医薬品の流通在庫をリアルタイムに可視化 スズケンとソフトバンク、実証実験を開始

スズケンとソフトバンクは、医療用医薬品の流通在庫をリアルタイムに可視化して、生産・輸入計画や在庫管理、配送の最適化などに役立てる実証実験を、2022年4月から開始すると発表した。

今回の実証実験は、スズケンが持つ医薬品流通に関するさまざまな知見と、ソフトバンクのデータ活用に関するノウハウを掛け合わせて、医薬品流通のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)に取り組むもの。

近年、医薬品流通においては、高額かつ特別な温度管理などが必要なスペシャリティ医薬品や後発医薬品の市場拡大に伴い、従来にも増して、流通在庫の管理の高度化や偏在の防止、使用期限切れなどによる廃棄リスクの低減、精緻な需要予測に基づく最適な輸入計画の策定などが求められている。

このような中、製薬企業や医薬品卸売企業は、医療機関・保険薬局における医薬品の流通在庫をリアルタイムに把握・管理する仕組みを確立する必要があるとのことだ。

今回の実証実験では、スズケングループが手掛けるメーカー物流および卸物流の流通過程における、医薬品の出荷情報などのさまざまな情報をデータプラットフォームに集約し、リアルタイムで処理・可視化することで、製薬企業による医薬品の生産・輸入計画や、医薬品卸売を担うスズケンによる在庫管理・配送の最適化に役立てていくという。

また、季節ごとの需要変動や製品カテゴリーなどに応じた最適な流通在庫の管理にも取り組むとのことだ。

さらに、医療機関・保険薬局における医薬品の消費・販売状況などの情報もプラットフォームに集約する予定であり、医薬品流通のサプライチェーン全体における流通在庫の最適化や廃棄リスクの低減、配送効率の向上などに向けた仕組みづくりを進めていくとしている。

今後もスズケングループは、メーカー物流および卸物流、さらにはスペシャリティ医薬品の流通コーディネート事業や保険薬局事業などで培ってきた多様な経験やノウハウ、製薬企業・顧客とのパートナーシップを生かすとともに、ソフトバンクをはじめとするさまざまな協業企業との取り組みを加速させ、医療・ヘルスケア領域における新たな流通モデルの構築に取り組んでいくという。

ソフトバンクは、「Beyond Carrier」戦略の下、従来の通信事業者の枠を超えて、幅広い産業分野における革新的なサービスの提供や、他社との共創による各業界のDXに注力しており、スズケンとの協業を通して、医療・ヘルスケア業界の課題解決や新たな価値創出をさらに推進していくとのことだ。

医薬品の流通在庫を可視化するプラットフォームの概念図

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