三菱総合研究所(以下、MRI)は、2022年10月より、神戸市・アイネスと共に、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「Region Ring®」を活用した自治体福祉給付券のデジタル化である「スマート給付」の実証事業を開始した。
人口減少・高齢化、新型コロナウィルス対応等の中、自治体事業には一層の業務効率化・利便性向上が求められており、神戸市では、「行財政改革方針2025」(2020年9月)で示した「スマート自治体」の実現に向け、業務改革・DXを推進し、行政手続きスマート化率70%やペーパーレスの徹底等を掲げている。
MRIは、地域課題解決型デジタル地域通貨サービスを提供し、地域商品券やポイントなど自治体の市民向けサービスのDXに取り組んでおり、アイネスは、神戸市の福祉分野における基幹システムとしてWebRings®の導入(2023年春)に向けた検討を進めているという。
神戸市・アイネス・MRIは、三者の取組み・強みを組み合わせ、市民、事業者、自治体の三方一両得を目指したDXのモデルケースの一つとして、紙おむつ支給事業を対象に、紙の給付券のデジタル化である「スマート給付」の実現に向けた実証事業を実施するとのことだ。
■事業の概要
(1)スマート給付の特徴
「スマート給付」は、紙の福祉給付券をデジタル化することにより決済の利便性向上や精算業務の効率化に資する先駆的なDX事業です。スマートフォンアプリに電子給付券を発行し、二次元バーコードを活用して決済。事業者の商品ごとに二次元バーコードを発行し、1円単位での利用が可能です(現金併用も可能)。
(2)実証概要
内容:
給付アプリ提供、電子給付券の発行と運用を通じた、利用者にとっての利便性や、事業者、神戸市の業務効率化に関する課題の検証等
実証時期:
2022年10月~2023年3月(第3四半期、第4四半期)
実証対象事業:
紙おむつ支給事業(神戸市福祉局介護保険課所管)
利用対象者:24名
協力事業者(店舗):16事業者19店舗
(3)期待される効果
紙おむつ支給事業では、これまで紙おむつ券を紙券で配布・精算していたが、1枚1000円単位でおつりが出ない、精算の実績報告書作成に手間がかかる等の課題があったという。
今回の実証事業では、紙券をデジタル化することにより1円単位での利用が可能となり、また、取引データを即時確認して精算に活用することで、利用者にとっての利便性向上や事業者、神戸市の業務効率化が見込まれるとのことだ。
MRIは、実証事業を通じて自治体における業務デジタル化に伴う課題を洗い出し、今後に向けた改善およびアイネスのWebRings®との連携を検討するとしている。
また、紙おむつ支給事業における今後の展開や自治体における他の事業等のDXに向けた検討により、「Region Ring®」を活用した地域課題解決に向けた効率的・効果的なDXを推進し、地域における多様な資金循環の実現を目指すとのことだ。