川崎重工は、発電出力5MW以上の大型ガスエンジンにおいて、水素を体積比30%までの割合で天然ガスと混焼して、安定した運用を実現できる燃焼技術を国内ガスエンジンメーカーとして初めて開発したことを発表した。
水素は、天然ガスに比べ燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性から、異常燃焼や燃焼室部品の過熱などの技術課題があるという。
今回同社が開発した混焼技術により、発電出力や水素混合比率に応じて燃焼状態を適正に制御できるシステムを構築。さらに同システムを搭載した単気筒機による実証運転により、水素混焼時でも安定した運用が可能であることを確認したとのことだ。
現在、同社は水素混焼技術を搭載した「カワサキグリーンガスエンジン」の開発を進め、新機種は従来型ガスエンジンをベースに水素供給系統を追加するなど、必要最小限の変更で水素混焼を可能にすることをコンセプトにしているという。
2011年に初受注してから180台以上の販売実績があるエンジンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することが可能で、水素を体積比30%の割合で天然ガスと混焼した場合、天然ガス専焼と比べて年間1,000トンのCO₂を削減。
なお、現在稼働中の同社製ガスエンジンの改造および水素混焼モデルの市場投入時期は、2025年を予定しているとのことだ。
同社は、脱炭素社会に向けた水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の技術開発を進めているとしている。
中でも水素ガスエンジンは、日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野における脱炭素化に貢献する「つかう」分野の重要な製品のひとつに。
同社今後も、現在稼働中の当社製ガスエンジンへの適用など、さらなる水素エネルギー利用の開発を進め、カーボンニュートラルの実現に貢献するとのことだ。