ダイキン工業は、エアコンのフィルター掃除や室外機周辺の片付けによる具体的な節電効果を探るため、実際の住宅に設置されているエアコンを使った実験を通じて調査し、結果をまとめたと発表した。
同社は空気で答えを出す会社として、空気にまつわる課題や悩みごと、素朴な疑問を自ら調査する『ダイキン空気のお悩み調査隊』の活動を2011年より継続している。
2022年は電気代の高騰や7年ぶりの節電要請により、節電の重要性が増しているという。特にエアコンは、夏のピーク時における家庭の電力消費の約6割を占めると言われ、節電を意識した使い方の実践が大切であるとのことだ。
そこで、エアコンの基本的な節電策ともいえる「フィルター掃除」と「室外機周辺の片付け」の節電効果を調査。
実験はエアコンの使用実態も考慮し、今でも多くの家庭で使われている10年以上前のエアコンと、約3年分のホコリが溜まったフィルターを用いて実施。その結果、「フィルター掃除」をした場合、しなかった場合と比べて約5割(48.9%)のムダな消費電力量を削減できたとしている。
また、「フィルター掃除」と「室外機周辺の片付け」を実施した場合、しなかった場合と比較して「消費電力量は半減(105.1%のムダな消費電力量を削減)」という結果に。簡単に取り組める節電策であるが、大きな効果が期待できることが裏付けられたという。
実験にあわせて実施したエアコンの節電実態に関する調査(同社実施「エアコンの節電に関する調査」2022年7月)では、この夏、推奨される「2週間に1回以上」の頻度でフィルター掃除している人は、わずか12.5%に。
まだフィルター掃除をしていない人や掃除をする予定がない人は15.1%で、わからないと回答した人も含め、長期間フィルター掃除をしていない人が一定数いることもわかったとのことだ。
節電や効率的なエネルギーの使用は、世界規模で見ても重要性を増しており、世界では、気候変動の問題を解決するため、2050年までに温室効果ガス(CO2など)の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルに向けた取り組みが進められている。
一方で、暮らしの中でカーボンニュートラルに貢献できる具体策がよく分からないという声もよく聞かれ、今回調査した「フィルター掃除」と「室外機周辺の整理整頓」といった手軽なエアコンの節電策は、カーボンニュートラルへの貢献にもつながる。今回の実験の結果も参考に、上手なエアコンの使い方に取り組んでほしいと考えているとのことだ。
なお、今回の調査結果は、同社のWEBコンテンツ『ダイキン空気のお悩み調査隊がゆく』の中でも紹介しているという。
https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission07
同調査は、1つの住宅を使用し、天気や気温などの条件が近い複数の日に実施したもの。そのため、厳密な同条件での比較ではないという。調査結果はあくまで今回の条件に基づくものであり、住宅やエアコン、気候によって結果は変わるとのことだ。
エアコンの「フィルター掃除あり」の場合と「フィルター掃除なし」の場合で、それぞれ日中9時間(9:00~18:00)、エアコンをつけっぱなしにして消費電力量を計測し、1か月あたりの電気料金とCO2排出量も算出したところ、「フィルター掃除あり」は「フィルター掃除なし」に比べて、フィルターの目詰まりで余分に発生していた48.9%分の消費電力量が削減され、電気料金が800円、CO2排出量が11.7kg削減されるという結果に。
エアコンのフィルター掃除は、カーボンニュートラルに貢献できるアクションといえそうであるとしている。
「フィルター掃除なし」で室外機周辺に「障害物あり」の悪条件と、「フィルター掃除あり」で室外機周辺に「障害物なし」の好条件で、それぞれ日中9時間(9:00~18:00)、エアコンをつけっぱなしにして消費電力量を計測し、1か月あたりの電気料金とCO2排出量も算出。
フィルターのホコリや室外機周辺の障害物を取り除いたことで、余分に発生していた105.1%分の消費電力量が削減され、1か月あたりの電気料金は1,720円、CO2排出量は25.2kg削減されるという大きな効果が得られたという。
以上の結果から同社は、エアコンのフィルター掃除だけでなく、室外機周辺に障害物がないかについても一度確認してみることをおすすめしている。
ダイキンからのアドバイス
約3年分のホコリが溜まったフィルターの場合、ホコリを取り除いてキレイな状態にすることで、フィルターの目詰まりで余分に発生していた48.9%分の消費電力量を削減できることが明らかとなった。1か月の電気料金やCO2排出量に換算すると、800円の電気料金、11.7kgのCO2を削減できたことに(実験①)。
また、フィルター掃除に加えて、さらに室外機周辺の障害物を片付けて風通しも良くすると、余分に発生していた105.1%分の消費電力量が削減でき、1か月あたりの電気料金1,720円、CO2排出量25.2kgの削減につながったという(実験②)。
これらの結果から、フィルターを掃除しないと約1.5倍、フィルター掃除と室外機周辺の片付けのどちらもしないと約2.1倍もの電力消費につながる可能性があることが分かった。
それに伴って、電気代もCO2排出量も増えることになる。これらのことからも、人々の普段の暮らし方とカーボンニュートラルは無関係ではないことが分かるとしている。
同社は、カーボンニュートラルを特別なことだと難しく考えるのではなく、今すぐ手軽にできるフィルター掃除や室外機周辺の片付けなど、エアコンの節電を通じたカーボンニュートラルの取り組みを始めてみることを呼びかけ。
<参考資料>エアコンのフィルター掃除と室外機周辺の障害物に関する調査結果
同社では夏にエアコン冷房を使用している全国の20代~50代の男女496名を対象に「エアコンの節電に関する調査」を実施し、エアコンのフィルターの掃除の頻度や室外機周辺の障害物の有無について実態を探った。
単身世帯の67.1%でエアコンのフィルター掃除が不足している
まず、「今年の夏、エアコンのフィルターはどれくらいの頻度で掃除していますか?」と聞いたところ、本格的にエアコンを使用するシーズン中に推奨される2週間に1回以上の掃除ができている人は12.5%。約4割(39.9 %)の人は1か月に1回以下で、「まだしていない/する予定はない」人を含めると半数以上の55.0%の人が掃除不足の状態にあるという。
世帯人数別に見ると、単身の1人世帯はフィルター掃除を「まだしていない/する予定がない」人が多くなっているという。フィルターにホコリが堆積すると、室内機を通る空気の量が減り、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかる。消費電力だけでなく、電気代やCO2排出量の増加にもつながるため、2週間に1回のフィルター掃除をすすめるとのことだ。
3人以上世帯の14.6%で室外機周辺に障害物がある
次に、室外機の周辺の状況について聞いたところ、「室外機の周辺には物を置かないようにしている」人は約9割(88.5%)に達したという。一方で、「室外機の吹き出し口や吸い込み口付近に物を置いている」「室外機をカバーなどで覆っている」人も約1割(11.4%)存在。
世帯人数別に見ると、3人以上の世帯では14.6%と多く、世帯人数が増えることで外置きの荷物が増えているのかもしれないという。室外機周辺に荷物を置いて吸込口や吹出口がふさがれると、エアコンの運転効率が下がり、消費電力やそれに伴う電気代、CO2排出量の増加につながるとのことだ。
室外機のそばに荷物を置いたり室外機をカバーで隠したりすることで室外機周辺の空気の流れが妨げられてしまうため、室外機の周辺には物を置かず、整理整頓を心掛ける必要があるという。
節電・カーボンニュートラル関連サイト
エアコンのことから考えるみんなのカーボンニュートラル
https://www.daikin.co.jp/corporate/carbon_neutral/
空気で答えを出す会社が取り組むカーボンニュートラルとエアコンの関係について分かりやすく紹介。
エアコン節電情報
https://www.daikin.co.jp/air/life/electricitysaving
節電要請の夏のヒントになる、上手なエアコンの使い方を紹介。