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有徳合同会社(以下、有徳)と国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクは4月5日、両社が共同出資(有徳95%、トラストバンク5%)をする持株会社「AINUSホールディングス」(以下、アイナス)を設立すると発表した。
アイナスの代表を務める須永は、2012年4月資本金50万円でトラストバンクを設立し、同年9月にふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を開設。
「ふるさとチョイス」を通じてふるさと納税という制度を日本に根づかせ、ヒト・モノ・お金・情報という資源の都市部における一極集中を是正することで、自治体の財政支援や地域産業の活性化に注力してきたという。
同サイトは最大2億月間PVを有し、全国9割以上を超える1600以上の自治体が利用している。2020年9月にはサイト開設から累計寄付金額1兆円を達成するなどふるさと納税に留まらず日本有数のポータルサイトに成長。
また、同社は、「自立した持続可能な地域をつくる」ことをビジョンに掲げ、全国の自治体ネットワークを活かして、「エネルギー事業」、「地域通貨事業」、行政DXを図る「パブリテック事業」を展開し、地域経済の自立と循環を目指しているとのことだ。
アイナスは、特定の分野において専門性が高く独自のノウハウやネットワークなどを有する企業の立ち上げや出資をするという。さらに、地域にある魅力を磨き上げ、ブランド価値を高めた商品やサービスを全国に、さらにはグローバルに提供することで地域に資金や資源が還流する仕組みをつくり、地域経済の自立と文化の継承と発展を目指すとしている。
同社は、第一弾として「食」「旅」「技(伝統技術)」における事業を開始。
「食」においては、自然栽培農家を支援する「ネークル」に出資(95%)し、子会社化。「旅」において、富裕層向け宿泊施設事業を展開する「UI」(読み:ユイ)、「技(伝統技術)」において、全国の伝統技術を活用した日本発ラグジュアリ―ブランド「MIZEN」(読み:ミゼン)を新たに設立するとしている。
【食】自然栽培農家を支援する「ネークル」
「ネークル」は、2021年10月に設立、2022年4月5日にアイナスの出資により同社の子会社化。自然栽培や自然農など農薬や肥料に頼らず自然の力を生かして育てた作物がより多く流通するための仕組みづくりや、栽培技術、ノウハウの提供、初期投資のかかる農業機械・器具の貸し出しなどを行い、自然栽培農家を支援するという。
自社の売上目標は追わず、1,000万円以上の売上をあげる営農者を2,000人創出することで200億円の市場の立ち上げを目指すとのことだ。
【旅】富裕層向け宿泊施設事業を展開する「UI(ユイ)」
「UI(ユイ)」 は、2022年4月に設立予定。自治体が保有する土地や建物を富裕層向けの宿泊施設としてサービス提供することで、新たな観光資源の創出とともに自治体の歳入増を図るという。
第一弾として、2023年に鹿児島県徳之島町に富裕層向けビラを建設予定。同社代表の黒瀬氏は、長崎県平戸市職員としてふるさと納税の担当に就任後、わずか3年で「寄付金額日本一」を達成している。
その後、全国各地域の自治体のコンサルティングに従事し、地場産品や観光資源の魅力化を通じて、各地の地域創生事業を支援しているという。
【技(伝統技術)】 全国の伝統技術を活用した日本発ラグジュアリ―ブランド「MIZEN」
「MIZEN」は、2022年4月に設立予定。
同社代表の寺西氏は、エルメス(パリ)にてデザイナーとして活躍。帰国後は伝統産業の新たな価値を装いで提案するプロジェクト「ARLNATA」(アルルナータ)を立ち上げ、石川県の紬織物「牛首紬」や鹿児島県奄美大島の伝統工芸品「大島紬」など各地の伝統技術をデザインに取り入れ、唯一無二のブランドを確立したという。
同社は、トラストバンクが有する全国各地の伝統工芸における職人との繋がりや同氏が有する3DCADなどの最新テクノロジーを活用して、伝統技術の未来への伝承を目指すとともに、伝統技術を現代のライフスタイルに合わせることで新たな価値を提唱。
富裕層をターゲットに適正な金額で提供することで、職人の地位向上を図り、地方の経済活性化にも寄与することで、伝統産業や文化の維持・発展を目指すとのことだ。