびネコの尿検体に加え、それらの背景となる年齢、性別、腫瘍の種類、部位等が整理されたデータが必要となった。そのためアニコム損保では、グループ会社であるアニコム先進医療研究所が運営するグループ動物病院等から検体および付属する情報を収集し、同研究に提供することで、イヌおよびネコにおける線虫によるがん検査の効果の検証に寄与したとのことだ。

今後もアニコム損保では、予防型保険会社として、さまざまな研究を通じ、獣医療の発展と動物の健康に寄与すべく尽力していくとしている。