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「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションにする海外旅行代理店業の令和トラベルは、アフターコロナにおける海外旅行の回復予測を発表した。
2022年3月1日に水際対策の緩和が実施され、もともと海外から日本入国後、原則7日間の自宅もしくはホテル隔離を強いられていたが、ワクチン3回接種及びオミクロン非指定国(ハワイ、グアム、タイ、オーストラリアなど)であれば日本帰国後の隔離がなしに。
水際対策の緩和が発表されて以降、2022年3月に入り、旅行に関する問い合わせや予約数が同年1月と比べて1.6倍と急激に増加しているという。
そのため、令和トラベルはFY22以降の海外旅行がどうなっていくのか、2019年水準まで戻るのはいつか、そして今後、海外旅行はどうなっていくのかの展望を考察した。
1.海外旅行の回復予測を考える上での前提条件
まず大前提として、コロナ禍で各国が海外渡航に関する制約・条件を設けている中で、「この条件がどのように緩和されていくのか」、「その時に、その条件を満たして渡航できる人がどのくらいいるのか」を、各国の現状の渡航条件やワクチン接種率などの情報から推計。
2019年に2,000万人を超えていた海外渡航者数が、今後どのように回復していくかを試算したという。
具体的には、渡航条件を踏まえて大きく3つの段階を経て市場が戻っていくと想定したとし、それぞれの段階について、日本では人口の何%が該当するかの仮定を置き、これを日本からの渡航者の多い20か国について見ることで、海外旅行市場全体の傾向を掴んでいくということを試みたとのことだ。
3つの段階とその時の渡航可能対象者は下記のように想定。3段階の推移の仕方の幅によって、楽観・ベース・悲観、と3つのシナリオを考えたとしている。
2.海外旅行の回復予測(2019年比)
今後市場はどのように回復し、コロナ前、海外渡航者数が過去最高を記録した2019年水準にはいつ戻るのかを予測。
【ベースケース】
令和トラベルでは、ベースケースとして、FY22に約40%、FY23で約65%、FY24に約80%と戻っていき、FY19水準になるのはFY25頃ではないかと予想。その後は過去水準と同程度(FY15-FY19の年率成長率5%)で成長すると見立てているとのことだ。
【楽観ケース】
一方で、楽観ケース、具体的にはコロナウィルスが弱体化するなどして脅威でなくなり、渡航に際するワクチン接種の条件が早期になくなる、人々の海外渡航に対する抵抗感も解消が早い、といった場合には、FY24時点で、FY19の水準になるのではないかと同社は考察している。
【悲観ケース】
最後に悲観ケース。例えば、デルタ株のような感染力が強く重症化リスクも高い変異種やワクチン耐性を持つ変異種が現れてしまった場合などは、逆に戻りが1年程度遅くなり、FY26でやっとFY19水準に戻る、という試算となったとのことだ。
3.今後の展望
今後の展望として、令和トラベルは以下の内容で考察。
■「どのような国・地域から海外旅行が回復していくのか?」
基本的には、以下の国・地域から回復していくと予測。
●ワクチン接種率(ブースター)の高い国・地域
アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、スペインなどの欧米諸国
●GDP等における観光業の割合が高い国・地域
ハワイ、グアム、タイ、バリ島、フィジー、ランカウイ島など観光業が国の大事な収入源になっている国・地域
その他、国の方針としてwithコロナを目指していくのか、0コロナを目指していくのかで大きく変わってくるという。例えば韓国や中国、シンガポールなどはワクチン接種率が高いものの観光渡航ができない状況とのことだ。
■「どのような旅行者から戻っていくのか?」
まず大前提として、コロナ前と現在旅行することの大きな変化としてあげられるとしている内容は以下としている。
(1)旅行費用
原則、日本を出国する際と、帰国する際にクリニックでPCR検査を受ける必要があり、行き、帰りの計2回で1人あたり4〜5万円ほどかかる(エリアや検査方法による)。4人家族で旅行などする場合は検査費用だけで数十万がホテルや航空券代とは別にかかってくるとしている。
(2)渡航手続き
今まではほとんどの国をパスポート一つで行き来できていたのが、現在アメリカであれば日本出国と帰国時に以下が必要になっている。(2022/3/4時点)
<日本出国時>
●日本出国1日以内のPCRの陰性証明書
●ワクチン接種証明書
●宣誓書の提出
●ESTA
<日本帰国時>
現地出国72時間以内のPCRの陰性証明書
●誓約書の提出
●質問票の提出
●MySOSアプリの準備
なお、各国によって入出国の条件が異なり、また常にアップデートされるため最新の情報を収集する必要があるとしている。
(3)安心・安全
仮に現地で陽性反応がでた場合は、陰性判断がされるまで飛行機等に乗れず現地で待機が必要に。
上記より、まずは目的が明確にある人(ビジネスでの業務渡航やハネムーン、帰省など)、お金と時間に余裕のある富裕層から動き出し、その後、PCR費用や入国条件などがより緩和されることで、海外旅行経験が複数回ある旅に慣れている人たちが行き始めると予測。
海外旅行初心者やファミリー層が戻るのは、12歳未満のワクチン接種が行き渡り、旅行費用増の要因となる入出国前のPCR陰性証明書の提出がなくなり、コロナ前に近い入出国手続きで海外旅行に行けるようになってからとし、2024年頃になる見通しだとしている。
<参考>
令和トラベル『アフターコロナにおける海外旅行の回復予測』