国境なき医師団(MSF)は、ロシアの軍事作戦により大きな被害を受けた地域の今後の医療援助のニーズに対応できるよう、ウクライナ国内や近隣諸国で、緊急援助活動を進めていることを発表した。

MSF日本では活動資金の一部を日本から拠出することを目指し、ウクライナとその周辺国での活動に使途を限定した寄付の募集を2022年3月9日より開始。

MSF全体の予算は約38億円(3000万ユーロ)で、日本からは約1億7500万円(140万ユーロ)の調達を目指すとのことだ。なお、寄付はオンライン、ゆうちょ銀行への振り込み、電話(クレジットカード決済)で募集するとしている。

MSF日本、ウクライナとその周辺国での活動に使途を限定した寄付の募集

​ウクライナからはすでに170万人以上の人々が戦闘を逃れて隣国ポーランドやハンガリーなどに避難している。

MSFは1999年にウクライナで活動を開始し、直近ではウクライナ東部ルハンスク州やドネツク州、北西部ジトーミル州でHIVや結核などの感染症対策のほか、紛争被害地で暮らす人々に医療や心理ケアを提供してきたが、今回の情勢急変により、通常の医療援助活動を一時休止し、緊急援助活動へのシフトを進めているという。

なお今回実施する募金は、現地ニーズ調査に基づき、通常の活動資金では対応しきれない緊急援助分を調達するものとしている。

MSFは現在、ウクライナ国内、主に首都キエフや負傷者が多い東部地域の医療施設に対し、緊急医療物資の寄贈を継続し、紛争地での活動経験のある緊急対応の専門チームの現地入りを進め、2月28日以降は、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバ、ロシア、ベラルーシの近隣諸国でチームを編成。

国外に避難した人々への物資の配布や、見過ごされがちな弱い立場の人々の医療ニーズの調査、ウクライナ国内の支援拠点の確保などを準備しているとのことだ。

募金開始に伴い、MSF日本事務局長の村田慎二郎は、「今回の戦闘がウクライナ市民に与える影響を憂慮しています。8年にわたって紛争下で生活をしてきたウクライナ現地の、そして国外に避難した人びとの医療ニーズは高く、女性や子どもを含む負傷者に加え、高齢者や慢性疾患を抱える患者への影響が心配されます。

MSFは、紛争の影響を受けた人びとがどこにいても、誰であっても、医療と人道援助を提供することに全力を尽くします。この人道危機が取り返しのつかないことになってしまわないよう、皆さまの支援を強くお願いします」と訴えた。

ウクライナ緊急募金寄付募集の概要

募集開始:
2022年3月9日

支援でできること一例:
3000円で基礎医療セット120人分の用意が可能。
5000円で1カ月分の清潔な水を210人に提供可能。
10000円で32枚の緊急用簡易ブランケットを提供可能。
30000円でシェルター資材を15家族に提供可能。
※外国為替により変動あり。

受付方法:
■オンライン(公式HPの募金ページ)
支援対象から「ウクライナ緊急募金」を選択。

■ゆうちょ銀行
口座番号:00190-6-566468
加入者名:特定非営利活動法人国境なき医師団日本
通信欄に「ウクライナ緊急募金」と記入。

■電話
0120-999-199 通話料無料(平日9:00~18:00/土日祝日、年末年始休業)
「ウクライナ緊急募金」と伝える。
※クレジットカード決済

同募金で集められた資金は、MSFがウクライナや近隣諸国で行う活動に割りあて、同活動に必要な資金を上回る寄付が寄せられた場合は、その他の緊急援助活動にあてられるとしている。

また、活動状況や資金調達状況に応じて、同募金の受付を予告なく終了する場合があるとのことだ。