ソニーAIは、ポリフォニー・デジタル(以下、PDI)およびソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)と共に、世界初の超人的なAIである「グランツーリスモ・ソフィーTM(以下、GTソフィー)」による、人工知能(AI)の飛躍的進歩を発表した。
GTソフィーは、プレイステーション®4用リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』で世界最高峰のドライバーをも凌ぐAIエージェントであり、AIを活用した新たなゲーム体験を世界中のプレイヤーに提供することを目的として開発されたという。
<GTソフィーについて>
「GTソフィー」は、ソニーAIとPDI、SIEが共同開発した、新たな深層強化学習プラットフォームを利用してトレーニングされた自律型AIエージェント。
このプロジェクトの成功は、基礎的なAIの研究開発や、超現実的な実世界のレーシングシミュレーター、大規模なAIトレーニングのためのインフラストラクチャに関する三社の専門知識を結集させたことによるものであるとのことだ。
「GTソフィー」は世界最高峰のドライバーと競い合うために必要な以下の要素を、トレーニングを重ねることで習得したという。
●レーシングカーの制御:
車の挙動やドライビングライン、および難易度の高いコースを攻略するための精密な操作に関する深い理解
●レースでの戦術:
刻々と変化するレース状況を元にした瞬時の意思決定、およびスリップストリームパスやクロスオーバーパスなど攻守の駆け引きを含む戦術の組み立て
●レースマナー:
自己の過失による衝突の回避や、対戦相手のドライビングラインの尊重など、フェアプレーに欠かせないマナーを含む、高度に洗練されながら明確には定義されにくいスポーツパーソンシップ
今回の成果は、既存のアルゴリズムとインフラストラクチャでは解決できない課題に対して、ソニーAIとPDI、SIEが共同で新たな深層強化学習アプローチとプラットフォームを構築することで実現したものであるとのことだ。
精密なリアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』を通じてカーレーシングという非常に難度の高いスポーツをマスターしたことは、AIの飛躍的進歩であり、本日発行された科学誌Natureに「深層強化学習でグランツーリスモのチャンピオンドライバーを凌駕する(英語版、日本語版)」というタイトルでその論文が掲載されているという。(日本語版は、2月10日午前10時に公開)
<ゲームとエンタテインメントのためのAI>
またこうした技術的な進歩に加えて、PlayStation Studiosのゲーム開発スタジオであるPDIとAI開発チームであるソニーAIの深いコラボレーションにより、AIがプレイヤーに新たなゲーム体験を提供する将来的な方向性も示唆。
今後、ソニーAIとPDIは、「GTソフィー」をどのように「グランツーリスモ」シリーズに取り込むか検討していくとのことだ。
<レース結果について: AIとドライバー、双方の勝利>
ソニーAIは、2021年7月2日と2021年10月21日に「Race Together 2021チャレンジイベント」を2回開催し、『グランツーリスモSPORT』の世界最高峰のドライバー4人とのレースを通して、「GTソフィー」の機能をテスト。
7月のイベント結果を元に改善を受けた「GTソフィー」は、10月の第2イベントにて、タイムトライアルおよびFIA(国際自動車連盟)公認「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」のレギュレーションに則ったレースの両方で、4名の『グランツーリスモSPORT』トップランカーに勝利したという。