茨城県笠間市(以下、笠間市)、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、8月24日に「ICT活用によるまちづくりに向けた連携協定」を締結したと発表した。

茨城県笠間市とNTT Comとドコモ、「ICT活用によるまちづくりに向けた連携協定」締結

住民サービスの充実と市民が快適に暮らせるまちづくりをめざし、「デジタルデバイド」「シェアリングエコノミー」「ツーリズム」「カーボンニュートラル」をテーマとした連携を図り、地域課題の解決に向け、ICTを活用した住民サービスの検討や実証実験を行うとのことだ。

■背景

これまで笠間市、NTT Com、ドコモは、市民や来訪者の周遊性の向上をめざし、2020年にシェアサイクルの実証実験を行い、2021年に笠間市内で本格運行を開始するなど、コロナ禍の中での各種の研究を進めてきた。

2022年度以降は、連携協定を締結し、シェアサイクルのエリア拡大や新たなモビリティのシェアリングに関する実証実験などを実施し、さらなる地域交通の充実を図るという。

また、笠間市は2025年に総人口に占める割合として、生産年齢人口(※1)が約55%と減少傾向、老年人口(※2)が約34%と増加傾向になることが予測されており、人口減少、少子化・高齢化を背景とした地域生活における多様な課題の解決に向け、同協定ではさまざまな分野において連携しICTを導入するとのことだ。

同市におけるデジタルデバイドの解消や新しい住民サービスの在り方の検証に取り組み、市民が快適に暮らせるまちづくりを進めるとしている。

■同協定の概要

笠間市とNTT Comとドコモは、同協定に基づき以下を実施。

(1)市民のデジタル技術活用の推進に関すること
<笠間市におけるデジタルデバイドの解消と市民のICTリテラシー向上>
・笠間版デジタル田園都市モデル事業(福原地区の住民対象)でのスマートフォンを貸与
・同事業での市民向けスマートフォン教室を開催

(2)生活課題の把握、必要なサービスの研究および実施に関すること
<モビリティサービスの充実による笠間市内の周遊性向上・既存施設の有効活用>
・シェアサイクルのエリア及びポート(※3)数を拡大
・シェアサイクルのプラットフォームを活用した近距離電動モビリティの実証実験を実施
・ICTを活用した空き家・空きスペースの新たな活用用途の検討

(3)交流人口(※4)・関係人口(※5)の拡大、促進策の研究および実施に関すること
<笠間市の主要産業である観光を生かしたまちづくり>
・ICTを活用した新たな観光コンテンツの検討
・ビッグデータを活用した来訪者増加施策の検討
・ワーケーション環境整備の検討

(4)エネルギーマネジメントの普及、促進に関すること
<カーボンニュートラルをめざした活動>
・カーボンニュートラルに向けた活動について、情報交換を実施

■今後の展開

笠間市は、同協定および各種施策の成果を踏まえ、同市における住民サービスの品質向上を推進していくという。

また、NTT Comおよびドコモは、笠間市の課題解決に向けたデジタル技術の提供を継続、発展させるととともに、各種施策で得られた知見を活かし、他自治体の地域課題解決に貢献していくとのことだ。

※1 生産活動に従事しうる年齢の人の数。
※2 65歳以上の人の数。
※3 多数の自転車を共同で利用する場合に、自転車を停め置き、利用者が借用・返却する場所。
※4 その地域に訪れる人の数。
※5 その地域に住む人の数を表す定住人口や交流人口ではない、地域と多様に関わる人の数。