新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、私たちの生活はがらりと変わった。「働き方」もその代表的なものの一つだろう。特に2021年夏、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置下で、東京都が発した「出勤者7割減」を目標としたテレワーク導入の依頼などは記憶に新しい。
(出典:https://www.keidanren.or.jp/announce/2021/0709.html

コロナ禍で変わる社会、2022年は働き方の多様化が加速する!?NTTなど大手企業の試みとは?

一時は最大65.0%を記録した東京都内のテレワーク実施率も、宣言の解除ともに急落し、2022年1月時点では57.3%までに落ち込んでいる。SNS上では「強制出社」や「満員電車」といった言葉が話題となり、コロナ前の働き方に戻るとさえ思われた。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに社員の「ウェルビーイング(幸福)」のため、働き方改革を次のステップへ進める企業も続々と現れている。
(出典:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/02/04/17.html

国内外320,000人の社員を有するNTTグループは、2022年度からリモートワーク中心の働き方を前提として、段階的に転勤や単身赴任を減らしていくことを発表。グループ会社のNTTコミュニケーションズではすでに一部の社員が「自宅を遠隔地に設定するトライアル」を実施している。

ヤフーも2022年4月から、日本国内であれば好きな場所で働ける制度「どこでもオフィス」制度を拡充することを発表。さらに、ANAホールディングスがパイロットを除く正社員を対象に、グループ会社に転籍することで勤務地を選べる「ワークプレイス選択制度」の導入を検討するなど、従来の働き方に戻ることを嘆く声がある一方で、社員の働き方について大きく舵を切った企業も多い。

NTTコミュニケーションズでは、約20名が東京を勤務地としながら北海道や大分県などの地方で働いている

2022年1月、3度目のまん延防止等重点措置が発令。どうなる?2人に1人「会議室難民」の行方

2022年1月12日、東京都の小池百合子知事は経済同友会と東京商工会議所に対し、新型コロナウイルスの感染拡大に備えBCP点検とテレワークの推進を要請。

同月21日から2月13日までの間、東京都を含む1都12県に、「まん延防止等重点措置」が適用されることとなった。これにより東京都内のテレワーク実施状況は、再び上昇する見込みだ。

しかし、ここで問題となるのが、テレワーク実施率上昇に伴う「会議室難民」の増加。プラザクリエイトの調査では、51.0%が「直近半年で会議室が足りない、不足していると月に一度以上感じる」と回答しており、2人に1人は会議室を探すのに苦労した経験があると言える。そして、本調査はコロナ前に行われたものであることからしても、テレワーク実施率の増加に比例し会議室需要は高まることが見込まれる。
(出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/ed6a7ced4b9ce55e7a2bd1043cba8659255ab092

「直近半年の中で会議室が足りない、不足している。月に一度以上感じる」と回答した人は51%だった(プラザクリエイト)

2025年には24億円まで急成長!?働き方の多様化を成功させるカギを握るのは拡大&多様化するワークスペース?

「会議室難民」の増加が危惧される一方で、ワークスペース市場が拡大しているという。日本全国で見たワークスペースの施設数は、2019年6月には799施設だったが、2021年2月時点では1379施設と、およそ1年と半年間で1.73倍に増加している。また、日本能率協会総合研究所の調査よると、2019年度時点で1000万円程度だったワークスペース市場は、2025年度には24億円までその規模が拡大すると試算している。
(出典:https://imp.or.jp/2021/06/10/report-2/
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000035568.html

さらに、施設や市場規模の増加だけでなく、多様な業態のワークスペースが多く誕生していることにも注目したい。2021年10月にはJR東海とJR西日本が新幹線のぞみ「テレワーク専用車両」を導入。2021年12月に開業した東京建物リゾートによる「おふろの王様 和光店」にも有料ラウンジにワークスペースが設けられるなど、東京近郊でのワークスペース需要の拡大を見越した施設が多く展開している。

ワークスペース市場は2025年度、24億円に達すると試算されている

多様なワークスペース需要を一つでカバー。ワークスペース検索・予約・決済アプリ「droppin(ドロッピン)」

多様なワークスペースの増加に加えて注目していきたいのが、それらを使いこなすためのICTツールだ。

外出先で急遽リモート会議に出席しなければならなくなった場合、あなたならどうするだろうか。外出先で働くことのある方の多くは、企業や個人で契約しているワークスペース事業者のサイトにログインし、近くにあるワークスペースを検索したり、Googleマップで「電源 カフェ」等と入力して探したりするのが一般的だろう。

しかし、すぐ近くに契約している事業者のコワーキングスペースがなかったり、あったとしても設備が不十分で、セキュリティが担保されていなかったり、目当ての席に先客がいるなど、多くの問題を抱えていた。

これら需要の高まりを受け、ここ数年で様々なワークスペース検索ツールが産声を上げている。コロナ禍でのテレワーク促進を機に開発された、東京都提供の公式アプリ「TOKYOテレワーク」、ホテルの遊休スペースをワークスペースとして提供し収益化を図る「ホテルコ」の他、ソフトバンク株式会社の子会社オファーズがローンチした「Workus(ワーカス)」等、実に様々なサービスが提供されている。

しかし、これらのアプリは「検索はできても予約・決済はできない」「法人契約のみ対応」「使用できるワークスペースが少ない」等の課題があった。

droppin™を使用すると、個人でも日本全国で371か所のワークスペースを検索・予約・決済できる

それらの課題を解決するため、NTTコミュニケーションズが満を持して2021年10月にローンチしたアプリが「droppin™(ドロッピン)」だ。droppin™は、スマートフォンのGPS機能と連動し、現在地からのワークスペースを検索でき、気に入ったスペースがあればアプリ上でそのまま予約、あらかじめ登録しておいたクレジットカードで使用料の決済もできるツールだ。

このサービスはNTTコミュニケーションズが提唱する「スマートワーク」実現のために開発されたICTツールの一つ。「スマートワーク」とは、NTTコミュニケーションズが提唱する、働き方に対する考え方のこと。業務上の無駄を見直し、適切にICTを活用することで、時間・場所にとらわれない柔軟な働き方を実現する、というものだ。

droppin™は、コロナ前からビジネスパーソンが感じていた「会議室難民」や「移動中に生じる隙間時間の無駄」などの課題解決が期待できる。さらに、2021年9月に神奈川県鎌倉市と共同で行ったワーケーションに関する実証実験では、「感染が心配で、都心部には出勤したくないが、家でテレワークするのも効率が下がるため、自宅から30分圏内でのワークスペースを探したい」等と、プチワーケーション需要にも対応するなど、アフターコロナの多様な働き方のニーズに対応していると言えそうだ。

コロナ禍で大きく変わった働き方の考え方。いち早くコロナの収束を願いつつも、さらに働き方が自由に・働きやすくなることを期待したい。

droppin™:https://nttcom-droppin.com/