国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置されたミッション機器へユーザーのオフィスや研究室などのJAXA筑波宇宙センター外からセキュアなネットワークで接続、運用を可能とする「きぼう」船外ミッション外部運用管理システムをクラウド上に構築し、稼働を開始したと発表した。
これまで「きぼう」船外実験プラットフォームに設置されたミッション機器の運用は、ユーザーが筑波宇宙センターにて、テレメトリを確認しながら運用管制員に観測などの要求を伝え調整し、運用管制員が操作指令を出して行っていたという。
また、毎回の運用日時を予め決定し、運用体制を整えた上で運用する必要があったとのことだ。
今回稼働した外部運用管理システムを利用することにより、ユーザーは、オフィスや研究室などの希望する場所からネットワークを介し、ユーザー自身が操作指令を出してミッション機器を運用することが可能となり、「きぼう利用のリモートワーク」化が実現。
また、ユーザーのスケジュールに合わせた柔軟な運用、さらには急な運用変更にも迅速に対応が可能となるなど、利便性が格段に向上したとのことだ。
JAXAでは、他の利用拡大・利便性向上の取り組みとしてこれまでに、「きぼう」船外実験プラットフォームに取り付ける中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)のサービス提供事業社として、Space BDを選定し、2020年からは、国内外のユーザーに広く独自の民間ならではのサービスが同社から提供されている。
また、2022年3月には、i-SEEPの2号機を打ち上げるとともに、i-SEEP取り付け型の小型ペイロード搭載支援装置(SPySE)※2を装備し、更なる船外利用の利便性向上を目指してきたという。
このように、より多くの、そして小型のミッション要求等にも対応できるようになったこれまでの取り組みに加えて、今回稼働した外部運用管理システムにより、将来中小型のペイロードが更に増え、ユーザーが拡大した場合でも、各ユーザーが筑波に集まることなく、運用することが可能となったとしている。
今回稼働した外部運用管理システムをはじめ、JAXAは今後も、研究分野のみならず、民間企業による「きぼう」利用拡大を推進し、利用促進に必要となる基盤的設備の整備、高機能化を進め、高まるニーズを実現していく計画であるとのことだ。