楽天メディカルと、島津製作所は、蛍光イメージングシステムを用いた、ASP-1929による光免疫療法の第Ⅱ相臨床試験(治験番号:ASP-1929-103試験)において、米国国立衛生研究所の国立がん研究所で1例目の被験者を登録したことを発表した。
同試験は、「切除可能な原発または再発の頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がん」を対象とした、蛍光イメージングを用いた抗体薬物複合体ASP-1929による光免疫療法における、非盲検、単一群、Window of Opportunity(治療機会)の第Ⅱ相臨床試験で、被験者22名を登録する予定であるとのことだ。
同試験は、国立がん研究所との共同研究開発の契約に基づいて実施され、標準治療の外科的腫瘍切除前に、ASP-1929を用いた光免疫療法による単回治療を実施した場合の有効性および安全性を評価。
さらに、島津製作所の蛍光イメージングシステムを用いて、ASP-1929に含まれる光感受性物質IRDye® 700DX(以下、IR700)の蛍光発光をリアルタイムに観察・記録し、システムの臨床における利用可能性を評価するという。
楽天メディカルのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーである三木谷浩史は次のように述べている。
「当社は、ASP-1929を用いた光免疫療法単独の治療や抗PD-1抗体との併用治療にて、切除不能な再発頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がんを対象とした試験を既に実施しています。今回の試験では、患者群を拡大して、手術で切除可能ながんを対象としています。本試験の結果によって、一人でも多くの患者さんに、楽天メディカルの光免疫療法をお届けできることに繋がればと願っています。」
島津製作所の代表取締役社長である上田輝久は次のように述べている。
「光免疫療法の為、当社の蛍光可視化技術を用い、楽天メディカルと蛍光イメージングシステムを開発しました。今回、本試験では、腫瘍部の状態の可視化を行うため、当社の技術による蛍光イメージングシステムで光免疫療法の光照射中のIR700の反応をリアルタイムに観察・記録します。早期がんを含む多くの患者さんに、一日も早く本治療をお届けすることに、当社の蛍光可視化技術が貢献できることを願っています。」
ASP-1929およびレーザ装置は、日本において2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を適応として厚生労働省より製造販売承認を取得。
また、ASP-1929を用いたその他の試験については、楽天メディカルが、再発頭頸部扁平上皮がんを対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験、また、米国にて頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がんを対象とした抗PD-1抗体との併用療法による第Ⅰb /Ⅱ相臨床試験を実施しているとのことだ。