楽天グループは、取締役会において、同社の連結子会社である楽天証券の株式上場の準備を開始することを決議したと発表した。
同社グループはこれまで、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」を経営の基本理念に掲げ、国内外において、Eコマース、トラベル、デジタルコンテンツなどのインターネットサービス、クレジットカードをはじめ、銀行、証券、電子マネー、スマホアプリ決済といったフィンテック(金融)サービス、携帯キャリア事業などのモバイルサービス、さらにプロスポーツといった多岐にわたる分野で70以上のサービスの展開通じて、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に有機的に結び付けながら他にはない独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成している。
国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指しているとのことだ。
他方で、変化の激しいインターネット業界において同社グループが今後も持続的に成長するためには、各事業を取り巻く環境変化を踏まえ、各事業の資本効率をさらに上げながら各事業の迅速な意思決定を可能とする体制構築を通じた同社グループの競争力と機動力の向上が重要と考えているという。
先進的なテクノロジーを通じたサービスの一層の充実と各事業の価値向上を通じた楽天エコシステムの拡大および自律的加速が、同社グループの企業価値最大化に資するものと考えており、かかる背景の下、楽天証券は、株式上場を通じて、より自律的な経営視点と成長戦略を遂行できるとともに、独自の資金調達を含めた様々な成長及び財務戦略を検討することが可能になると考えているとのことだ。
同社グループの更なる持続的成長のためには楽天エコシステムの拡大が重要であり、楽天証券の株式上場準備にあたっては、同社が上場後も同社グループの、特にフィンテック事業を展開するうえで、同社の重要な連結子会社であることを前提としているという。
同社は引き続き、信用力及び財務健全性等を考慮してグループの組織構成及び資本構成を併せて検討しながら、同社グループの成長と企業価値の最大化を目指すとしている。
なお、株式上場に関しては、関係当局の承認を前提とすることに加え、準備過程における検討の結果次第では、同社グループの組織再編が必要になる場合や楽天証券は株式上場しないという結論に至る可能性もある。
そのため、現時点では上場予定時期等は未定となっているが、進展状況を踏まえ、必要に応じて適宜開示を行っていくとのことだ。