ANA Xとサイバーエージェントは、ANAグループの事業構造改革における非航空事業分野強化の一環として、デジタル広告配信事業に関する業務提携契約を締結したと発表した。

同提携では、ANA Xが推進するデジタルプラットフォームビジネスの具現化に向けて、ANAグループの持つ独自データを活用したデジタル広告配信事業の確立をサイバーエージェントが支援。

また、積極的な人材交流を通して、ANAグループにおける広告事業を担う中核人材の育成にも取り組むとのことだ。

両社の強みを掛け合わせ、広告主企業や自治体のマーケティング課題解決への貢献を図るという。ANAの利用客に対しても単なる広告露出に留まることなく、これまでにない役立つ情報を提供していくとのことだ。

■背景

新型コロナ感染拡大の影響で人々の移動や行動が大きく制限され、多くの企業でデジタルを活用したコスト削減にとどまらないビジネスモデルの変革や、新たな事業創造が急務となっている。

ANAグループは、ビジネスモデルを変革し、グループ全体の事業を見直すことで、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わることを推進。

また、2021年4月にグループ会社再編によって新たに始動したANA Xでは、航空や旅行という非日常の世界だけでなく、日常生活でもマイルを貯めたり、利用できる世界(マイルで生活できる世界)をコンセプトに、デジタルプラットフォームビジネスの拡充を推進しているという。

一方、サイバーエージェントではインターネット広告事業において業界トップクラスの実績をもつ広告商品販売網に加えて、デジタル広告の運用・配信基盤の開発技術や、AI技術の研究開発実績を活かすことで、広告主企業の課題解決とマーケティング効果の最大化に取り組んできたとのことだ。

また、近年では小売や医療、行政に向けたDX支援事業にも取り組んでいる。

■取組概要

このような背景のもと締結した、同提携における重要テーマは以下のとおり。

● 独自の広告配信システムを開発

ANAグループの持つ航空利用データや、約3,700万人のANAマイレージクラブの会員データなどを基に独自の広告配信システムを開発。

また広告配信先には、一般的なインターネットメディアに加えてANAのWEBサイトやアプリ等のデジタル顧客接点にも段階的に拡大し、デジタル広告配信を通してユーザー一人ひとりにとって「役立つ情報」を提供。

新たなデジタル広告配信システムを共同開発し、2022年秋に提供を開始するとのことだ。

●デジタル広告配信事業を担うデジタル人材の育成

サイバーエージェントが持つデジタルマーケティングにおける知見及び、プロダクト開発、データ基盤、AI技術といった様々なノウハウを提供し、ANA Xがデジタルプラットフォーム企業として成長するための組織能力と人材開発の強化に協働で取り組むという。

■今後

両社は今後、ANAグループの非航空事業収入の新たな柱としてANA X独自のオンラインとオフラインをかけ合わせた広告事業の確立を目指すとともに、顧客の体験価値を高める新たな施策に挑戦していくとしている。