オリンパスと、オリンパスの完全子会社であるエビデントは、オリンパスがBain Capital Private Equity, LP(以下、ベインキャピタル)に対してエビデントを譲渡する契約を締結したと発表した。

この契約に基づきオリンパスは、2023年1月4日を目途に、エビデントの全株式をベインキャピタルに譲渡する予定であるという。(関連法令に基づく承認やその他の条件により変更される可能性がある)

オリンパスは、真のグローバルなメディカル・テクノロジーカンパニーとして持続的な成長を実現させるため、内視鏡事業および治療機器事業を中心とした医療分野に経営資源を投入し、経営基盤の強化に努めているとのことだ。

また、医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立することが、各事業の成長と収益性の向上を加速させ、同社グループ全体の企業価値向上に資すると判断し、2022年4月に同社の科学事業をエビデントに承継したとしている。

エビデントが事業を手掛けるライフサイエンス分野と産業分野は、世界的に根強い需要に支えられている。ライフサイエンス分野を支える生物顕微鏡は、学術・医学分野の研究開発市場、病理検査市場に加え、近年は創薬や不妊治療支援の需要の拡大を支えているという。

また、産業分野では、拡大する半導体市場や電子部品市場に向けた工業用顕微鏡や、自動車・航空・ガスパイプライン・発電配電装置・金属・貴金属など、多分野に渡る製造・インフラ検査向けの工業用内視鏡・非破壊検査機器・蛍光X線分析装置を提供しているとのことだ。

こうした活況な市場環境の中、エビデントの事業の特性に合った機動的かつ柔軟な意思決定を可能にすることが、同社のさらなる成長・拡大につながり、ユーザーに対してより革新的なソリューションを提供することが可能になると考え、エビデントの全株式をベインキャピタルに譲渡することが最適であるとの結論に至ったとしている。

オリンパス 代表執行役社長兼 CEO:竹内 康雄氏は以下の通りコメント。

ベインキャピタルにはエビデントの事業の価値と成長の可能性を深く理解していただいているとともに、エビデントがグローバルな組織としての連携力と、積極的に最新技術を実用化する卓越した企業文化によって多様な顧客ニーズに応え、これまでオリンパスに貢献してきたことも高く評価していただいています。ベインキャピタルはエビデントにとって、その事業特性に応じた最適な事業環境を提供し、企業価値を持続的に最大化できる最適なパートナーであると確信しています。

また、エビデントの代表取締役社長である齋藤 吉毅は、以下のように述べている。

エビデントは、ベインキャピタルの元で引き続き、革新的な製品・ソリューションをお客様に提供してまいります。これまでのノウハウを活用し、今後はクラウドを含むデジタル技術を活用したソリューションを拡充することで、研究や検査分野におけるワークフローの改善及びお客様への提供価値向上に努めてまいります。より自律的な経営が可能になることで、アジャイル型の製品開発やオープンイノベーションを推進し、お客様の課題解決に向けた製品の展開スピードをより高められると考えています。

エビデントに関する詳細の情報は下記の通り。

● 会社名:   エビデント
● 本社所在地: 東京都新宿区(登記:長野県上伊那郡辰野町)
● 代表者:   代表取締役社長 齋藤 吉毅
● 事業内容:  生物顕微鏡、工業用顕微鏡、工業用内視鏡、非破壊検査機器、X線分析計の開発、製造、販売およびソリューションの提供等に関する事業
● 資本金:   24,000百万円(2022年6月30日時点)
● 従業員数:  約4,000人

オリンパスは、2023年1月4日の完全譲渡に向け、引き続きエビデントをサポートするという。科学事業の譲渡の後、オリンパスは医療事業を経営の柱とし、世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現のため、世界各国に製品・サービスを導入していくとのことだ。

また、エビデントは、今後も科学的な視点で物事を見る姿勢、イノベーションの精神を事業の根幹とし、ライフサイエンスや産業分野における各国のユーザーの課題解決・成果の向上に貢献していくとしている。