産経新聞社と企業採用支援会社ワークス・ジャパンは、2024年3月卒業・修了予定の大学生、大学院生を対象に、就職希望先調査を実施し、結果を公表した。

中間結果発表から見えてきたのは、企業の情報発信の重要性だという。特に、選考スケジュールの早期化やオンライン就活が定着し、学生が就活のスタートと認識している夏のインターンシップで、いかに学生のニーズに応えるプログラムを提供できるかが、支持獲得に大きく影響しているとのことだ。

■文系では損保・銀行、商社(社会貢献活動にも注目集まる)

文系総合では、3位の「東京海上日動火災保険」を筆頭に、「三菱UFJ銀行」「損害保険ジャパン」「みずほフィナンシャルグループ」「三井住友銀行」など、「損保・銀行」が人気を集めた。

就活の早期化が進むなか、就活のスタートとして定着した夏のインターンシップ。ワークス・ジャパンが2022年7月に行った採用動向調査(学生・企業)では、3年次に夏のインターンシップに参加した学生は5割近くに上り、なるべく早いうちに参加して、まずは業界・企業研究を行いたいと考える学生が多いことがわかる。

文系総合の学生のランキングから見えてきたのは、学生のインターンシップニーズに企業がいかに応えられているかだという。

文系総合ランキング

また、1位に「伊藤忠商事」、2位に「三菱商事」、4位に「住友商事」と、「総合商社」の人気も高い。

人気の理由は、地球規模の課題解決に向けて、商社ならではのスケール感を感じるアプローチをしていることだという。

伊藤忠商事が企画する、ビジネスにおけるSDGsの展開を学ぶ連続イベント「ミライテラス」や三菱商事のオウンドメディア「MC×me」でのCO2循環利用についての発信、MCアカデミアSummer Workshopなどはその一つとしている。

インターンシップを選考の入り口としてとらえるだけでなく、「総合商社の果たすべき役割や使命を理解してもらいながら、自分自身のキャリア形成も考えるきっかけにしてもらいたい」という、商社のインターンシップにはそんな姿勢が貫かれているとのことだ。

なお、地球規模の課題に向き合っている企業という企業選びの視点は、今後さらに増えてくることが予想されるとしている。

■理系はビジネスイノベーション推進企業に支持

理系総合では、1位に「NTTデータ」、2位に「ソニーグループ」がランクイン。

NTTデータは、新規システムに関するグループワークを行うワークショップ型と、事業を体験するプロジェクト型の2種類のインターンシッププログラムで約700名の参加者を募集。

さらに24卒学生向けには、SIer業界研究や内定者コメントの動画をYouTubeに掲載するなど、規模、内容ともに、学生に満足感を与える情報発信が魅力だという。

また、コロナ禍以降、自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めていることで注目を集める富士通や、総合電機メーカーからITを基軸とした社会インフラ企業に変貌を遂げつつある日立製作所などへの関心も高く、環境やエネルギー問題を見据え、今すべき改革に向き合う姿が、学生の期待感につながっていると考えられるとのことだ。

そのほか、「野村総合研究所(NRI)」や「アクセンチュア」に代表されるコンサルティング系も理系学生から人気が高い。

複数のインターンシップを開催したアクセンチュアのプログラムには、基軸となる戦略コンサルタントの仕事理解にとどまらず、デジタル・テクノロジー、アプリ開発といった言葉が並び、「最先端のビジネスを学びたい」と考える学生たちのニーズに応えているという。

理系総合でも、文系総合同様複数のプログラムを開催し、日数にもバリエーションのある企業がランクインするという結果となった。

理系総合ランキング

■ニーズを見極め、興味を刺激する面白いインターンシップのプログラム作成を

23卒の採用において、多くの企業から聞かれた課題の一つが具体的な仕事内容の理解や事業の強み、独自性などの訴求。

インターンシップをはじめとした企業側の情報発信の質は、そういった課題の解決も関係していると考えられ、調査でもインターンシップコンテンツの見直し、早期選考のプロセスの見直しに注力したと回答する企業は少なくないという。

しかしながらオンラインという開催形式の都合上、学生たちから評価の低い講義・セミナー形式のプログラムを実施せざるを得ない背景もある。

同調査は2022年まで実施され、23年初頭に最終結果が発表される。学生たちが求めているのは「情報の一方通行」ではなく、「参加意義のあるインターンシップ」。多様化する学生のニーズに合った情報をいかに的確に提供できるかが、今後の支持に大きく影響してくると同社は考察している。

新卒採用活動で注力すること

【調査概要】
調査対象:2024年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生
調査期間:2022年5月6日~2023年7月31日
調査方法:就職対策サイト「キャンパスキャリア」およびワークス・ジャパン主催の各種イベントでアンケート告知を行い、WEB上のアンケートフォームで回収。就職を希望する企業ランキングは第1志望から第5志望までの選択方式で、第1志望には5ポイント、第2志望には4ポイント、第3志望には3ポイント、第4志望には2ポイント、第5志望には1ポイントを配分して集計。
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<参考>
産経新聞社・企業採用支援会社ワークス・ジャパン『2024年卒大学生就職希望企業人気ランキング中間発表