ファンケルは、犬の健康を追求した総合栄養食ドッグフードの自社開発に初めて取り組む中で、フリーズドライ製法のドッグフードは、①犬の健康維持に重要であるタンパク質の消化率が極めて高いこと、②未消化のタンパク質由来となる糞便中のアンモニアを低減すること、を確認したと発表した。

近年、大腸内の悪玉菌が産生するアンモニアなどの有害物質には、アレルギー、肥満、ガンなどの発症に関与することが報告されており、同研究の結果より、フリーズドライ製法は、さまざまな疾病の発生リスクの低減を期待できることも示唆されているという。

なお、同研究成果は、日本ペット栄養学会第23回定例大会にて発表されているとのことだ。

<研究方法・結果>

【ペプシン消化率試験によるタンパク質の消化率を測定】
飼料のタンパク質評価法であるペプシン消化率を用いて、ドッグフードにおけるタンパク質の消化率を測定。

チキンを主原料とする市販のドライタイプの総合栄養食ドッグフードで、エクストルーダーによるHight Temperature Short Time(HTST)加工品3種、熱風乾燥品1種、フリーズドライ製品2種(うち1種は同社開発品)を試験に用いたという。

その結果、フリーズドライ製品は、HTST加工や熱風乾燥に比べ、高いペプシン消化率となった。このことから、フリーズドライ製品は、他の製品よりもタンパク質の消化率が高いことが示唆されたとしている。

ペプシン消化率試験によるタンパク質の消化率を測定

【イヌによる実食でタンパク質の消化率を測定】※研究説明においては「イヌ」と表記
次に、実際にイヌにドッグフードを食べさせて消化率を測定。1歳のビーグル犬6頭に、HTST加工およびフリーズドライ製法(FD)の総合栄養食ドッグフードを8日間ずつ食べさせ、各ドッグフードの給与開始4日目から8日目までの5日間、糞便をすべて回収して成分分析を実施。

その分析結果と、給与したドックフードの成分分析の結果を合わせ、各成分の消化率を算出した。

その結果、フリーズドライ製法のドッグフードは一般的なHTST加工のドッグフードと比較し、特にタンパク質の消化率が有意に高いことが分かったという。

また、このタンパク質の消化率の差によって、エネルギー効率もフリーズドライ製法がHTST加工を大きく上回ったとのことだ。

イヌによる実食でタンパク質の消化率を測定

【糞便中のアンモニアの分析】
さらに、フリーズドライ製法のドックフードによる糞便中のアンモニアの変化について検証。普段、HTST加工の総合栄養食ドックフードを食べている家庭犬18頭にフリーズドライ製法のドッグフードに切り替えてもらい、3週間の給与前後で糞便を採取してアンモニアを測定。

その結果、糞便中のアンモニアが給与前に比べ、有意に低減した。

糞便中のアンモニアの分析

以上の結果から、フリーズドライ製法によるドッグフードはタンパク質の消化率を高めることでアンモニアなどの有害物質を低減し、さまざまな疾病の発生リスクを低減する可能性が示唆されたとしている。

アンモニアは、いわゆる悪玉菌が産生する物質。ファンケルは、アンモニアの低減とともに悪玉菌の減少など、腸内環境の改善についてさらに追及し、犬の健康を考えた総合栄養食ドッグフードの開発を進めていくとのことだ。