NTTドコモ(以下、ドコモ)は、神奈川県の協力のもと、ドローンを活用した橋梁(きょうりょう)点検の実証実験に成功したと発表した。
今回の実証実験では、Skydio, Inc.(以下、Skydio社)の自律飛行型ドローン「Skydio 2」と、ドコモのドローンプラットフォーム「docomo sky Cloud」を組み合わせることで、「撮影→共有→解析→確認」の一連のプロセスの有効性を検証し、自治体が実施する橋梁点検に活用できることが確認できたという。
今後は飛行や解析などの業務プロセスの自動化を推進し、自治体の橋梁点検業務のさらなる負担軽減をめざすとのことだ。
2012年12月の中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故をきっかけに、2014年7月には道路法施行規則の一部を改正する省令などが施行され、長さ2.0m以上の道路橋については5年に1度の近接目視による定期点検が義務付けられたが、その点検に際し、「技術者が不足していること」「点検費用が高いこと」が自治体にとって大きな課題となっているという。
また、実際の点検作業は、多くの場合、交通量の少ない夜間に行われるため危険を伴うほか、暗所での作業のため効率も悪く、作業が長引くことも課題としてあげられている。
高度経済成長期に集中的に整備されてきた橋などは老朽化が進行しており、道路構造物を効率的に維持管理していくことが、今、求められているとのことだ。
神奈川県においても橋梁の高齢化率は、県が管理する橋梁約1,200か所のうち、2015年4月1日時点で約34%だったものが、10年後には約64%、20年後には約78%にまで増え、年々老朽化する橋梁が増加していくと想定されている。
またそれに伴い、橋梁に関する事故などが発生するリスクが高まることが懸念されているとのことだ。
このような中、神奈川県はテクノロジーの力を活用して、高齢化の進展などにより顕在化するさまざまな社会的課題の解決に向けた実践的な取り組みの推進を目的に「ドローン前提社会の実現に向けたモデル事業(第2期)」を公募し、今回の実証実験はその事業のひとつとしてドコモが実施したもの。
今回の実証では、自律飛行型ドローンを用いることで、日中、交通規制をかけずに橋梁の状態を確認することができ、作業時間の短縮だけでなく、作業員の安全性も向上することが分かったという。
さらに撮影された写真は今までの点検で撮影したものと同程度のものであり、点検報告書として十分であることが確認できたとのことだ。
また、自動飛行支援ソフトウェア「Skydio 3D Scan TM」を用いることで、熟練パイロットに依存することなくドローンを飛行させることが可能なため、橋梁点検をする技術者の確保や費用面の負担を軽減することが期待できる。
撮影された写真は「docomo sky Cloud」を使うことで遠隔から作業内容をリアルタイムに確認することができ、スムーズな解析が可能となった。
ドコモは今後も実証を重ねることで、橋梁点検の自動化をめざすだけではなく、あらゆる場面でのドローン活用を促進させ、神奈川県およびその他自治体のドローン前提社会の実現に向けて貢献していくとしている。