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大日本印刷(以下、DNP)は、イギリスに本社があるMUSO社と連携し、マンガ市場における海賊版対策および正規コンテンツの流通支援を行う「DNPコンテンツ海賊版対策サービス」の提供を2022年8月に開始したと発表した。
【「DNPコンテンツ海賊版対策サービス」開始の背景と概要】
スマートフォンの普及やコロナ禍の巣ごもり需要などにより、Webブラウザやアプリでマンガを楽しむ読者が国内外で増加している。それにともないマンガの海賊版サイトも急増し、正規コンテンツの販売機会の逸失が広がるなど、コンテンツホルダーの著作権保護と正規コンテンツの国内外での流通の強化が課題となっているとのことだ。
こうした課題の解決に向けてDNPは今回、MUSO社と連携し、出版社等のコンテンツホルダーに対し、海賊版の監視や削除要請等を行う支援サービスを提供するという。
また、国・地域等のエリア、年代・性別等の利用者属性ごとに海賊版の閲覧状況を分析し、各作品の最適な読者に正規コンテンツを流通させるためのマーケティング支援を行うとのことだ。
この「DNPコンテンツ海賊版対策サービス」を通じて、コンテンツホルダーに収益が正しく還元されるよう、コンテンツ市場の健全性強化に努めるとともに、マンガの海外展開を推進し、世界中のマンガファンが正しくコンテンツを楽しめる環境を醸成していくとしている。
【「DNPコンテンツ海賊版対策サービス」の特長】
(1)海賊版サイト対策について
○このサービスでは、「海賊版サイトの発見」「海賊版サイト・URLへの削除要請」「状況監視」「結果把握」を行うという。この業務サイクルを回しながら、海賊版サイトと違法アップロードコンテンツの削除につなげていくとしている。
○集英社の協力を得て、当サービスの実証実験を行ったところ、ストリーミング型(オンラインリーディング)の海賊版コンテンツに対して、海賊版対策を行う同様のサービスの削除平均の倍に近い削除率を達成(同社調べ)。
○同サービスを利用するコンテンツホルダーは、管理者専用のWebページで、サイトの削除代行依頼から状況確認まで、一貫したフォーマットで行うことができるという。出版社等のコンテンツホルダーの業務プロセスを標準化・効率化するとのことだ。
○社内外の関係者に対する被害状況の共有、著者等による海賊版対策の要望への対応、各業界団体との連携などの際にコンテンツホルダーが必要とする各種レポートを提供。
○コンテンツを保有する全てのコンテンツホルダーに対して、マンガ発行数や規模に関わらず、導入しやすい豊富なプランを提供するという。
(2)正規のコンテンツの流通支援について
○海賊版サイトの閲覧状況などの情報から、各マンガ作品の閲覧ニーズを把握して、コンテンツごとの潜在需要を可視化することでマーケティング支援を行い、出版社による正規コンテンツでの海外市場開拓をサポート。
○海外市場の拡大に向けた販路の構築や販促支援のメニュー開発を予定。また、マンガの正規コンテンツの海外展開に有効な制作・製造関連のサービス(以下参照)を併せて提供し、日本語版と海外版の同時出版等にもつなげていくという。
・マンガを多言語で制作する「DNPマンガオンラインエディトリアルシステム MOES(モエス)」
・スマートフォンの画面に適した縦にスクロールするマンガへの変換・制作
・マンガコンテンツのカラー化
・コンテンツの制作工程を一括支援する「Manga Creative Works」
・注文に応じて少部数から印刷できるプリント・オン・デマンド など
(3)MUSO社との連携について
◯MUSO社は、出版社のほかソフトウェア・映画・テレビ・音楽関連の企業など、世界中の1,000以上のコンテンツホルダーを顧客とし、著作権保護や海賊版対策に関する多くの実績がある。
一例として2018年には、イタリアの334の出版社が発行する雑誌の海賊版121,885点の削除に成功し、イタリアの海賊版ウェブサイトの閲覧を約3分の1にまで減少させることに貢献したという。
◯今回、DNPはそのMUSO社と連携することで、日本国内の出版コンテンツにも同品質のサービスを提供開始していくとのことだ。
MUSO社の共同創立者(事業開発責任者)からのコメント
「DNPとMUSO社のパートナーシップ締結は、著作権保護とオンラインの海賊版対策のためのソリューション開発を最も革新的な企業と協業する、というMUSO社の取り組みを象徴します。私たちは、DNPと協働し、世界的に驚くべき成長を続けているマンガ業界をサポートできることにワクワクしています。」
Christopher Elkins、MUSO共同創設者兼最高事業開発責任者
【今後の展開】
「DNPコンテンツ海賊版対策サービス」の提供先を拡げるとともに、多様なマンガ作品を適正な環境で世界に配信する仕組みを構築することで、海賊版の違法アップロードや閲覧の防止と正規コンテンツの流通支援に努めていくという。
また、同サービスの対象をマンガだけではなく幅広いコンテンツに広げていくための開発などを進めていくとしている。