KDDI、Samsung Electronics(以下、サムスン電子)、富士通は、2022年2月18日、世界で初めて商用ネットワークに接続するオープン化した5Gスタンドアローン(以下、5G SA)(※1)の仮想化基地局によるデータ通信に成功したことを発表した。
同基地局は、O-RAN標準に準拠(※2)し、オープン化したサムスン電子の無線制御装置(DU)と富士通の無線装置(MMU)で構成され、基地局のオープン化と仮想化で、迅速なソフトウエア展開や従来の専用ハードウエアに依存しない汎用性のある機器の利用が可能になるという。
これにより、利用用途に応じた高度な通信サービスを柔軟かつ迅速に利用者に提供することを目指すとし、安全性と信頼性の確保および、地方など全国への基地局展開の加速にも貢献していくという。
KDDIは、2022年度中に同基地局を一部地域から展開予定。なお3社は、今後もオープン化と仮想化に対応した基地局の開発を推進していくとのことだ。
■同基地局の特徴
従来の基地局は無線制御装置に専用ハードウエアを用いているのに対し、同基地局では汎用的なハードウエアを用いているとし、ネットワーク機能はサムスン電子の完全に仮想化されたソフトウエアで実現。
また、無線制御装置と無線装置間のインターフェースをオープン化したことにより、サムスン電子の無線制御装置と、富士通の無線装置という異なるベンダーによる構成を実現している。
●完全仮想化されたソフトウエアは、様々な場所に設置したハードウエアに迅速な展開が可能となる。5G SAで提供されるネットワークスライシング機能や、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)を組み合わせることで、利用者の利用用途に合わせた高度な通信サービスを柔軟かつ迅速に提供。
●無線制御装置と無線装置間のインターフェースをオープン化することにより、安全性と信頼性を確保。また、様々な機器の組み合わせが可能となるため、利用者のニーズや状況に合わせた最適なパフォーマンスを提供する基地局を構成することができるとしている。
●全国で共通化した汎用のハードウエアを利用することが可能となるため、基地局建設に関わる作業が効率化。また、完全仮想化されたソフトウエアは自動化システムとの親和性が高いため、基地局の設定作業時間が短縮され、地方などを含めた全国への迅速な基地局展開に貢献。
3社は、基地局のオープン化と仮想化の開発を推進することで、5G SAのサービスの全国展開を促進し、利用者に新たな体験をもたらすとともに、利用者のビジネスの発展や日本のデジタル化の進展に貢献していくとのことだ。
(※1)5Gスタンドアローン:5G基地局に5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステム。
(※2)O-RAN標準に準拠:O-RAN Allianceで策定された異なるベンダーの機器と接続が可能な仕様。