JALグループは、2022年3月期第3四半期連結業績(2021年4月1日~2021年12月31日)を発表した。

■JALグループ連結業績

当第3四半期連結累計期間(以下、当第3四半期)は、国際旅客需要については帰国者や海外拠点への赴任、アジア・北米間の通過需要を含む基礎需要の着実な回復が見られ、国内旅客需要についても感染者数の増加と度重なる緊急事態宣言の期間延長により需要が低迷した上半期と比べ、10月以降は力強い回復が見られたとしている。

一方貨物事業においては、海上物流の混乱が長期化する中、航空貨物需要は自動車関連や半導体関連部品等の北米向けの輸送を中心に好調に推移。

同社グループは、このような経営環境の中でグループ存立の大前提である「安全」を守り、利用者と社員の感染防止対策を徹底したうえで、国内外の航空ネットワークの維持に努めてきたという。

上記の経営環境において当第3四半期の売上収益は前年同期から1,419億円増加の4,984億円(前年同期比39.8%増加)、営業費用は前年同期から324億円増加の6,879億円(前年同期比5.0%増加)。

EBITは▲1,833億円となり、前年同期の▲2,941億円から大幅に改善され損失額は1,108億円縮小したとのことだ。

親会社の所有者に帰属する当期損失は▲1,283億円となり、前年同期の▲2,127億円から844億円改善。国際線旅客収入は484億円(前年同期比156.8%増加)、国内線旅客収入は1,744億円(前年同期比27.4%増加)となり、貨物郵便収入は1,610億円(前年同期比77.1%増加)となったとのことだ。

なお、前々年同期差・同期比は以下の表の通りとなる。(▲は損失)

連結経営成績

■JALグループ連結財政状況・キャッシュフロー状況

●ハイブリッド・ファイナンスで総額3,500億円の調達をしたことにより、格付評価上の自己資本比率は約43%、同じくネットD/Eレシオは0.2倍と、厳しい状況が続く中でも健全な水準を維持。

●12月末の手元現預金は5,183億円で、加えて未使用のコミットメントライン3,000億円も維持し、十分な手元流動性を確保しいる。

●国内線を中心とした旅客需要が回復した結果、第3四半期単独では、EBITDAは118億円の黒字、営業キャッシュフローは91億円のキャッシュインフローとなり、いずれも2019年度第4四半期以来の黒字に。また、キャッシュバーンも解消したとしている。

JALグループ連結財政状況・キャッシュフロー状況

■2022年度3月期通期業績予想について

連結業績予想について、オミクロン株等の変異株の世界的な感染再拡大が第4四半期の航空需要に及ぼす影響は不透明であり需要が再度低迷するリスクはあるものの、貨物の増収とコスト削減の深掘りも期待できることから現時点では業績予想の変更しないとしている。

足許の状況に注視し、今後連結業績予想に変更が必要な場合は速やかに開示するとのことだ。

■当期の期末配当予想

新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化し、オミクロン株の感染拡大等もあって、今後の航空需要の回復は不透明な状況に。

このような状況を踏まえ、JALグループは今後のリスク耐性を強化すべく手元流動性の確保と財務体質の強化を最優先することが最善であると判断し、期末配当予想を無配としたとのことだ。