Adobe(以下、アドビ)はAdobe Analyticsで分析した米国における最新(2022年5月時点)の「Adobe Digital Price Index(DPI)」を発表した。
これによると、2022年5月のオンライン価格は前年同月比2%上昇し、同年4月(2.9%増)ならびに最高値を記録した3月(3.6%増)と比べ価格上昇の勢いが鈍化、前月比では0.7%減となっているという。
また、アドビがDPIで追跡しているカテゴリーの半数以上(18カテゴリー中10カテゴリー)が前月比で価格下落を示したとのことだ。
DPIは、Eコマースが新しいカテゴリーに拡大し、企業がデジタル経済のパーソナライゼーションに注力する中で、米国の消費者がオンラインで商品を購入する際の価格を包括的に示した指標。
Adobe Analyticsを使用して、エレクトロニクス、アパレル、家電製品、書籍、玩具、コンピュータ、食料品、家具・寝具、工具・ホームセンター用品、家庭用品・園芸用品、ペット用品、宝飾品、医療機器・用品、スポーツ用品、パーソナルケア用品、花・関連ギフト、非処方箋薬、事務用品の18カテゴリーを対象とし、1兆回の小売サイトへの訪問と1億個以上のSKUを分析している。
■Adobe Digital Price Index(2022年5月)で注目の商品カテゴリー
エレクトロニクス:
価格は前年同月比6.5%減(前月比1.4%減)で、このカテゴリーにおける前年同月比の下落率が2020年5月(前年同月比6.8%減)以来の最大値に。エレクトロニクスはEコマースにおける最大のカテゴリーであるため、その価格変動は全体のインフレ率に大きく影響するとしている。
アパレル:
価格は前年同期比9.0%増(前月比1.5%減)。以前の大幅な値引きの時期の反動もあり、オンラインインフレは14か月間継続中でありものの、2月(前年同月比16.7%増)、3月(同16.3%増)、4月(同12.3%増)と、その傾向が弱まり始めている兆しが見受けられるという。
玩具:
価格は前年同月比6.5%減(前月比1.3%減)となり、前年同月比の下落率はパンデミック前の2019年12月のホリデーシーズン(前年同月比10%減)以来の最大値となった。また、同カテゴリーは2021年3月に価格上昇を示して以来(前年同月比0.2%増)、14か月連続のデフレを記録している。
食料品:
価格は前年同月比11.7%増(前月比1.3%増)と、年間ベースで2月(前年同月比7.6%増)、3月(同9.0%増)、4月(同10.3%増)に続いて過去最高の上昇率を更新。1年以上トップカテゴリーだったアパレルを食料品が上回ったのは、5月が初めてとなるという。
食料品のオンライン価格は2022年5月時点で28か月連続の上昇を記録し、長期にわたりCPIと連動している唯一のカテゴリーとなっているとのことだ。
調査方法
Adobe Digital Price Index(DPI)は、米国労働統計局が発表している消費者物価指数(CPI)をモデルとしており、オンライン価格の追跡にはFisher Ideal Price Index(フィッシャー理想物価指数)を使用。
これは、基準時(例:ある月)と比較時(例:その前月)に、それぞれ購入された同一商品の数量をもとに、カテゴリーごとに価格変動を算出するものだが、アドビの分析では、前後する2つの月に購入された製品の実際の数量によって重み付けをしているとのことだ。
<参考>
アドビ『「Adobe Digital Price Index」最新版』