JALグループは「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画」(以下、中期経営計画)の達成をより確実なものとするため、「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2022」(以下、ローリングプラン2022)を策定したと発表した。

1. ローリングプラン2022の位置づけ

2021年度は、「安全・安心」「サステナビリティ」を柱とした今後のあるべき姿、「JAL Vision 2030」の実現に向けて、中期経営計画の取り組みを推進してきたという。

ローリングプラン2022では、新型コロナウイルス影響の長期化や世界情勢の不安定化、市況変動など、経営環境が厳しさ、不透明さを増すなかにあっても、中期経営計画に示した大きな戦略の方向性や目標は変えることなく、経営戦略の実行を加速することで、中期経営計画の確実な達成を目指すとのことだ。

2. ローリングプラン2022の重要ポイント

ESG戦略を経営戦略の軸に据え、事業活動を通じた社会課題の解決と事業構造改革を加速し、財務体質の再構築を進めることで、経営目標の達成を目指すとしている。

●ESG戦略

ESG戦略を2030年に向けた成長戦略と位置付け、JAL Vision 2030の実現に向けて、事業を通じて社会課題を解決することでサステナブルな人流・商流・物流を創出し、JALグループの社会的価値・経済的価値を高め、企業価値の向上を実現。

ESG戦略の推進にあたり、積極的に社会課題解決に取り組むことで、「売上増、費用削減、生産性向上」といった機会を得るだけなく、今後想定される環境規制への適合が進みリスク低減を可能とするとのことだ。

また、中核となる2050年のCO2排出量実質ゼロについては、省燃費機材への更新、運航の工夫、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な代替航空燃料)の活用、の3点を柱として、着実に取り組みを推進。

2030年には、全燃料搭載量の10%をSAFに置き換える計画とし、SAF供給元の多様化により、安定的かつ適正な価格での調達を実現するとしている。

●事業戦略

事業構造改革を加速し、環境変化に対して高いレジリエンスを備えた事業ポートフォリオを構築。

フルサービスキャリア事業の収益性改善、ZIPAIR・SPRING JAPAN・Jetstar JapanによるLCC事業の 規模倍増、フレイター事業も加えた貨物・郵便事業の拡大、顧客基盤やヒューマンスキルを活かした  非航空領域(マイル・ライフ・インフラ)での新たな事業展開を推進するという。

このため、グループ経営を推進し、事業領域を越えた組織横断的な連携をこれまで以上に強化することにより、グループ全体の収益性の最大化を図るとのことだ。

●財務戦略

「リスク耐性強化」と「資本効率」の両立を目指し、経営資源を戦略的に配分。まずは、財務再構築フェーズとして、財務基盤の再構築を着実に進めつつ、持続的な成長に向けた投資も実施し、徐々に持続的成長フェーズへ移行するとしている。

早期に自己資本比率を50%程度まで改善させ2025年度末までに純有利子負債ゼロを目指し、また、配当については、2022年度末までに復配を目指すという。

投資戦略については、JALグループではすべての投資はESG戦略を確実に推進・加速するために実施するものと位置付け、2022~2025年度の4年間で6,600億円の投資を計画するとともに、投資資金の調達手段としてESGファイナンスを積極的に活用。

JALグループは、全社員一丸となってローリングプラン2022を遂行し、多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来において世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指すとのことだ。