アシックス商事と日本電気(以下、NEC)は、ウォーキングシューズ「KNEESUP(ニーズアップ)」を活用した健康管理・促進に関する実証実験を共同で実施。

「KNEESUP」は、ひざ関節のバランスをとり、負担を軽減する機能構造を有したウォーキングシューズで、靴底のかかと部内側に熱可塑性合成樹脂プレート「MCCS」を搭載しているのが特徴であるという。

「MCCS」は、荷重によってプレートがたわむ独自の空洞構造体で、着地時にひざ関節を外側から内側へやさしく誘導する仕組みとなっており、高いクッション性を持ちながら、進行方向へ足が自然と前にでるような快適な歩行をサポート。

2018年9月に発売して以来、累計11万足を出荷するなどアシックス商事の主力商品として売上を伸ばしている。

アシックス・NEC、共同でウォーキングシューズ「KNEESUP」を活用した健康管理・促進に関する実証実験を実施

実証実験は、NECの歩行センシングインソール「A-RROWG(アローグ」を活用し実施。「A-RROWG」は、小型の歩行分析センサを搭載した専用インソールを靴に入れるだけで自然に「歩容(≒歩行の質)」を計測し、専用アプリから歩行状態のチェックや歩行改善アドバイス、トレーニングメニューの確認が可能なサービス。

今回は、「A-RROWG」を搭載した「KNEESUP」を着用し、歩容と運動パフォーマンスの変化について検証。

期間は2022年4月1日から5月23日までで、8名(男性4名、女性4名、平均年齢65.6歳)を対象に、計測会を実施した後、自宅で普段通りの生活を送りながら、ユーザーがアプリ上で指定をした5つの時間帯のうち最大1日3回、自動計測された歩行パラメータをもとに解析を実施。

主な検証結果は以下の通り。

主な検証結果

①「KNEESUP」の即時的な効果として、履いて歩くことによる「歩行速度」「歩幅」「つま先の向き」の数値改善が見られた。

計測会当日における「KNEESUP」と一般靴の歩行パラメータ比較(n=8)

②「KNEESUP」のような機能性シューズを履いて日常生活を送っていても、運動パフォーマンスは習慣的に履く前の状態に戻る傾向があることが示唆された。

「KNEESUP」の使用前から使用後にかけて計測した歩行パラメータの経時的変化(n=8)

③実証実験後に官能評価を実施したところ、計測された歩行パラメータとは対照的に歩行能力は向上したと自覚している人が多い傾向があったという。

実証実験後の自覚的歩行能力の変化(n=8)

検証の結果、一般的なシューズと比較し「KNEESUP」を使用することで、歩幅をしっかりとりながら速くまっすぐ歩く、といった即時的な有効性を改めて実証できたとしている。また、感覚的には歩行能力があがり、姿勢も改善されているといった感想が多く得られたとのことだ。

ただし、歩行速度や歩幅の数値は、計測当日よりも履き続けた後のほうが低下しているといった結果も。これは、「運動学習による改善動作の定着が不十分」だったことが推察されるという。

長い期間を経て形成された歩行のクセを自力で修正するには、より多くの時間が必要で、シューズの機能に加え、モチベーションを保ちながら改善に向けた取り組みを継続的に行っていくことが重要であると考えられるとしている。

これらの結果を踏まえ、アシックス商事では、機能性シューズの開発や効果の実証実験を引き続き行っていくとともに、健康予防セミナーや足形計測、歩行年齢測定などの計測イベントを実施するなど、ユーザーが身体も心も満たされた、健康的で快適な生活が送れるようサポートしていくとのことだ。

NECでは、ヘルスケア・ライフサイエンス領域において、生活者の一人ひとりに寄り沿ったサービス・製品の開発を推進しており、自分らしく生きることのできる社会の実現を目指しているという。

今回の実証実験の成果を踏まえ、「A-RROWG」のアプリケーションやアルゴリズムの強化を継続的に図ることで、生活者に対して健康な歩行姿勢を維持するための習慣的な運動をサポートしていくとしている。