富士フイルム、次世代電池の米国企業へ出資 準固体リチウムイオン電池の製造・販売のライセンス契約を締結

富士フイルム

富士フイルムは、今回、次世代電池(SemiSolid Lithium-ion Batteries:準固体リチウムイオン電池)の研究・開発を行う米国企業24M Technologies, Inc.(以下、24Mテクノロジーズ社)の新株予約権付社債(コンバーティブル・ノート)を引き受け、同社に20百万ドルを出資したと発表した。

また、同出資にあたり、24Mテクノロジーズ社と準固体リチウムイオン電池の製造・販売に関するライセンス契約を締結しているとのことだ。

昨今、脱炭素社会の実現に向けて、電気自動車の普及、再生可能エネルギー由来の電力の利用が進んでいる。これに伴って、車載電池や定置用蓄電池の市場が伸長し、それらに使用されるリチウムイオン電池の需要も拡大。

現在、高い安全性やさらなる高容量化など性能向上に対するニーズがますます増える中、電解液を固体化するなど電池の構造や部材を変更した新電池の研究開発が活発化しているという。

24Mテクノロジーズ社は、電極部材に電解液を練り込むことで半固形化した準固体リチウムイオン電池の研究・開発を行う企業。

24Mテクノロジーズ社は、現行の液系リチウムイオン電池の材料および製造工程を見直すことで、高い安全性・エネルギー密度と環境負荷の削減を実現した準固体リチウムイオン電池の独自プロセスを確立。

同プロセスでは、液系リチウムイオン電池製造にて電極の塗布に必要な有機溶剤NMPを使用しないため、大量のエネルギーを要する塗布後の電極の乾燥工程を不要とし、コストメリットもある電池の製造が可能であるとのことだ。

現在、24Mテクノロジーズ社は、準固体リチウムイオン電池技術に関するライセンスを複数の製造パートナーに供与し、準固体リチウムイオン電池の市場浸透を図っているという。

同社は、2020年に、24Mテクノロジーズ社の準固体リチウムイオン電池の技術検証を行うために、同社に5百万ドルを出資。

また、24Mテクノロジーズ社の技術と、当社が写真フィルムやディスプレイ材料などで培い進化させてきた、精密塗布技術や生産技術を組み合わせることで、準固体リチウムイオン電池の量産化に向けた生産基幹技術を確立したとのことだ。

同技術は、大面積・高エネルギー密度の準固体リチウムイオン電池の大量生産に繋がるもの。

さらに今回、同社は、準固体リチウムイオン電池の生産基幹技術の量産適用とビジネス展開に向けて、24Mテクノロジーズ社に追加出資し、同電池の製造・販売に関するライセンスを取得。

今後、24Mテクノロジーズ社と協働して、生産基幹技術の量産実証を開始するとともに、本技術を活用したビジネス展開を図り、高い生産性を有し環境にも配慮した準固体リチウムイオン電池の普及拡大を目指していくとしている。

同社は、先進・独自技術を生かした研究開発・事業展開を通じて、持続的な企業成長を図るとともに、脱炭素社会の実現に貢献していくとのことだ。

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