イケア・ジャパンは、「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」という2030年までの戦略に対する進捗状況をまとめた「サステナビリティレポート FY21(日本語版)」と、気候変動への戦略と取り組みをまとめた初の「クライメートレポート(日本語版)」を、本日2022年6月9日に公開したと発表した。

サステナビリティレポートFY21とクライメートレポートには、世界中で12社展開するイケアのフランチャイズシステム、原材料の調達から製品の製造、そして製品の破棄までの一連の流れを指すバリューチェーンにおける取り組みが網羅されているという。

クライメートレポートは、新たな試みとして今年度初めて制作されたものであるとのことだ。

イケアが掲げる2030年までの大きな目標は、人だけでなく社会、地球という家に対して、ポジティブな影響をもたらす「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」な状態になること、そして、多くの人々が限りある資源のなかでより快適な暮らしを実現できるよう、インスピレーションを提供し、その力となること。

イケアでは、「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」をサステナビリティ戦略とし、2030年に向けた共通の課題に対する目標とコミットメントをまとめているという。

イケアは、この戦略において「健康的でサステナブルな暮らし」「サーキュラー&クライメートポジティブ」「公平性と平等性」という3つの注力分野を設け、積極的に課題解決に取り組んでいるとのことだ。

【イケアの「サステナビリティレポート FY21」ハイライト】

イケアのバリューチェーンおよびフランチャイズシステム全体のサステナビリティに関する主な取り組みの進捗状況は以下の通り。

■健康的でサステナブルな暮らしについて

●FY21に販売したLED電球は6,930万個に及ぶ。イケアの従来の電球よりも手ごろな価格でエネルギー効率が平均35%も優れた、イケアの次世代LED電球SOLHETTA/ソールヘッタを発売。

●家の中の空気をクリーンに保てる、手ごろな空気清浄機FÖRNUFTIG/フォルヌフティグなどを発売。

●基準値であるFY17と比較して食品廃棄物を46%減らすことに成功。世界中の全イケア店舗のレストラン、ビストロ、フードマーケットで、2022年末までに食品廃棄物を50%削減するという目標の実現に向けて順調に進んでいるという。

●牛肉と豚肉の販売量は、FY20の15%からFY21の14.3%に減少。その一方で、植物由来のプラントボールとベジボールの売上は、スウェーデンフードマーケットにおいて13%から24%に増加しているとのことだ。(飲料水の販売は除く)

■サーキュラー&クライメートポジティブについて

●FY21のイケアのクライメートフットプリントは、ベースラインのFY16と比較して絶対値で160万トン(CO2換算)、5.8%の削減となったが、イケアの売り上げは過去最高を更新。
これは主に、エネルギー効率の高いイケア製品、生産における再生可能エネルギーの増加、植物由来の食品の販売比率の増加によるものであるとしている。

●イケアの事業活動において再生可能エネルギー使用率100%を達成するという目標の一環として、新たに10 の市場で再生可能電力使用率100%を達成することができたという。サプライヤーの再生可能電力使用率100%へ向けた転換を加速させるプログラムを開始し、イケアが直接取引する1,600のサプライヤーをサポートするとのことだ。

●2030年に向けて、生物多様性の保全活動、森林に依存する人々の生計支援、気候変動の緩和を目的とした、新たなフォレスト・ポジティブ・アジェンダ2030を策定。FY21は、イケアの製品に使用された木材の99.5%が森林管理協議会(FSC) 認証木材またはリサイクル木材であったとしている。

●2030年までにすべての原材料をリサイクル素材または再生可能な素材にする取り組みを継続している。FY21 にイケアの製品に使用する目的で仕入れた原材料の73%が、再生可能な素材(55.8%)またはリサイクル素材(17.3%)。

●イケア製品9,500 点を評価して得た知見を基に、インタラクティブなサーキュラー製品デザインツールを新たに開発。このツールにより、イケアの製品だけでなくあらゆる商品の循環性を測定することができる。

●家具買取りサービスを通じて、再販やリサイクルのために引き取られたイケアの家具は 15万5,000点に上ったという。また、ユーザーが商品を長く使えるよう、FY21 では1,800 万個を超えるスペアパーツを提供。これらの取り組みは、イケア製品をより循環した方法でケアし、次の世代に受け継いでいくことを目的としているとのことだ。

●Science Based Targets Network の「Corporate Engagement Program(企業エンゲージメントプログラム)」に参加し、自然に関する科学的根拠に基づく目標設定をサポートしたほか、世界自然保護基金(WWF) との20 年近いパートナーシップを更新。

■公平性と平等性について

●次世代のIWAY(イケアが責任を持って製品、サービス、原材料、部品を調達するためにサプライヤーに期待する行動規範)の導入を通じて、働きがいのある仕事の提供を促進したという。

●2021年を児童労働撤廃国際年と定めた国連のイニシアチブを支持する行動誓約書を提出。

●イケアはFY21も、新規および現行の施策を活用して、グローバルレベルと市場レベルの両方でジェンダー平等を推進。イケアのフランチャイジーでは、12社のうち3社において女性のマネジャーの比率が50%を超え、FY19と比較して改善されたとのことだ。
イケアは男女比のバランスがとれた企業をつくり、一人ひとりのコワーカー(従業員)に平等な機会を提供することを目指している。全員が安全かつ快適に働くことができる職場をつくるため、多様性を受け入れるインクルージョンアプローチを採用しているという。

サステナブルな未来に向けて、私たちはまだ旅の途中であるという。イケアでは今後も計画を見直し、可能な限り目標のレベルを上げていきたいと考えているとのことだ。