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YouTubeは、英国の独立系コンサルタント会社であるOxford Economicsに2021年(1月~12月)のYouTubeがもたらす経済的、文化的、社会的影響の調査を依頼し、日本における結果を発表した。
Oxford Economicsの「YouTube Impact Report」によると、2021年、YouTubeは日本において3,500億円以上の経済効果をもたらし、10万人を超えるフルタイム相当の雇用を創出したという。
Oxford Economicsでは、YouTubeが社会に与える影響の全体像を把握するための定性的・定量的な分析において、3,500人を超えるYouTubeユーザー、2,000人以上のクリエイター、500以上の事業者を対象に調査を実施。
調査から得たデータと公式統計を用いて、YouTubeのクリエイターエコシステムの経済的な影響を雇用やGDPへの貢献度の観点から分析したとのことだ。
YouTubeの経済効果の中心となっているのは、コンテンツを提供するクリエイターや企業に収益を再分配する仕組み。これには広告をはじめ、音楽業界やメディア企業に支払われるロイヤリティが含まれ、こうしたコンテンツ所有者に還元される収益のことを、日本におけるYouTubeエコシステムの直接的な経済効果と呼んでいる。
また、クリエイターはコンテンツを制作するにあたって必要な商品やサービスを購入するため、間接的な経済効果ももたらすという。
それに加えて、クリエイター自身や制作に関わるスタッフ、関連するサプライチェーン(音響・映像機器、映像編集・制作を提供するサービスなど)の従業員は得た収入を消費することで誘発的な経済効果も生み出すとのことだ。
同レポートでは、さらにクリエイターがYouTubeでの活躍をもとに動画以外の領域で得ている収入についても推計。これには、オリジナルグッズ売上、ブランドとの提携、ライブやコンサートなどが含まれ、加えて賃金やサプライチェーンにおける消費はさらなる経済効果をもたらすという。
YouTubeのエコシステムの経済効果の総額とは、直接、間接、誘発、そして触媒的な経済効果の総計としている。
■YouTubeクリエイターエコシステム
オープンなプラットフォームであるYouTubeは、デジタル化が進む新しい時代に重要な役割を担い、より多くの人に機会を提供しており、スキルや才能、意欲があれば、誰でもチャンネルを作成し、コンテンツを共有して収入を得ることができる。
同調査結果では、YouTubeのクリエイターエコシステムが、引き続き強い成長を遂げていることが明らかになったとのことだ。
●10万人以上のチャンネル登録者を持つチャンネルが6,500以上となり、前年比で35%を超える増加率に。(2021年12月時点)
●日本国内で100万円以上の収益をあげているYouTubeチャンネルの数が、前年比で40%増加。(2021年12月時点)
●クリエイティブ起業家の85%が、「YouTubeはコンテンツ制作のチャンスと、従来のメディアでは得られなかった収益機会を創出している」と考えてる。
●クリエイティブ起業家の78%が、「YouTubeで得た影響力を使って社会に貢献したい」と考えている。
■変化する時代に日本企業の成長を支援
新型コロナウイルス感染症が人々の生活や経営のあり方に影響を与える中、YouTubeはこのような状況下への適応に役立つ情報や資源を提供したという。
パンデミックにより、日本のユーザーは独立したビジネスやブランド、レーベルを見つけ、地元の小売店を再発見するようになり、多くの中小企業は、YouTubeを介したブランドリーチの拡大による経済的利益を実感するに至ったとしている。
●中小企業の63%が、「YouTube広告は売上の向上に寄与している」と考えている。
●YouTubeチャンネルを持つ中小企業の65%が、「新しいオーディエンスにリーチして顧客ベースを増やすうえでYouTubeが貢献した」と考えている。
●YouTubeを使用している中小企業の69%が、「スタッフにトレーニングを提供するうえでYouTubeは費用対効果の高い手法だ」と考えている。
■日本の音楽産業の成長に貢献
新型コロナウイルス感染症の影響が音楽業界におよび、音楽フェスティバルやコンサートのキャンセルが相次ぐ中、YouTubeは日本のアーティストがライブパフォーマンスやデジタルコンテンツを配信できる場を提供。
世界を意識しているアーティストやレーベルは、簡単にアクセスできるプロモーションプラットフォームとしてYouTubeを活用し、世界中のオーディエンスにリーチしているとのことだ。
●YouTubeチャンネルを持つメディアおよび音楽関連企業の85%が、「新しいアーティストや音楽がヒットするためにYouTubeが不可欠だ」と考えている。
●YouTubeチャンネルを持つメディアおよび音楽関連企業の72%が、「YouTubeは業界のクリエイティブな人材輩出に貢献している」と考えている。
●YouTubeチャンネルを持つメディアおよび音楽関連企業の72%が、「YouTubeのおかげで世界中の新しいオーディエンスにリーチできる」と考えている。
■学習のために開かれたプラットフォーム
日本では、YouTubeが正規の教育カリキュラムに組み込まれることが増えているという。YouTubeは、情報の示し方や教え方に汎用性と多様性を取り入れることで、多様な学習スタイルをサポートし、教師や学校がより多くの生徒のニーズに対応できるようにしているとのことだ。
さらに、日本において、YouTubeは時事問題についての信頼できる情報源でもあるという。日本のユーザーは、新型コロナウイルス感染症についての信頼できる医療/健康情報から、地震や台風などの自然災害直後の最新情報まで、YouTubeにアクセスして情報を入手している。
●YouTubeを利用している保護者の72%が、「YouTube(13歳未満の場合はYouTube Kids)は子どもたちの学習に役立つ」と考えている。
●ユーザーの71%が、「YouTubeは皆が平等に学び、成長する機会を提供している」と考えている。
●ユーザーの93%が、「情報や知識を得るためにYouTubeを使用している」と回答。
●YouTubeで健康に関するコンテンツを検索するユーザーの67%が、「YouTubeで健康に関する信頼できる情報にアクセスできる」と考えている。
■日本から世界へ
YouTubeは、誰でもストーリーや知識、文化を共有できるプラットフォーム。日本のクリエイターはまさにそれを実践するとともに、国のデジタルトランスフォーメーションの促進に貢献しているという。
アニメから漫画、食べ物、旅行、日常生活まで、情熱と知識を分かち合うことで、個人や企業は文化大使となり、日本のあらゆるものに対する世界からのニーズを刺激し、「日本ブランド」のリーチを拡大しているとのことだ。
●クリエイティブ起業家の70%が、「YouTubeのおかげで通常はリーチできないさまざまな国の視聴者にコンテンツを見てもらえる」と考えている。
●クリエイティブ起業家の82%が、「YouTubeは世界で存在感を高めるうえで必須のプラットフォームだ」と考えている。
●日本国内のチャンネルで制作されたコンテンツの総再生時間のうち、10%以上が海外の視聴者によるもの。
なお、YouTubeのクリエイターエコシステムの影響についてのImpact Reportは、英国に拠点を置き、東京、シンガポールなどに支店を持つ独立系コンサルタント会社のOxford Economicsにより作成され、昨年から米国、ドイツ、フランス、英国、オーストラリア、韓国でも同様の調査が発表されている。