東京ガスは、九州大学、ジャパン・リニューアブル・エナジーと、洋上風力発電の風車ウエイク現象(※1)を高精度に再現し、設備利用率向上と故障率低減を図り、発電コスト低減に寄与するツールの開発を開始すると発表した。
東京ガスは、燃焼や温熱環境評価などの都市ガス事業で培った数値流体解析技術(※2)を活用し、風車ウエイク現象の更なる解明に取り組むとともに、AIを用いた風車ウエイクモデルの開発を担当するという。
なお、同開発は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公募する「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)」に採択されたもので、昨年度に続き2期連続の公募採択となるとのことだ。
■同開発の概要
期間:
2022年10月~2025年3月
開発内容:
・昨年度事業で実施した風車単体での風車ウエイク現象の解明研究を深化させ、2基以上の風車が連なりウエイクが相互に干渉し合う複雑な状況下での風車ウエイク現象の解明。
・風車ウエイク現象を含む風況を相対誤差率10%以内の高精度で予測可能なツールの開発。
社会実装時の効果:
・風車の最適配置設計や適切な運転制御により、洋上風力発電所1サイトあたり数十億円~数百億円(20年間)
■同開発における役割分担
東京ガス:
・実機風車を対象としたウエイク計測とデータ分析
・AIを用いた風車ウエイクモデルの開発
九州大学:
・精密な模型風車を用いた風洞実験
・模型風車・実機風車を対象としたスーパーコンピュータによる再現計算
・CFDポーラスディスク・ウエイクモデル高度化
ジャパン・リニューアブル・エナジー:
・実機風車の運転データ(操業データ)の分析
・実機風車を対象としたウエイク現象の把握(鉛直ライダー(※3)およびドローンによるウエイク計測、ウエイクの可視化)
※1 風車ブレードの回転に伴う、風車下流における風速の低下や風の乱れが大きくなる現象。
※2 都市ガスの高効率かつ低NOxの燃焼の実現や、住宅の省エネ・高い快適性を計算上で再現する技術。
※3 上空にレーザーを照射して、風を計測するリモートセンシング機器。