Airbnbは、高インフレ状況下での世界各国の新規ホスト数および収入額の増加を中心とした、ホストにまつわる動向を発表した。

Airbnbの創業は、2008年の世界金融危機状況下で世界中の人々が副収入を得るための手段を模索している時代であったが、今日のインフレが加速する状況下でも改めて、Airbnbのホスティング(ホストを通して収入を得ること)は再び重要な稼ぎの手段であることが明らかになっているという。

Airbnbが今年5月に発表した調査によると、米国のホストの41%が、ホストをする理由として「インフレが加速し物価が上昇する中で収入を得るため」と主に回答している。

ホスティングを継続している既存のホストに加えて、新たにホスティングを始める新規のホストも増えているという。

2022年第2四半期における、高インフレ状況下での世界各国の新規ホスト数の増加およびホストの物件貸し出し形態を中心としたAirbnbによる新たな調査結果は、以下の通り。

主なポイント

  • 世界的にインフレが進行する中で今年第2四半期、特にインフレ率の高い国において新規ホストが拡大。
  • ホスト数だけでなくホストの収入額も増加。米国の新規ホストだけでも、2021年には合計で18億ドル(約2,412億円)以上の収入を獲得(2019年対比で30%以上増加)。
    一人当たり平均的に見ると米国のホストは13,800ドル(約184万円、中所得者層の2カ月分以上の給与相当額)を獲得。

インフレが進むにつれて、ホスティングを始める人が増加

世界的にインフレが進行する中、特にインフレ率の高い観光立国において、新たにホスティングを始める新規ホストが増加しているという。

Airbnbの分析によると、今年6月にインフレ率が9.1%上昇した米国では、今年第2四半期に新規ホスト数が昨年同時期比で50%以上増加するなど、インフレ率の上昇と新規ホスト数の増加における相関性が確認できたとのことだ。

中には、インフレ率1ポイント上昇に伴い、新規ホスト数4ポイント増加といった増加率が顕著な国もありました。

ブラジル
2022年6月インフレ率:11.89%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:50%以上増加

スペイン
2022年6月インフレ率:10.2%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:70%近く増加

アイルランド
2022年6月インフレ率:9.1%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:50%以上増加

イギリス
2022年6月インフレ率:9.4%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:40%以上増加

カナダ
2022年6月インフレ率:8.1%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:約100%増加

イタリア
2022年6月インフレ率:8%増増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:60%以上増加

メキシコ
2022年6月インフレ率:7.99%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:40%以上増加

ドイツ
2022年6月インフレ率:7.6%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:70%以上増加

ニュージーランド
2022年6月インフレ率:7.3%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:30%以上増加

オーストラリア
2022年6月インフレ率:6.1%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:30%以上増加

韓国
2022年6月インフレ率:6%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:40%以上増加

フランス
2022年6月インフレ率:5.8%増加
2022年第2四半期の新規ホスト数:30%以上増加

(上記の2022年第2四半期の新規ホスト数は、前年同期比における数)

新規ホスティングの目的は「住宅ローン返済」「家賃支払い」のため

世界のホストの多くは、ホスティング業を始めた理由として「住宅ローン返済」「家賃支払い」を挙げているという。

Airbnbが2021年に実施した米国における調査によると、ホストの約40%が、「ホスティングで得た収入があったことで、自宅に住み続けることができた」と回答するなど、ホスティングが経済的な足しになっていることは明らかであるという。

直近では生活費の上昇による家計圧迫がより深刻化する中で新規ホスト数が増加したほか、「貸し出す頻度」を増やすホストが増加していることもわかってきたとのことだ。

現在、住宅所有のコストが上昇しているため、米国の新規ホストはホスティングに目を向けるだけでなく、収益の可能性を高め、より高額な住宅ローンをカバーするためにホスティングを開始したり、貸し出しの頻度を増やしていることが見受けられる。

住宅ローンの支払いが大幅に増加した地域では、今年第2四半期において、平均的な新規ホストの収益が増加。これは、ホスティング活動が活発であることを示唆しているとのことだ。

また、直近の米国における大幅な利上げの一環で住宅ローン金利も今年第2四半期で3%から6%まで引き上げられたことにより、平均的な米国人の住宅ローン月額支払額が1ドル上昇したことと、その四半期の新規ホストの収入額が26セント増加したことの相関がAirbnbの分析によってわかっているという。

収入獲得の機会を見出す新規ホスト

インフレが引き続き続く一方で、ホストの収入も上昇している。2021年の米国の平均的なホスト収入は、13,800ドル(約184万円)を超え、2019年と比較して85%増加したことが分かったとしている。この米国ホストの平均収入は、米国中所得者層の2カ月分以上の給与額に相当するという。

生活費の変化により最近ホスティングを始めた人にとって、収入源は依然として魅力のひとつ。新規ホストは、2021年に全世界で合計18億ドル(約2,412億円)以上を稼ぎ、2019年から30%以上増加したとのことだ。

この傾向は2022年も続いており、若年層のホストを含​​め、ホストの多くは、夢を実現する方法としてホスティングを活用しているという。米国の30歳未満のホストは2021年全体で合計約7億7,500万ドル(約1,038億円)を、2022年の最初の3カ月間だけで合計で約2億ドル(約268億円)の収入を得たという。

ホストは空きスペースを共有、例年に比べて短期間で新規リスティング予約を獲得

インフレ率上昇という経済的に厳しい状況下で、多くの人が自身の空いている所有物件やスペースを活用しながら柔軟にホスティングを開始しようとしているという。今年第1四半期において、新規リスティングの大半で最初の予約が入るまでの平均時間は約1週間で、1年前と比較してホストは短期間での予約を獲得しているとのことだ。

インフレや物価上昇により家計状況が変化する中で、ホスティングは世界中の人々の収入源として長い間役に立ってきたという。

米国では「個室」貸出しが人気に

また、空いているスペースが限られている場合は、物件全体を貸し出さず、ホストの自宅の一部(一部屋)を提供する個室リスティングもその簡易性から人気となっている。

米国では、2021年第2四半期と比較して、今年第2四半期に新規個室リスティングが最も増加したのは以下の州とのことだ。

  • サウスダコタ州
  • インディアナ州
  • コネティカット州
  • アリゾナ州
  • アラスカ州
  • ネブラスカ州
  • オレゴン州
  • モンタナ州