秩父市生活交通・物流融合推進協議会は、埼玉県秩父市の大滝地域において、「大滝共同配送サービス」を実施すると発表した。
秩父市の大滝地域では人口減少や高齢化率の上昇に伴い、日用品確保等の日常生活を支えるインフラとして、宅配サービスの重要性が日々高まっている。一方で物流業界では、ドライバー不足やEC普及に伴う山間地域の配送エリア拡大による、配送効率の低下が課題とされているとのことだ。
今回、地域と物流事業者双方に利益をもたらす物流モデルの構築と地域・物流課題の解決に向け、2022年9月27日~9月29日の3日間、秩父市と同協議会構成員であるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社ならびに協力会社である西濃運輸、福山通運の2社、計5社の物流事業者が連携し、同サービスのプレサービスを実施。
プレサービスを通じて得られた成果や課題を踏まえ、2023年度以降の本格運用に向けた検討を進めていくとしている。
■「大滝共同配送サービス」背景
秩父市は「豊かなまち、環境文化都市ちちぶ」を目指し、全ての人が安心して住み続けられるまちづくりの推進を基本方針に掲げている。都市部へのアクセスもよく自然に囲まれ、歴史文化あふれる観光地として有名な一方、山間地域が多く、住民の高齢化により、災害発生時や日常生活における生活交通・物流等の生活インフラの維持が困難な点が課題となっているという。
同協議会ではこれらの課題解決に向け、物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築への取り組みを、2020年11月から開始しているとのことだ。
今回は物流業界における課題である「運送・配送業務の効率化・平準化」を、同サービスを通して解決し、秩父市の宅配需要を満たすことで地域と物流事業者双方に利益をもたらす、新たな「秩父モデル」構築を推進するとしている。
■「大滝共同配送サービス」プレサービス概要
実施日
2022年9月27日~2022年9月29日
実施エリア
埼玉県秩父市大滝地域
配達実施事業者
ヤマト運輸
参加事業者
物流事業者:ヤマト運輸/佐川急便/日本郵便/西濃運輸/福山通運
位置情報ビッグデータによる配送効率性の分析:ゼンリン
取扱商品
宅配便(配達のみ)※保冷・代金引換商品は対象外/3辺合計200cm・重さ30kgまで
■「大滝共同配送サービス」プレサービスの運営方法/各社の役割
①佐川急便、西濃運輸および福山通運は、大滝地域宛ての荷物を「ヤマト運輸影森営業所」に持ち込み。
②各社の荷物を積み込んだヤマト運輸のトラックが「荒川郵便局」に立ち寄り、日本郵便の荷物を積み込む。
③大滝地域宛ての荷物を積み込んだヤマト運輸が、受取人の自宅まで荷物を配達。
■今後の展望
2022年度はプレサービスを通じて得られた成果を踏まえ、共同配送におけるオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理するという。
2023年度以降、地元の物流事業者をサービスの体系に加え、ラストワンマイルの配送を地元の物流事業者が担うことで、「物流機能」と「高齢者を支援する地域の見守り(共助)機能」を兼ね備えた新しい物流モデルの構築とその実装を目指すとのことだ。
さらに、ゼンリンが開発する「位置情報ビッグデータを管理するデータ基盤」と、「街の活動状況を可視化するダッシュボードシステム」を用いて、共同配送の運行管理をシステム化し、全国への展開を目指すとしている。