登山地図GPSアプリ「YAMAP」を運営するヤマップは、警察庁から発表される「夏期における山岳遭難の概況」に先立ち、7-8月の夏期におけるYAMAP利用者の登山者動向を公開すると発表した。
【調査サマリー】
◆都道府県別の登山者数は、昨年と比べて、山梨、長野、静岡の3県が最も増加した。
→ 富士山や日本アルプスを訪れる登山者が昨年と比べて増えたと考えられる。
◆年代別登山者の割合は、多い順に50代:29.4%、40代:26.6%、60代:14.6%、30代:14.2%と続く。
→ 総務省統計局のデータと比較すると、年齢層が若い人の方がスマホを活用して登山している割合が高い。
◆登山のために移動する距離は、コロナ前の同水準に戻る。
→ 3年ぶりに行動制限のない夏に、登山者の動きが活発になったようだ。
◆2,500m以上の高山を訪れた登山者の割合は、昨年(2021年)より増加。高山に登山者が戻りつつあるが、コロナ前の同水準には至らず。
→ 高山は宿泊を伴うことも多く、山小屋が人数制限していることや山小屋が完全予約制になっていることも影響しているようだ。
◆ソロ登山の計画件数の割合は、コロナ前と比較しても増加傾向。
→ 登山でも密を避ける傾向が続いている。
背景
電波が届かない山の中でもGPSが使えることに着目したYAMAP。誰もが持っているスマホに標準装備されるGPSを山で活用すれば、安全登山に貢献できると考え、2013年にサービスを開始。
2020年には、登山者の位置情報を家族などに送ることができ、遭難時の早期発見にも貢献できる「みまもり機能」を実装し、安全ネットワークの仕組み作りにも取り組んでいるとのことだ。
今回は、警察庁から毎年9月上旬に発表される「夏期の山岳遭難概況」に先立ち、YAMAPの夏期登山データ(7-8月)を公開いたします。安全登山の一役を担えれば幸いであるとのことだ。
都道府県別の登山者数は、昨年と比較して山梨、長野、静岡で増加
登山者が訪れた山を都道府県別で見ると、多い順に長野県、山梨県、岐阜県となる。昨年(2021年)の夏期と比較すると、山梨県、長野県、静岡県で最も増加、富士山や日本アルプスを訪れた登山者が多くなったことが考えられるとのことだ。
登山者の年代別割合では、40-50代で半分以上を占める
登山者を年代別に見ると、多い順に、50代29.4%、40代26.6%、60代14.6%、30代14.2%と続く。総務省統計局のデータ「登山・ハイキングを行った人の状況」と比較すると、スマホを活用している登山者は全体と比べて10歳程度若くなっているとのことだ。
登山のための移動距離は、コロナ前の同水準に戻る
外出が最も制限された2020年の夏、登山者は近場の低山へ行く傾向(特に自宅から50km圏内の山が急増)が見られたという。
今年(2022年)の夏は、登山をするために移動した距離は、50km未満が約40%、50-100kmが約25%、100km以上が約35%と、コロナ前の2019年と同じ水準に戻っている。2022年は3年ぶりに行動制限のない夏であったためと考えられるとのことだ。
2,500m以上の高山にも登山者は回復しつつあるが、コロナ前の同水準に戻らず
2022年の夏に登った山の標高を見ると、「1000m未満の低山」38.7%、「2500m以上の高山」19.2%となっている。高山に行く登山者の割合は、コロナ前の2019年の水準に戻りつつあるが、まだ完全に戻ったとは言えないとしている。
これは、withコロナ時代になり、山小屋が宿泊人数を減らして対応していたり、完全予約制になっていたりすることが影響していると思われるという。
ソロ登山の計画数の割合は、コロナ前と比較し増加傾向
遭難時に死亡や行方不明の確率が高いソロ登山。YAMAPで登山計画を作成する際の、「予定人数が1人」である計画を集計。
新型コロナウイルスが発生した2020年を期に、ソロ登山を計画した件数の割合が年々増えており、2022年でも増加傾向が続いているという。withコロナ時代では、密を避けて、少人数で登山を楽しむ傾向であることが分かったとのことだ。