憂うつな気分や不安を抱えている人ほど嗅覚感度が低下する ファンケル・キリン・浜松市、気分・ストレス状態と嗅覚機能の関連を実証

ファンケルは、キリンホールディングス(以下、キリン)のR&D本部キリン中央研究所と静岡県浜松市の三者で、2020年11月から浜松市民を対象とした「嗅覚機能・自律神経活動と気分・ストレスの関連性を探索する調査研究」を実施し、結果を発表した。

同調査研究の結果、気分状態やストレス状態が悪い人ほど嗅覚感度が低下していること、ストレス抵抗性や自律神経活動が低い人ほど、特定の香りの同定能力が低下していることをヒト試験で確認したとのことだ。

ファンケル・キリン・浜松市、気分・ストレス状態と嗅覚機能の関連を共同研究

同ヒト試験結果を受け、日常的な気分状態の評価に、特定の香りを用いた嗅覚機能検査が活用できる可能性が示唆され、ファンケルとキリンは、嗅覚機能検査のサービス化や気分・ストレス状態などをサポートする製品の開発を進めることで、利用者が健やかに過ごせる毎日を実現するとのことだ。

【研究概要】
2020年11月から2021年7月にかけて、浜松市在住の40歳以上75歳以下の男女317人を対象に、嗅覚閾値検査と嗅覚同定検査にて嗅覚機能の評価を行い、気分状態の質問紙や自律神経測定器を用いて気分・ストレス状態の評価を実施。

その結果、憂うつな気分や不安な気分を抱えている人では嗅覚の感度が低いことやストレス抵抗性が低い人では「みかん」の香りを把握する能力が低いこと、自律神経活動が低下している人では、「メントール」の香りを把握する能力が低いことが確認されたという。

これらの結果から、特定の香りを用いることで、日常的な気分状態を簡易に評価できる可能性が示唆されたとしている。

研究結果

ファンケルとキリンは、今後両社が連携して同調査でのエビデンスを活用し、気分・ストレス状態を簡便に可視化できる判定サービスや健康課題を解決するサプリメントなどの製品開発を目指すとのことだ。

なお、同研究はファンケルとキリンの共同ヒト試験で初の成果となり、研究成果は2022年8月に開催された「2022年度日本味と匂学会第56回大会」で発表されている。

モバイルバージョンを終了