花王、京都大学と共同実施の「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」実証実験において進捗を発表

使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム

花王は、国立大学法人京都大学と共に、2021年1月から、愛媛県西条市の協力のもと進めている「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」の確立に向けた実証実験において、現在の進捗を発表した。

■実証実験概要

同実証実験では、使用済み紙おむつの「炭素化装置」の開発と、炭素化した使用済み紙おむつの炭素素材への変換の2点を実現し、CO2排出量削減による環境負荷低減への貢献をめざしているという。

使用済み紙おむつが燃やされる際にはCO2が発生するが、炭素化の場合は炭化物に炭素が固定化されるため、発生するCO2を削減することができ環境負荷低減につながるとしている。

実証実験概要

■進捗内容

【「炭素化装置」の開発】

●基礎実験として紙おむつで使用される各素材の炭素化について研究を進めたという。花王・京都大学において、炭化物の解析を進め、炭素を高収率で固定できることを確認。

●上記研究の結果をもとに、花王において介護施設等で利用実績がある既存のおむつ処理装置ならびに生ごみの炭化装置をベースに、新たな「炭素化装置」の開発を促進。

●2021年11月に、西条市の保育施設に新たに開発した「炭素化装置」を設置。

【左】開発した「炭素化装置」【中】「炭素化装置」に使用済み紙おむつを入れる様子【右】炭素化した使用済み紙おむつ

【保育施設での炭素化装置の使用面での課題】

●新たに設置した「炭素化装置」では約1カ月間、発生するごみの量、保育士の作業量などを確認。

●使用済み紙おむつの発生量は平均で1日7kg程度に。装置は1日に1回使用し、炭素化した使用済み紙おむつは装置内に蓄積され、概ね月1回の回収が適切という結果となった。保育士は、1日分の使用済みおむつをまとめて「炭素化装置」に入れて作動、月1回炭素化した紙おむつを回収することになるとのことだ。

●リサイクルシステムに加え、保育施設でのおむつ提供による保護者・保育士の負担軽減を検証するために、8月から11月まで、実証実験を実施する保育施設にベビー用紙おむつ「メリーズ」を提供。保護者からは「毎日のおむつ準備が不要で助かった」、保育士からは「急いでいる時に手間が省けた」など、共に負担の軽減を確認。

花王は、西条市の保育施設に設置した「炭素化装置」より、炭素化した使用済み紙おむつを回収し、花王・京都大学にて炭素素材へ変換する研究を進め、2023年までに変換技術の確立を目指すとしている。

また、西条市内での資源化循環システムの構築も検討し、引き続き2025年以降のリサイクルシステムの社会実装に向け、「炭素化装置」の設置拠点・回収方法などインフラの検討を進めるという。

花王は、経営にESGの視点を導入することで、事業の発展と、消費者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざしていくとし、豊かな共生世界の実現に向けて取り組んでいくとのことだ。

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