犬が人間に与える心身の健康効果が明らかに 血圧の低下・幸福感の向上・死亡率の低下など Atlas Japan、考察レポートを抄訳

Atlas Biomed(以下、Atlas Japan)は、Atlas Biomedに所属する、人と微生物の関係を研究しているロス・カーヴァー・カーターが執筆した、「心と体を改善するペットパワー」に関する考察レポートの抄訳を発表した。

8月は犬を祝う「国際ドッグ・デー」があり、この日に伴い、犬を飼うことで得られる血圧の低下、幸福感の向上、死亡率の低下など、心身の健康効果を関連論文とともにまとめたとしている。

「心と体を改善するペットパワー」に関する考察レポート抄訳

■犬を抱きしめると、気分が良くなる化学物質のカクテルが誘発される 
犬を抱くことは、セロトニン、ドーパミン、オキシトシンなどの幸福ホルモンを増加させるという。オキシトシンは、一般に「抱擁ホルモン」として知られており、この化学物質は社会性のあるすべての哺乳類に存在し、絆を深めるのに役立っている。

母親が生まれたばかりの赤ちゃんに母乳を与えるときに多量に分泌され、結果、幸福感や睡眠の質を向上させることができるとしている。ストレスが腸の健康問題を悪化させることを考えると、ペットの添い寝は腸だけでなく、心も穏やかにしてくれるかもしれないと同社は考察。

犬の飼育は心臓の健康増進と関連する
米国心臓協会が発表した研究によると、犬を飼っている人は、心停止や脳卒中などの重大な健康上のイベントからの回復が良好であることが判明。

犬の飼育は、トリグリセリドやコレステロール値の低下と同時に、血圧の低下にもつながっており、これらの健康増進のメカニズムが示唆されている。

さらに、犬を飼うことで全死亡率が24%低下することもわかっており、運動量の増加や孤独感の軽減が関係していると考えられているとのことだ。

犬は運動する機会を与えてくれる
犬は、飼い主に朝起きて出かける気にさせる、究極のワークアウト仲間となる。アメリカ心臓協会の報告によると、犬を飼っている人は、犬を飼っていない人よりもフィットネスの目標を達成する可能性が高いとのことだ。

犬は孤独感(とそれに伴う健康リスク)を軽減できる
孤独は精神的な健康に悪影響を及ぼすが、身体的な健康にも大打撃を与える。例えば、孤独感は血圧の上昇、免疫力の低下、死亡率の上昇と関連しており、これは、孤独が身体活動の低下、睡眠障害、抑うつ症状を引き起こし、健康問題につながるからだと研究者は考えている。

特に高齢者などのリスクが高いグループでは、犬がそばにいることで孤独感が軽減されることが研究により示唆され、さらに、犬は飼い主が他の人間ともっと交流することを促し、孤独に関連する身体的な健康リスク(高血圧やコレステロールなど)に対する抵抗力をさらに高めるという。

ヨーク大学が行った6,000人を対象とした調査によると、90%の人がパンデミック時にペットを飼うことで孤独感が軽減され、精神的な健康状態が改善されたと回答しているとのことだ。

■犬はヒトの快眠を助ける可能性がある
ある研究で、女性は犬のそばで眠ると、より快適で安心できると報告されているという。理由は、犬は飼い主に盗難を知らせたり、脅威から身を守ったりすることができるためだとしている。

また、特別な訓練を受けた犬は、心的外傷後ストレス障害を持つ人の悪夢の影響を和らげ、悪夢を感じた飼い主を優しく起こしてくれることもあるという。

また、子犬に寄り添うことで、気持ちの良い化学物質が放出され、寝る前にリラックスしてくつろぐことができるとしている。

犬と一緒に育つと、アレルギーのリスクを減らせるかもしれない
幼少期にペットに触れることで、子どものアレルギー発症のリスクが下がるという研究もあり、ある研究では、生後1年間に2頭以上の犬に触れることで、特にブタクサやブルーグラス、ダニに対するアレルギーのリスクが下がることが報告されている。

別の研究では、猫や犬などの毛皮で覆われたペットに早くから触れることで、ルミノコッカス菌やオシロスピラ菌が増加し、肥満やアトピー(針刺し試験でアレルギー反応が陽性)のリスク低減につながることが明らかに。

腸内細菌は、免疫系を発達させ、無害な侵入者を攻撃し、無害な化合物を無視するように免疫細胞を調整することがよく知られている。犬はより多様な細菌に触れさせることで、免疫教育の質と範囲を高めているという説もあるとのことだ。

<参考>
アトラス日本合同会社『犬を飼うことで得られる血圧の低下、幸福感の向上、死亡率の低下など、心身の健康効果が明らかに

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