Hondaは、2023年初頭に米国現地法人アメリカン・ホンダモーターの敷地内にて燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」用FCスタックを再利用した非常用FC定置電源の実証実験を行うことを発表した。
同実証実験ではアメリカン・ホンダモーターのデータセンター向け非常用電源として実際に運用することで実用性を実証するとしている。
Hondaは、2050年に全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル実現を目指し、FC技術は重要な役割を担うとし、20年以上に渡るFC技術・FCVの研究開発を通じて、HondaはFC技術のノウハウを蓄積してきたという。
一方で、世界的にカーボンニュートラルへの意識が高まり、各国の環境規制方針も打ち出される中、FCシステムの需要は乗用車向けにとどまらず、大型トラックや船舶、そして定置電源などへと拡大することが見込まれている。
特にデータセンターに対しては災害時でも安定した電力供給が求められ、従来ディーゼル発電が主流の非常用定置電源を、クリーンで高品質な電力を供給できるFCシステムに置き換える需要は、今後急速に高まることが予想されるとしている。
このような需要に応えるための第一歩として、Hondaは乗用車向けFCスタックを活用した非常用FC定置電源を開発し、実証実験を通じてその効果検証を行うとともに、将来の商用化の可能性を検討するとのことだ。
■非常用FC定置電源の主な特長
●並列に接続した4つのFCシステムを1つのユニットとする「クアッドシステム」を開発。このユニットをさらに複数接続することで、さまざまな電力ニーズに対応。
●従来のFC定置電源は、1つのコンテナの中で組み立てて設置されるのに対し、クアッドシステムはユニットごとに独立した構造のため設置の手間を軽減でき、複雑な形をした敷地への設置にも敷地の形状に合わせて柔軟に対応可能に。さらにユニットを並列接続するため、電源全体を止めることなくユニットごとに簡単にメンテナンスが可能となる。
●同実証実験は、FCスタックを米国でリース販売されたCLARITY FUEL CELLのリースアップ車両から再利用。1ユニット4つのFCスタック×4ユニットの計16個のFCスタック使用を予定。
なお、実証実験向け非常用FC定置電源の主要諸元は以下の通り。