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三井住友DSアセットマネジメントは、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しているという。
今回、マーケットレポート「『ウクライナ情勢』、難航する交渉と経済への影響は?」を2022年3月17日に発行したとのことだ。
2月下旬、ロシアはウクライナでの特別軍事作戦、いわゆるウクライナ侵攻を開始。ロシアはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止をはじめとして、NATOの東方拡大懸念を侵攻理由の一つとしている。
戦闘は続き、ウクライナからの難民は増大中であるが、停戦協議は難航しているとのことだ。経済制裁によってエネルギー・資源・穀物価格などは上昇しており、混迷が続く『ウクライナ情勢』についてまとめているとのことだ。
【ポイント1】拡大する戦況と増加する被害・・・難民は戦後最大規模に
■ロシアのウクライナ侵攻は、主要都市へと戦線を拡大し、足元では国境付近に配置していた戦力をほぼ全てウクライナに投入する状況となっている。しかし欧州の支援を受けたウクライナ軍の抵抗もあり、ロシア側の計画通りには進んでいない模様。
ロシア軍はミサイル攻撃など、長距離からの無差別的な攻撃を増やしていて、民間人への被害が増加しているとのことだ。
戦禍を逃れるウクライナからの難民は現時点で既に300万人超にものぼり、今後も増加すると見られ、第2次世界大戦以降で最大規模となると見られている。難民は、ポーランドやハンガリー、ルーマニア等の周辺国へ流入しているが、受け入れの限界に近づきつつあるとのことだ。
【ポイント2】強まる経済制裁と民間企業のロシア事業縮小の動き
■欧米を中心とする世界各国は、ロシアのウクライナ侵攻に至る前に、それを警戒していたという。しかし、実際にウクライナ侵攻が開始されたことで、主要国は経済制裁を強めている。
具体的には、ロシアの一部金融機関の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除や、ロシア中央銀行の外貨準備の利用制限、プーチン大統領をはじめとする支配層の個人資産凍結といった金融面での経済制裁が挙げられる。
■ロシアの銀行のSWIFTからの排除により、ロシアからの原油・天然ガス等のエネルギーの供給が困難となる可能性がある。このため、需給が更にひっ迫するとの懸念から、エネルギー価格は大きく上昇。
このほか、ロシア・ウクライナは小麦を中心とした穀物・肥料の国際貿易市場でシェアが高く、これらの供給が制約される懸念が大きくなっている。
■政府による制裁強化のみならず、主要国を中心に民間企業でも、ロシアとの共同事業からの撤退や、ロシアでの生産や販売などの営業活動停止、ロシアに向けた輸出などの停止、現地駐在員のロシア国外への退避といった動きが広がっている。
こうしたロシア事業の撤退・縮小は、世界の主要企業の200社超にものぼるという集計結果もあるとのことだ。
■経済制裁や民間企業のロシア事業からの撤退により、景気の悪化やルーブルの下落等、ロシア経済への影響は大きくなるとみられ、2022年は前年比▲10%程度の景気減速になるとの見方が出ているという。
【今後の展開】停戦協議は難航、戦況打開に向けたロシアの強硬姿勢に要警戒
■ロシアとウクライナは2月28日以来、断続的に停戦協議を行っている。当初は、両国の主張の隔たりが大きく、交渉は難航していたが、徐々に歩み寄りが見られている模様であるとのことだ。
■ロシアは当初、①ウクライナの非武装化、中立化、②ロシアによるクリミア併合の承認、などを要求。一方でウクライナは、即時の停戦とロシア軍のウクライナからの撤収を要求していたという。
また、ゼレンスキー大統領はNATO加盟を目指していたほか、2月末にはEUへの加盟申請を実施。
■その後、今月15日にはゼレンスキー大統領がNATO加盟を断念する発言を行い、翌16日には、ロシア側もウクライナがNATO加盟を断念して中立化すれば妥協が可能だとした。このように、ここにきて、停戦協議は前進を見せ始めているという。
■ただし、停戦協議は行われてはいるが、ロシア軍の攻撃は依然として続いている。また、ウクライナの安全保障の確保、ロシア軍のウクライナからの撤退、現在ロシア軍が支配しているウクライナ領土の帰属問題等の懸案事項が残っている。
■『ウクライナ情勢』は、戦況がどちらかに有利に傾くか、ないしは経済や人道的被害が甚大になるまで停戦合意に至らない可能性もある。早く『ウクライナ情勢』が落ち着きを見せ、平和が取り戻されることを切に願うとのことだ。