顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社であるJ.D. パワージャパン(以下、J.D. パワー)は2022年7月に、車の保有や利用に関するアンケート調査を実施。
今回は第一弾として、アンケート結果から、「新車購入」「中古車購入」「サブスクリプションサービスの利用(以下サブスク利用)」に関する一般消費者の考えについて紹介。
今後検討する車の保有や利用方法
新車購入が約5割、中古車購入が約3割、サブスクやリースは1割以下にとどまる
新車の購入が51%、中古車の購入が32%で、従来からの車の購入方法が8割以上を占め、以下、レンタカー(15%)とカーシェア(6%)の利用が続き、サブスクでの保有はわずか4%となっている。
ここ数年で見聞きするようになり、注目されつつある「サブスク」であるが、現状はまだ一般的にはなじみがないということが分かった。
この中から今回は、「マイカー保有」に焦点を絞り、今後「新車購入」「中古車購入」「サブスク」、それぞれの手段で車の保有を検討する理由について調査。
新車購入の検討理由
新車購入の検討理由トップ2は、「安全機能を装備した車に乗りたい」、「正規ディーラーでサービスを受けたい」
新車購入の検討理由として、最も多く挙がったのは「安全機能を装備した車に乗りたい」(35%)、次いで「正規ディーラーでサービスを受けたい」(30%)という結果に。
新車購入を検討する消費者の安全機能への関心の高さや、メンテナンスやサポート等、正規ディーラーでのサービスに対するニーズの高さがうかがえ、安全・安心を求める傾向であることが分かるという。
「最新技術・機能を装備した車に乗りたい」は「安全装備」の約半分、「納期の早さ」はわずか5%
「最新技術・機能の装備」については18%と、「安全機能」の約半数にとどまっている。新車購入の検討者にとって、安全機能は既に広く車に浸透している装備類と捉えられ、それに比べるとAIアシスタントや音声認識機能など今後の普及が期待されるような最新技術・機能に対しては、まだ関心がそれほど高くない様子がうかがえる結果となった。
また、「納車の早さ」がわずか5%という背景には、新車の納期遅れという問題の影響があることが考えられるとのことだ。
費用よりもこだわりのモデルの乗りたい若年層
世代別に上位の項目を見てみると、1位の「安全機能を装備した車に乗りたい」と2位の「正規ディーラーでサービスを受けたい」については不動ですが、3位以降については、若年層に特徴がみられるという。
ミドル層以上の世代では、「購入費用を抑えたい」がトップの2項目に次いでいますが、若年層では「こだわりのモデルに乗りたい」(26%)が挙がってきており、コスト面よりも気に入った一台を選びたい、という志向がより強いことがうかがえるとのことだ。
※若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
中古車購入の検討理由
中古車購入の主な検討理由、費用面のメリットが上位を占める
中古車購入の検討理由として、ダントツで「購入費用を抑えたい」(72%)が最も多く、次いで「新車だと手の届かない車が選べる」(29%)、「こだわりのモデルに乗りたい」「納期の早さ」(共に16%)という結果となった。
「購入費用を抑えたい」は、新車購入の22%を大きく上回り、また「新車だと手の届かない車が選べる」も約3割が理由として挙げている。中古車購入の主な理由として、費用面でのメリットが大きいことが分かったという。
新車の納期遅れを背景に「納期の早さ」が16%、一年以内に買い替えや購入を検討している消費者では30%で「納期の早さ」がより一層の影響
「納期の早さ」の16%は、新車の5%と比べるとその違いが目立つという。今の社会情勢を反映した結果と言えるとのことだ。新型コロナウイルス流行や半導体をはじめとした部品の供給不足等を理由に、新車の納期遅れが指摘されているが、中古車を購入することで少しでも早く車を手に入れたいとい消費者の意向がうかがえるとのことだ。
買い換え予定時期別に見ると、1年以内に買い換えや購入を予定している層では「購入費用を抑えたい」が63%で、全体と比べ-8ポイントに。一方、「納期の早さ」については、1年以内に買い換え予定層では30%で、全体の17%よりも、13ポイントも上回る結果に。
このことから、近い将来、買い替えや購入を検討している消費者の心理面に、「納期」はより一層、影響している様子がうかがえるとのことだ。
若年層は納期よりもこだわりのモデル重視の傾向あり
世代別に上位の項目を見てみると、中古車購入派の中でも若年層特有の傾向がみえてきたという。
ミドル層、プレシニア層、シニア層では「納期の早さ」が3位にランクインしているが、若年層では「納期の早さ」は7番目と下位に位置しており、その割合も12%と他の年代に比べて低くなっているとのことだ。
また、1位の「購入費用を抑えたい」についても、その割合は65%にとどまり、ミドル層、プレシニア層と比べ10ポイント近く低い結果となっているという。
「こだわりのモデルに乗りたい」は若年層、ミドル層共に20%で、プレシニア層(12%)、シニア層(14%)と比べてみると+5ポイント以上の差があるとのことだ。
若年層とミドル層は、自分なりのこだわりの車に乗ることにより重点を置く傾向がありそうだということと、若年層では加えて納期へのこだわりが低いことから、お気に入りの車を探すことに注力している傾向がうかがえるという。
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
サブスク利用の検討理由
サブスクの主な検討理由は支払い方法のメリット、「定額制で費用管理が楽そう」「初期費用を抑えたい」
サブスクの代名詞ともいえる「定額制」と「初期費用」がトップ2に挙がったという。「定額制で費用管理が楽そう」が66%、「初期費用を抑えたい」が52%という結果に。また、「手続き等が手軽・簡単そう」が32%となっており、サブスクの支払い方法や手続き方法のメリットが消費者に印象づいていると言えそうとのことだ。
短期間での乗り換え意向が20%、従来の購入方法よりも高い割合
費用面でのメリットを理由に挙げる人が多い一方、「車を短期間で乗り換えたい」というニーズも、サブスク利用に関しては20%と、新車購入(3%)や中古車購入(7%)と比べて高いこともわかったとしている。
最新技術・機能への興味や関心
さらには、「最新技術・機能」を重要視している傾向が見られたという。
「最新技術・機能を装備した車に乗りたい」の35%は、新車購入派の18%よりも17ポイントも高く、サブスク派の先進技術や機能への関心の高さを示しているという。
「サブスク」と聞くと、定額制や費用管理面での特徴が目につきがちであるが、実は最新技術や機能を試してみたいと考えている消費者がサブスク利用を検討しているという特徴があるということが確認できたとのことだ。
サブスク、カーリース、カーシェアの認知度
サブスクの認知度は上がりつつあるものの、車保有の手段として検討されるには至っていない
今回の調査では「サブスク」、「カーリース」、「カーシェア」の認知度についても聴取。
カーリース、カーシェアについては一年前の調査からの変化はほとんど見られないが、サブスクについては認知率に変化が見られたという。
「サブスクを知っている」(「名前は見聞きしたことがある」「サービス内容を何となくは知っている」「サービス内容を詳しく知っている」の合計)は55%から61%に上がり、「サブスクを知らない」は45%から39%に下がったとのことだ。
世代別に見ると、全ての世代でサブスクの認知率は上がっていますが、中でも若年層で特徴がみられる。
ミドル層以上では、「名前は見聞きしたことがある」が5%前後の上昇となったが、若年層は「サービス内容を何となくは知っている」が5%上昇という結果に。特に若い世代において、サブスクのサービス内容への理解が進んだことがわかった。
しかしながら、実際にサブスク利用を検討するという割合は一年前の結果と全く変わらず4%にとどまっているという。
依然として、今後検討する車の保有方法としては、「新車購入」(51%)と「中古車の購入」(32%)が多くを占め、カーリース(5%)やサブスク(4%)を利用した車の保有、カーシェア(6%)利用を検討する人は限られていたという。
カーシェア、カーリース、サブスクなどが、従来からの自家用車の保有方法に取って代わるには、さらなるサービス内容の理解促進が必須と言えそうとのことだ。
調査概要
車の保有や利用に関するアンケート
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2022年7月
■対象者:20~69歳の計2,800名
<参考>
出典:J.D. パワー調べ
<アンケート調査:「新車」「中古車」「サブスク」、車の保有・利用について>